レビューメディア「ジグソー」

恐らくメーカーの想定に無い使い方で効果を発揮

ここ数年、アナログオーディオを使っていてずっと悩まされていたのが、ラジオ電波と思われる飛び込みによるノイズの発生でした。最近オーディオ界で地味に流行っている、自作のたわしアースを使ったりいろいろと対策をしてみたのですが、どうしても常に一定レベルでノイズが乗ってしまっていました。レコード再生で付き物のいわゆるハムノイズではないものの、アースラインから飛び込んでいるのはほぼ間違いないというものです。

 

きちんとレコードプレイヤーを使ったことがある方であればおわかりと思いますが、レコード再生時にはきちんとアースラインを確保する必要があり、これを怠ると盛大なハムノイズが混ざったりします。一般的にはプリメインアンプやフォノイコライザーにアース端子が用意されていて、トーンアームケーブル等から出ているアースをそこに接続します。私も以前からフォノイコライザーに繋いでいました。

 

 

 

 

 

 

 

理想をいえば「アース」というだけあり、地球上、すなわち地面にアースを落とすのが最も確実です。しかし、オーディオが設置されている2階の部屋から地面まで接地させるのはほぼ不可能です。結果的に妥協の産物としてフォノイコライザーに接続していた訳です。

 

ハムノイズの量自体は、フォノイコライザーにつないだだけでもそれなりに改善されます。少なくとも普通に音楽を聴いていて不快に思うことはありませんでした。しかし、飛び込みノイズの方は、ノイズの音が絶えず変化して、しかも量も結構変動します。フェードインで始まる曲などは、このノイズの中から音が出てくる印象で、かなり気になっていました。

 

以前アースケーブルをオーディオグレードのものに替えたことで、音質面での効果はある程度感じられたのですが、この飛び込みノイズは減ってくれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

これまでもいろいろと対策は打ってきたのですが、多少なりとも改善されたのは、アースの接続先を電源タップのKOJO Forcebar 6.1に変えた時くらいだったでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

そこでアースラインを根本的に見直すべく新たに導入したのが、電源タップと同じ光城精工製の仮想アース装置、Crystal Eとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

一般的に仮想アース装置は、オーディオ機器のシャシー等からアースを取ることで、音質の改善を図るために使われます。私のように本当にアナログプレイヤーのアースを取るために導入する人はあまり見かけないのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

このCrystal Eは密かに大ヒットを記録していて、2月中に出荷されたものの一部は、2000台出荷記念で増設用アースケーブル2種(Clone1、Clone2)の0.2m仕様がバンドルされていました。今回購入したものは、幸いこのバンドル版のものに当たったようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

外箱に貼付されている製品ラベルです。「Made in Aomori」という辺りにこだわりを感じますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

箱の中には本体とマニュアル類、アースケーブル2種(Y端子-Y端子、Y端子-RCAピン)が入っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

本体は結構コンパクトなのですが、持ってみると結構な重さを感じます。W80 × H35 × D111mmという寸法ながら、重量は約775gあるそうです。

 

 

使い方の詳細はマニュアル等に記載されている通りですが、簡単に言えば、2つあるアース端子のうち、

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの「FROM EQUIPMENT」の方に各種機器からのアース線を接続し、

 

 

 

 

 

 

 

 

もう1台増設する(仮想アースは台数を増やすことでより強い効果を得ることが出来ます)場合に、こちらの「ADD E」同士を結ぶということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

添付のアースケーブルです。添付品としては結構しっかりした作りで、シールドも強力そうに見えますので、今回はこの添付ケーブルをそのまま使います。

 

更新: 2021/03/05
総評

カット&トライは必要だが、高い効果が得られる

まずはごく普通に使ってみることにしました。

 

ノイズレベルは、Phasemation EA-200の出力を、オーディオインターフェースのMOTU 1296に入力し、そこからの出力を同軸デジタル接続(厳密にはAES/EBU)のLUXMAN DA-100のヘッドフォン出力で、音量を最大に上げてモニターします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Technics SL-1200Gに、Crystal E添付の「Y端子-Y端子」アースケーブルを接続して、そのアースケーブルをCrystal Eの「FROM EQUIPMENT」に固定します。

 

 

 

 

 

 

この状態でも、SAEC SE-300/1.2+Forcebar 6.1よりは飛び込みノイズは少ないように感じられます。しかし、Crystal Eを置く位置や向きによって飛び込みノイズが結構大きくなります。ラジオ電波だとすると、アースの接続先(Crystal E本体)やアースケーブルがアンテナとなってしまうためでしょう。

 

ただ、ここでCrystal Eの「ADD E」端子に、SL-1200G標準添付のアースケーブルを繋いで垂らしておくと、何故か少しノイズが減ります。そこで、思い切ってこうしてみました。

 

 

 

 

 

 

 

スチールラックの支柱部分を、「ADD E」端子に挟み込んでみた訳です。すると、これが驚くほど効果を発揮しました。アースケーブルを直接スチールラックの支柱に接触させるとむしろノイズは増えていましたから、Crystal Eを使ったことでこの効果が得られたのは間違いないでしょう。

 

さらに、アースケーブルのアンテナ化を抑制するために、かなり贅沢な使い方をしてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

アースケーブルにSUNSHINE製ケーブルインシュレーター、Spiral Exciterを巻いてみた訳です。

 

 

 

 

 

 

 

これも明確に効果があり、ノイズレベルがさらに1段下がった印象を受けます。ここまでやったことで、飛び込みノイズはほぼ消えました。僅かな残留ハムノイズの方が強くなっていますし、レコードをトレースする際のノイズの方が大きくなっていますので、実用上無視して良いレベルと評して良いでしょう。

 

動作確認で少しレコードを再生してみましたが、今までよりもエコー成分が淀みなく出てくるようになった感があり、少なからずノイズで音が濁っていたということを痛感させられます。本来想定される使い方とは少し違っていると思いますが、音質改善にも十分効果を発揮してくれているといえます。

更新: 2021/03/05
プチ贅沢度

「たかがアース」に払う金額かという問題

普通なら適当に用意されているアース端子に繋いで終わりというところに、敢えてこれだけの追加費用をかけるというのは、ある意味無駄に見えるかも知れません。

 

実際、私自身以前から仮想アースをきちんと試してみたいという気持ちはあったのですが、たかがアースのために約3万円払えるかと自問自答しているうちにここまで来てしまったのです。

 

今回はフジヤエービックの1日限定セールにより、「フジヤ」にちなんだ「2,280円引きクーポン」と期間限定の「5% OFFクーポン」が同時に使えたことで、通常よりは結構安くなったことで思い切って購入した訳です。

 

結果として効果は十二分に得られましたので、この出費も納得できるだけのものになりましたが、上手くいくかどうかもわからない対策にこの金額をかけるという行為は「プチ贅沢」どころではない、本当の贅沢だったと改めて思います。

  • 購入金額

    26,030円

  • 購入日

    2021年03月02日

  • 購入場所

    フジヤエービック

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