以前からJVCのウッドコーン(ウッドドーム振動板)というものに興味があったので、手頃な値段になっている本機をついポチッとしてしまいました。
商品が届いたので早速聴いてみますと、驚くほど低品質な音にびっくり。
音の傾向が好みに合わないとか言うレベルではなく、文字通りの「低品質」です。

具体的には、たとえばBillie Eilish“everything I wanted”のイントロの部分で音が割れてしまい、まともに再生されない等です。

マニアックなメーカーのものならともかく、大メーカーの製品が箱出しでまともに音が出ないというのも問題ながら、ウッドドームなのでエージングが必要なのかと思い、ピンクノイズで数時間、Chord＆Majorのサイトのエージングプログラムで2回転エージングを行ってから再度聴いてみたところ、ようやくそれなりの音が鳴りました。

ただ、音が鳴ったとは言え、あくまで音が割れなくなったりしたと言うだけで、音質という観点で評価すると、とても発売時は1万数千円していた製品とは思えないレベルです。

ウッドドームというからには、クラシックとかJAZZ、女性ボーカルなどで良さが発揮されるのでは無いかと思い、そういったソースを中心に聴いてみましたが、ちまたで良く目にするような「ウッドならではの暖かみのある音」「雰囲気のある音」といったものは全く感じられませんでした。

中でも「これはひどい」と思ったのは、宇多田ヒカルのアルバムで他のイヤホンと聴き比べたところ、本機だけ宇多田ヒカルの声が別人のように聞こえたことです。

当然、音の好みというものはあろうかと思いますが、本機の場合、味付け以前の「原音再生」というオーディオ製品の原点のところで問題があるように思います。

私の所有しているイヤホンの中にZERO AUDIOのZH-BX500という製品があります。

こちらもHA-FW7と同様、5年ほど前の製品で、かつ価格も当時5千円程度で売られていたものですが、聴き比べてみると解像度・臨場感・定位感等、あらゆる意味で全く別次元の音です(当然、ZH-BX500＞＞＞＞＞HA-FW7)。

そもそも、それほど高級な製品ではないのに、ウッドドームというだけで過大な期待をしてしまっていたことは否めませんが、それにしても上記ZH-BX500に限らず、5千円も出せばもっと音の良い製品はいくらでもあると思います。

私がポチッとしてしまった理由でもあるわけですが(自己嫌悪)、HA-FW7の他サイトでのレビューを見ると、ほとんど絶賛の嵐です。

中華製品でもあるまいし、サクラとも思えませんので、あのレビューを書いている人たちが聴いているHA-FW7と私の手元にあるHA-FW7が同じものだとはとても思えません。

あるいは、「ウッドドームだから良い音に決まっている」というプラシーボ効果が働いているのでしょうか？

そういう意味ではJVCのマーケティング戦略は上手くいっているということも言えるのかもしれませんけど。

本製品の特徴の1つでもありますが、ウッドハウジングと言うこともあり本体は非常に軽く、ケーブルも非常に細いので、取り回しはいいです。

ただ、逆に言うと、どうしても値段の割にチープな感じがしてしまいます。

所有欲が満たされるかと言ったらNOだと思います。

最近のイヤホンは特に高音部分が華やかな製品が多いこともありますが、本機は高音の伸びが感じられず、くぐもったような音に聞こえてしまいます。

また、中低音の量自体はたっぷりしているものの、制動が効いておらず、やたらブーミーに感じられます。

上にも書いたように、ウッドドームという先入観でアコースティックなサウンドや女性ボーカルなどに期待すると大変がっかりする可能性が高いです。

あえて言うと、J-popやアニソンなどのソースの方がそれなりに聴けます。

ただ、だったらあえてこの製品を選ぶ意味がありませんよね。

ちなみに、私の場合は主に

　PC ～(有線接続)～ 真空管プリアンプ兼DAC ～ 本機

という構成で聴いております。

音源は、CDからリッピングしたFlacファイルもしくはApple Musicです。

ところで、スマホ(iPhone)直挿しで聴いてみたらどうなんだろう？と思い立ち、試してみましたが、結果は酷いものでした。

これまで書いてきたように、ただでさえ酷い音が、さらに薄っぺらく平板なものになり、とても聴けたものではありません。

私が普段使っているJabra Elite 65tという完全ワイヤレスイヤホンの音と比べても劣っているほどです。

このモデルはウッドドームとは言えエントリーモデルなのですから、DACやポタアンなど使用しないユーザーも結構多いのではないかと思うのですが、JVCは一体どんなユーザーをターゲットとしているのでしょうか？