レビューメディア「ジグソー」

かなり珍しい音源

日本エニアックから発売されたDTM音源で、鈴木楽器のOEMだそうです。

 

あまり売れなかったらしく中古品も年1くらいでしか出ません。珍しい音源です。

 

前面パネル
前面パネル

 

背面には左から音声出力端子(RCA)、シリアル入力端子、入力選択スイッチ、MIDI THRU、MIDI OUT、MIDI IN 1、MIDI IN 2、電源端子があります。

RS232C は1と2がありますが、どっちかが DOS-V でどっちかが PC-98 だと思いますが今日日(きょうび)PC にシリアルポートなんてないので知らなくてもいいし私も知りません。RS422 はクラシック Mac 用ですが発売当時はともかくこれも使うことは無いでしょう。

ACアダプタは10Vのセンターマイナスを使います。某サイトによれば純正品は1A出力らしいですが私が入手したときに付属していたのは純正品ではなく、なんとファミコンのACアダプタ(センターマイナスで10Vだが850mA)でした。一応動いていますが些(いささ)か心配です。

背面パネル。妙な俯角が付いてしまっていますが……
背面パネル。妙な俯角が付いてしまっていますが……

 

画面は24桁2行キャラクタLCDで、GMega(河合楽器)やX5DR(コルグ)が16桁2行であるのと比べ広々しています。バックライトは多くの音源で見られる黄緑色です(実は Sound Canvas シリーズのようなオレンジ色は少数派。赤色に至っては目に悪いからか NS5R(コルグ)に SysEx 送ったときにできるくらい。青色LEDはまだ発明されていませんでした)。

画面に余裕があるからなのか、キャラクタLCDのくせしてレベルメーターが表示されます。但し、表示できるのは1パートのみです。

演奏中の画面。キャラクタLCDのくせしてレベルメーターが表示できる
演奏中の画面。キャラクタLCDのくせしてレベルメーターが表示できる

 

DTM 音源の(そしてGM音源の)標準だった SC-55mkII と概ね上位互換になっています。それでも 88Pro くらいの音質はあると思われます。DTM全盛期は「安くて高音質」の音源モジュールを発売するメーカーがいくつかあったようです(赤井電機とかもそうだった)。

更新: 2021/11/03

操作方法

説明書がどこにも見つからないのですが、一応Cherry(シーケンサ)用の設定ファイルが公開されているようなので(公式なものではない)、一応プログラムチェンジのリストとドラムセットの配列だけは判明しています。

 

電源スイッチは音量のツマミと兼用になっています。これはNS5Rに似ていますが、それより大きくなっています。

ALL MUTE を押しながら電源を入れると出荷時設定に戻ります(某サイトに書いてあった)。

ファクトリーリセットしたときの表示
ファクトリーリセットしたときの表示

 

ボタンは12個あります。うち右側の8つはパートやパラメータの増減に使います。

  • PART……操作するパートを変えます。
  • INSTRUMENT……音色を変えます。
  • PARAMETER……操作するパラメータを変えます。
  • DATA……パートのパラメータを操作します。
  • P.MUTE……選択中のパートをミュートします。
  • P.MONITOR……選択中のパートのみを演奏します(多くの音源ではSOLOです)。
  • DISPLAY……パラメータ表示を1チャンネル←→8チャンネル表示にします。
  • ALL MUTE……押している間発音を止めます。

8パート表示にした時の画面
8パート表示にした時の画面

 

このうち ALL MUTE ボタンにはシフトボタンの機能もあります。押しながら操作することで、

  • PART……チャンネル割り当てを変更します。何の役に立つのかわかりません。
  • INSTRUMENT……バリエーション(バンクMSB)を変更します。
  • P.MUTE……サウンドエディットモードを開きます。
  • P.MONITOR……ドラムエディットモードを開きます。
  • DISPLAY……グローバル設定メニューを開きます。
  • DATA▶……デモ曲モードを起動します(某サイトに書いてあった)。

All Mute を押している間の表示
All Mute を押している間の表示

 

グローバル設定メニューやデモ曲モードなどから抜けるには、ALL MUTE を押します。

デモ曲モードの画面
デモ曲モードの画面

更新: 2021/11/03

パートパラメータ

本体から変更できるパラメータは

  • VOLUME……音量 (CC7) [100]
  • REVERB……リバーブ (CC91) [40]
  • CHORUS……コーラス (CC93) [0]
  • PANPOT……パンポット (CC10) [<C>]
  • KEY SHIFT……パートの移調 (±24半音) (SC SysEx) [0]
  • BEND RANGE……ピッチベンドの範囲 (0~24半音) (RPN0,0) [2]
  • MODULATION……モジュレーション (CC1) [0]
  • EXPRESSION……エクスプレッション (CC11) [127]
  • FINETUNE……ピッチの調整 (±12×3セント) (SC SysEx) [0]
  • RX.NRPN……NRPN受信可否 [OFF]
  • RX.BANKSEL……バンクセレクト受信可否 [ON]
  • PART TYPE……パートの種類 Nor(通常)/DM1(ドラム)/DM2(ドラム) [パート10はDM1、それ以外はNor]

