所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。徐々に時代が、楽曲を入手するのにオンラインに比重が移り、アナログレコードやコンパクトディスクのようなモノ経由で入手するという手法が廃れつつありますが、20世紀はまだそういう各種メディアのフォーマットに縛られていた時代でした。同じ記録様式で作られている12cmと8cmのコンパクトディスクは、前者がおよそ74分、後者が22分と最大収録分数が決められていましたが、ほぼ同時に同タイトルでリリースされながら、8cmCDの方に多くの曲が収められた作品をご紹介します。
スガシカオ。エレクトロ系ではないファンクを根に持つ、面白い感性を持つアーティスト。現在でも精力的に活動をしているが、1995年から活動するベテランシンガーであり、その作風は時代と共に変わってきている。初期は時に、生ギターを中心に据えたフォーキィな曲が多く、歌詞も内向的な深いモノが多いが、後にエレクトロ色が強くなり、性や人間の昏い分野にも踏み込んだものも増えてくる。
シングル“ぼくたちの日々”はそんな彼の6枚目のシングル。発売は1998年で、彼の活動歴では最初期にあたる。
表題曲「ぼくたちの日々」。ゆっくりめのハチロク(6/8)の曲で、印象的な声のスガが歌う。曲も音もブルージィな感じだが、ブラス音なども入っていて新しい雰囲気もある、ちょっと「ネオレトロ」なイメージの曲。長い付き合いの恋人?が、惰性で日々を過ごしていくのを、♪今、ぼくらの声は/カラカラと/乾いた音をたてて/すり減っていく♪と歌うのが、スガの感性。この曲のギターは、スガ自身なのだが、ワウが効いたオブリのセンスが良い。スガというと独特のセンスの歌詞と、特徴的な歌声に注目が集まるが、実はギターも結構上手いンだ。
「ひとりごと〜FAMILY SUGAR TYPE〜」は、名前の通り2ndアルバム“”に入っていた「ひとりごと」のリアレンジヴァージョン。もともと生ギと生ピが前面に出ていたフォーキィな曲が、エレキギターのバーンとかき鳴らされるコードが印象的なバンドサウンドになっている。「FAMILY SUGAR」は当時のスガのバックバンド、「The Family Sugar」を表しているのだと思うが、クレジット上はリズム隊系メンツが違う。本来のThe Family Sugarは、ドラムス沼澤尚、ベース坂本竜太(当時。後に松原秀樹にチェンジ)の構成だが、ドラムスは打ち込み、ベーシストは久保田利伸の初期バックバンドMOTHER EARTHの中村キタロー。The Family Sugarとしてはキーボードの森俊之、ギターの間宮工、コーラスの大滝裕子(AMAZONS)が参加。もともとスガの編曲の曲だったが、「Additional arrangement」としてFAMILY SUGARがクレジットされており、森カラーが強くなっている。
このシングル“ぼくたちの日々”だが、アルバムサイズの12cmCDと(最近見かけなくなった)8cmシングルの両形態がリリースされたが、こういった場合、収録可能時間が多くなる12cm盤の方が曲数が多いと思いきや....12cm盤の方には2曲しか収録されていない。まぁ、8cmシングルも、この2曲のカラオケ(....というかヴォーカルトラックをオフったマイナスワン版)が収められているだけなので、「新規性」があるわけではないのだが。
久保田利伸のように、12cm盤と8cm盤では大きく発売時期が異なるならまだ判るが(久保田は初期の8cmシングルを10年以上あとに12cmCD化している)、8cm盤は12cm盤に3週間しか遅れておらず、ほぼ同時発売なので、後発は曲としての原価回収?が進んだから...という訳でもない。
ただ後に、シングルにフルサイズのライヴを収めたDVDを添付したりしている彼のことだから、原価が安い8cm CDを、同価格で売ることに対する補填の意味もあったのかも。
通常maxiシングルと呼ばれ、より多くの曲が入れられることが多い12cmシングルの方が、ほぼ同時リリースの8cmソングルより曲数が少ない珍しいパターンの作品です。
【収録曲】
1. ぼくたちの日々
2. ひとりごと〜FAMILY SUGAR TYPE〜
「ぼくたちの日々」(動画がないように見えますが観られます/公式動画なのにサムネが...)
結構オーソドックスな造りのブルージィな曲
これドラマの主題歌なのだけれど、いくつか候補を出したうちの一番地味な曲らしく、スガ自身も選ばれてびっくりしたとか。
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購入金額
290円
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購入日
2012年09月30日
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購入場所
yahooオークション
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