「O’BON」の色鉛筆。
軸が木材ではなく、新聞紙で作られているところが特徴です。
10年前に販売されたものですが、いま現在「SDGs」「サステナブル」というキーワードで注目されることが10年前から提唱されており、そこからさらに世界は全く進歩していないというところに気づかされます。
オレンジ=虎。
グリーン=ワニ。
などなど、各色が動物をモチーフにしたデザインになっていて、見てるだけでも楽しいデザインです。この色の動物はなにかな? と気になっていろんな色を使ってみたり、動物の柄がカラフルなことに改めて考えさせられてみたり。
使い勝手も悪くなく、しっかりとした作りです。握るとちょっと柔らかいかな?
古新聞なので、削り先に印刷された断面の模様が浮かび上がります。
この、計算では絶対にできない幾何学的な模様が、また面白いのです。
ついつい先が見たくて削りすぎてしまいますね。
そういえば、知り合いのWEB制作会社の人が言っていたのですが、面接に来るデザイナーの子たちは、時代の風潮を汲んで、みんな「人に優しい作り(ユーザビリティ)、世界に優しいデザインをしている」といったアピールをするそうなんですが、「具体的に普段からどんなことをしているのか」という質問をすると、みんな黙ってしまうそうです。
確かに、人のために仕事をしたいのであればデザイナーなんて間接的なものよりボランティアや病院関係など、キツくて汚い仕事はあるのに、なんでワザワザ? ということはあると思います。
そんな考え方をしているのなら、エコ活動やボランティアにも積極的に参加しているはずですしネ。
結局、みんなカッコイイところに流れてくだけなのかもなぁ。
僕もできてないし、ゴミのポイ捨てしない(ゴミはポケットに入れる)とか、車をハイブリッドカーにするとか、それぐらいしか関与してるのないんですけど、本質というか、大事なところはなんなのかということには気をつけたいと思います。
色鉛筆に学ぶメッセージ性
普通の鉛筆は、知っての通り、森林を伐採した木材によって作られます。
しかしこの鉛筆は、環境問題に真剣に取り組んでおり、古新聞を使って作られているのです。
木を切らないことで、自然を生活拠点とする野生動物たちを護る。
デザインとコンセプトがマッチした、素晴らしいアイテムだと思います。
こういうモノづくり企業は好きなので、応援したくなりますね。
お小遣いで買える
再生品って作る手間のコストがかかりそうですが、金額的にはお財布に優しい。
鉛筆を握らせる子供に、何故新聞紙でできているのか、というところを理解してもらって楽しく使ってほしい。
生まれ変わる、輪廻。
「O’BON」の原料素材は古新聞と古チラシです。
鉛筆の芯に回収した古新聞紙をくるくると巻き付け製造されるのだそうです。
鉛筆削りをくるくる回して螺旋状に出てくる削りかすには、子供の目にも新聞の文字などがあるのがはっきりと知覚できます。
この新聞はいつの時代どのような人が手にしたものなのか、そこからどのように旅をしてきたのか、壮大な物語に心もときめき、僕がこれから描くものがどのようなピリオドを打てるのか、自分自身に問いかけたくもなります。
古新聞を再利用した商品開発ストーリーには 3R(Reduce、Reuse、Recycle)を意識したものづくりがあります。
- Reduce : 製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすること。
- Reuse : 使用済製品やその部品等を繰り返し使用すること。
- Recycle : 廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること。
必要なくなった古新聞が、木材の代替品として素材として再利用され、新たに鉛筆として生まれ変わる。生命の循環、生活環にも似たサイクルはメッセージ性が強く、何かを感じる人なら手に取らざるを得ないアイテムになっています。
計画的に数年で壊れるモノではなく、再利用を前提とした経済モデル。
命あるものが何度も転生する宗教観を、物理的に実現することはできませんが。
自分が手にしたモノをどのように使い、どのように終えるのか、鉛筆1本を対価に考えるべきなのだと思う。
サーキュラーエコノミーは企業の価値向上ではなく、個人の考えの集合体であるべきだ。
経済成長に従い、競うように争うようにと生産と廃棄をぐるぐると繰り返してきた、現代世界。
これからの循環する社会は、モノの寿命を延ばし、くるくると再利用する。
急がずペースをゆるめ、今、くるくると。
そんなデザインが必要なんだなと思います。
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購入金額
700円
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購入日
2021年05月26日
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購入場所
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