[ ] 内は出荷時設定です。

なお、GMシステムオンを受信するとRX.BANKSELがオフになります。GSリセットを受信するとオンになります。

PART TYPE は DM1/DM2に設定することでドラムを2パートまで使用できるものと思われます(Sound Canvas シリーズと同様の仕様)。

ファインチューニングは実測値で3セント(セントは半音の1/100)単位で48セントまで設定できるようです。RPNのファインチューニングとは別物で、しかもGSの仕様とも異なっているようです(SC-55mkII や SC-88Proでは Hz 単位)。

参考までにSC-88Proのパラメータ調整ボタン
参考までにSC-88Proのパラメータ調整ボタン

更新: 2021/11/03

サウンドパラメータ

サウンドエディットモードではパートごとのパラメータを設定できます。

  • VIBRATO RATE
  • VIBRATO DEPTH
  • VIBRATO DELAY
  • CUT OFF FREQUENCY
  • RESONANCE
  • ATTACK TIME
  • DECAY TIME
  • RELEASE TIME

これらは SC-88Pro の本体から設定できるパラメータと対応していると思われます。出荷時設定はすべて0で設定範囲は±63です。

サウンドエディットモード
サウンドエディットモード

更新: 2021/11/03

ドラムパラメータ

ドラムエディットモードでは MAP1/MAP2のそれぞれについて各ノートナンバーごとのパラメータを設定できます。ノートナンバーは27~104です。

  • LEVEL (0~127)
  • PITCH (±12)
  • PANPOT (L63~C~R63)
  • REVERB LEVEL (0~127)
  • CHORUS LEVEL (0~127)

初期値はノートナンバーごとに異なります。なお、PART ボタンは MAP1/MAP2の切り替え、INSTRUMENT ボタンはノートナンバー(KEY: の後の数字)の切り替えです。

ドラムエディットモード
ドラムエディットモード

更新: 2021/11/03

グローバルパラメータ

本体から設定できるグローバルパラメータは、

  • MASTER TUNE (415~465Hz) [440Hz]
  • MASTER VOLUME (0~127) [127]
  • MASTER KEYSHIFT (±24) [0]
  • MASTER PANPOT (L63~C~R63) [<C>]
  • REVERB LEVEL (0~127) [64]
  • CHORUS LEVEL (0~127) [64]
  • REVERB TYPE (ROOM1~3、HALL1~2、PLATE、DELAY、CHURCH) [HALL2]
  • CHORUS TYPE (CHORUS1~2、LESLIE S/F、ECHO、FLANGER、DELAY1~2) [CHORUS2]
  • REVERB CHARACTER (0~7) [4]
  • REVERB PRE-LPF (0~7) [3]
  • REVERB TIME (0~127) [42]
  • CHORUS RATE (0~37) [2]

です。

グローバルパラメータ
グローバルパラメータ

更新: 2021/11/03

その他のメニュー

グローバル設定メニューでさらに DISPLAY を押すとバルクダンプメニューが開きます。

ALL/SYSTEM/PATCH/DRUM のどれかを PARAMETER で選び、DATA▶ で実行します。

バルクダンプ画面
バルクダンプ画面

 

バルクダンプメニューでさらに DISPLAY を押すとシステムエディットメニューが開きます。

システムエディットメニューにあるのは MIDI THRU の設定のみで OFF(出荷時設定でMIDI IN 1 をスルーアウトする) か HOST = P.C.(シリアルポートからの出力をスルーアウトする)のみが選択できます。

システムエディット画面
システムエディット画面

更新: 2021/11/03

収録されている音色

バリエーション音色の配列は SC-55mkII と概ね互換性があります。但し、Carillon だけバンクMSBが9ではなく16になっています。ほかにいくつか追加の音色が入っています。

特徴的なのは、鍵盤ハーモニカが入っていることと(実はXG音源(ヤマハ)にピアニカ(ヤマハはこの名前で発売しています)は入っていない)、ドレミで歌う「音色」が入っていることです。「ドレミで歌います」系の音色は主音に合わせて12種類あります。

また、鈴木楽器製作所がハモンドオルガンの販売元だからなのか、ドローバーオルガン(プログラムチェンジ17)のバリエーションがかなり充実しています(なんと Organ 1 から Organ 25 まである)。

  • Melodion (1, 0, 23) 鍵盤ハーモニカです。鈴木楽器はこの名前で発売しています。
  • DoremiC (1, 0, 53) ドレミで歌います。バンク1はハ長調・イ短調(調号が無い調)・固定ド唱法用です。
  • DoremiC# (2, 0, 53) 嬰ハ長調・嬰イ短調(♯が7つある調)用です。
  • DoremiD (3, 0, 53) ニ長調・ロ短調(♯が2つある調)用です。
  • ……(ドレミで歌うシリーズは主音別で12種類あります)……
  • DoremiA (10, 0, 53) イ長調・嬰ヘ短調(♯が3つある調)用です。
  • DoremiA# (11, 0, 53) 変ロ長調(=嬰イ長調)・ト短調(♭が2つある調)用です。
  • DoremiB (12, 0, 53) ロ長調・嬰ト短調(♯が5つある調)用です。
  • Tsuzumi (2, 0, 117) 「ポン」ではなく「コン」という感じの鼓です。
  • 購入金額

    31,000円

  • 購入日

    2021年10月18日

  • 購入場所

    ヤフオク

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