レビューメディア「ジグソー」

より彼らの世界が広がった感じの2nd

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ロックの象徴エレキギターとクラシックの代表的な楽器であるヴァイオリン。このふたつの表現力豊かな楽器のコンビネーションは20世紀から何度も試みられてきた。ロックにクラシックの手法を用いたプログレッシヴロックに始まり、エレキヴァイオリンなども取り入れたフュージョン界、機械の打ち込みと人間ならではの表現方法が多いギターやヴァイオリンとの対比の妙を追ったテクノの一派...そんな中、異種ジャンルが混沌と同居する「ゲーム音楽」をルーツに持つ、ギタリストとヴァイオリニストからなるアーティストユニットがあります。そんな彼らの2ndアルバムをご紹介します。

 

soLi。以前紹介した、

ギタリストのISAOとヴァイオリニストの星野沙織と言う、ふたりのソリストをいただくハードインストルメンタルロックグループ。彼らの音楽は、メタルチックであり、クラシカルであり、ハードロック的な風合いを持っている。元々は、BABYMETALの神バンドでも活躍するメタルギタリストISAOの「ゲーム音楽演奏作品」に、星野がゲストで呼ばれたことで意気投合したのがユニット結成の起点らしいので、soLiの楽曲はどことなくゲーム音楽っぽい。

 

特に、戦闘シーンの音楽やホーム画面の落ち着く感じのBGM、王城入場時の煌びやかな音楽など、RPGやアドベンチャーで取り上げられるようなストーリー性がある楽曲が多い。それを多弦ギター(メインは8弦、7弦も使う)の使い手ISAOと、ポップスのストリングセクションからクラシカルフィールドでも広く活動する間口が広い星野が演奏しており、ともすれば打ち込みで無機質にになりがちなゲーム(風)音楽に彩りを与えている。

 

そんな彼らの2ndアルバムが、“My Garden...”。

 

この2ndアルバムで、彼らを支えるサポートミョュージシャンも手練れのメンメン。1stでは、「ベースBOH+ドラムス原澤秀樹」と「ベース瀧田イサム+ドラムス前田遊野」の2つのリズムユニットを使い分けていたが、本作ではドラムスは原澤で統一。ベースは曲によってBOH、IKUO、森田悠介、木村宏之が弾き分ける(一番多く弾いているのは森田)。このドラマー固定は、そもそも原澤のプレイ動画を観たことから彼らに注目した自分にとっては願ったり。

 

そしてこの2ndでは、ギターにゲストプレイヤーが加わっている。それは、アニメ音楽などを多く手がけるGRANRODEOのe-ZUKAこと飯塚昌明と、BOHと組んで活動しているメタルギタリスト大村孝佳の二人。

 

彼らも加えることで、ドラマチックかつハイクオリティだった1stからどう進化したのだろうか。

 

強烈複雑なキメの嵐の変拍子曲で、細かくリズムを取ると狂いそうになるのに、星野のヴァイオリンの調べに大きく身を委ねると意外にノれる「Snatcher」。オープニングチューンとしては暗めの曲だが、変拍子のドラマチックな曲。これは原澤のドラムプレイに尽きる。どういうリズム感覚してるんだろ、このひと。リズム隊として、コンビを組むのはBOH。星野の絹を裂くような高音域まで使った中間ソロと、意外にロックなISAOのエンディングソロの対比も良い。これはISAOの曲。

 

もともとゲーム音楽をメタルアレンジする...というあたりから始まったユニットらしく、このアルバムにはゲーム音楽のカバー曲が含まれている。それが“Wanderers from Ys”こと“イースIII”の「Valestein Castle」...つまり「バレスタイン城」。元々はPC-88版としてリリースされたものがオリジナルなので、音はチープな4オペレータのFM系音色だったが、ISAOの速弾き、ライトハンド、ピッキングハーモニクス織り交ぜたメタルなプレイと、星野の音の存在感がある音色でオリジナルの雰囲気は残しているのに、ゴージャスでスリリングな仕上がり。マシン調のツインバスを基本としたパターンは、原澤と木村。

 

そして、購入したタイプは“Deluxe Edition”のため、今まで配信でリリースした曲やライヴ会場で販売された限定CDに収められていた楽曲を集めたBonus Discがついている。

 

この中で意外だったのは、星野の筆になる「Stay on the Beat」。星野の曲は、今までどちらかと言えばクラシカルな薫りがする曲が多かったが、これは完全に打ち込み。曲調は結構ポップで、ダイナミック。これもゲーム音楽っぽいが、ハイスピードな16ビートで、昏さを伴わない戦闘曲...という感じ。エレキギターとヴァイオリンがユニゾンし、互いにソロを取り合う曲で、スピードと相まってアガる曲。

 

1stの時も、ヴァイオリン入りロックパンドが好きな自分としてはオキニだったが、さらにいい感じになってきた。

 

これは是非ライヴで聴きたいなー。2020年の1stリリース時はまだライヴ(配信)できたみたいだけれど、2021年は完全にライヴレス。ただ昨年末には、「そろそろ...」というコメントもあったし....期待で!

購入したのは、つきの“Deluxe Edition”
購入したのは、Bonus Discつきの“Deluxe Edition”

 

【収録曲】

1. Snatcher
2. Tyrant
3. Welcome to Odich Town
4. Star soLier
5. Valestein Castle (Wanderers from Ys)
6. Shadow Beat
7. Eternal Ray
8. Antares
9. My Garden...
<Bonus Disc>
1.No Problem
2.Stay on the Beat
3.Phalanx
4.抜山蓋世
5.The Descending Sword
6.The Lament

 

「soLi 2nd Album「My Garden...」 trailer」

 

「soLi - Valestein Castle (Wanderers from Ys) 【Official Music Video】」

更新: 2022/04/13
必聴度

1stより広く、様々な曲を手がけるが、「難解」な方には行っていない。

あきらかに1stより間口が広い。特に、Bonus Discの曲はバラエティに富んでいるので、是非“Deluxe Edition”を入手すべき。

  • 購入金額

    4,180円

  • 購入日

    2022年01月04日

  • 購入場所

    disc union

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