先日掲載したスチールACタップですが、オーディオ用に使った場合なかなか面白い傾向を示すものでした。
とはいえ、総合的に見れば安価ではあってもオーディオ用として販売されているオヤイデ OCB-1 RX 70周年記念モデルの方が高音質であることに変わりはありません。
スチールACタップは低域の魅力はあるものの、中域~高域にかけてのヌケが悪く、解像度も低いので中高域の綺麗さがあるOCB-1 RX 70周年記念モデルとの落差がどうしても大きく感じられます。
恐らく電線部分をオーディオ用、それこそ比較的安価なものでいえばOCB-1 RX 70周年記念モデルと同じOyaide PC-23辺りに交換するだけでも、音質は劇的に向上するはずです。
ただ、電線を交換するとなるとケーブル部分に加えプラグも調達する必要があり、手軽なアップグレードとは言いがたくなってしまいます。そのうちやろうとは考えていますが…。
差し当たってケーブルの張り替えよりは手軽に出来る強化法を考えたときに、思い当たったのが水晶の充填でした。
実はACタップの隙間に水晶を詰めることによる高音質化改造は、OCB-1シリーズのタップを中心に、以前から割合広く行われてきました。私もその話は知っていましたので、格安な水晶を仕入れて実験することにしたのです。今回はAmazonで探して1kg入りで1,200円というものを見つけましたので、それを早速調達しました。
この価格でこの改善幅なら試す価値はある
粒の大きさが直径3~10mm程度のAAAAA水晶(Aが多い方が透明度が高いらしい)1kg入りというものを購入したのですが、500g入りの袋が2つ入った形で届きました。本来はもう少し粒が大きいものの方がタップに詰めるには向いているように思いますが、価格重視でこちらを選択しています。
率直に言えばAAAAAという割に汚れは多く付着していますし、濁った個体も結構入っていますので、アクセサリー素材など本来の用途にはお世辞にも適したものではない気がします。
どうせタップの中に入れてしまえば見えないので、見た目のグレードは気になりませんが。
タップを開けてみると、導体が剥き出しになっている部分があることが判ります。音質改善目的ではなくても、配線の貼り替えは行った方が耐久性は上がるかも知れません。一応サージプロテクト機能があるため、小さな基板があります。音質のことだけを考えるのであれば、ここをバイパスした方が良くなるでしょうね。
取り敢えず小袋1つ分、つまり500g詰めてみました。空間はまだまだありますので、1kg全部詰めても良いのかも知れませんが、今回は取り敢えず500gで止めておいて試聴してみます。
試聴環境はタップ購入直後のものと同様で、Pioneer A-70Aの電源をここから取り、Harbeth HL-Compactを再生します。試聴ソースも同じものを使っています。
まず変化が感じられたのは、実は低域方向でした。厚みや力強さはそのままなのですが、より締まりが出てバスドラムのアタックやベースラインの明瞭さが出てきました。
中域の質も間違いなく向上が見られ、ヴォーカルや楽器の質感がOCB-1 RX 70周年記念モデルに追いつくとはいえませんが、差は縮まった感はあります。何より音場の密度が濃くなり、アナログソースの音はとても魅力的に鳴ってくれます。
高域もいくらか緻密さが出て、ハイハットの音にも金属らしさが出てくるようになりますが、さすがにこの部分に強みがあるOCB-1 RX 70周年記念モデルとは大きな差は残ります。とはいえ、スチールタップの方だけを聴いていれば十分まともな音に感じられる程度にはなりました。
総合的に見ればどうなのかという話ですが、意外ではありますが水晶充填済みスチールタップの方が、低域の力感や厚み、音場の濃さという要素がある分だけ、より魅力的に聞こえました。高域方向はもうちょっと何とかしたいと思う部分もあるのですが、ヴォーカルや楽器の質感が向上したことで総合的に見れば十分まとまった音と感じられます。比較するとOCB-1 RX 70周年記念モデルは音色こそ綺麗なのものの表現が薄く音場の密度も粗いため、いかにも廉価品のタップという音に聞こえてしまうのです。
水晶500gをセットにしたスチールタップは、3千円にも満たない金額で十分にオーディオ用に使える実力を発揮してくれた訳で、お買い得度はより高まりました。3万円クラスのタップを買うのでなければ、取り敢えずこの組み合わせで十分楽しめると思います。
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購入金額
1,200円
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購入日
2022年09月25日
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購入場所
Amazon
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