レビューメディア「ジグソー」

スペックはさほどでもないが、出てくる音はまずまず

Echo Digital Audioは、2015年までPC接続用のオーディオインターフェースを製造していたメーカーでした。

 

特にPCIスロット用に名作が多く、私も同社製のLAYLA 24/96などを今も使い続けているほどです。

 

 

 

 

 

 

 

LAYLA 24/96やGINA 24/96は世代が古すぎて5V PCIスロット専用であり、次世代で3.3VPCIスロット対応のLAYLA 3GやGINA 3Gが安かったら買おうと思っていたものの、結局現時点に至るまで縁がありませんでした。まあ、PCIスロット自体が電圧に関係なく絶滅してしまいましたが…。

 

その第3世代製品と同時期に、FireWire(IEEE1394)接続用の別シリーズとしてリリースされていたのが、AUDIOFIREシリーズでした。AUDIOFIREの後に付いている数字は入出力ch数で、このAUDIOFIRE 8は8ch I/Oということになります。このAUDIOFIRE 8は、PCIスロット用の最上位モデルであったLAYLA 3GのFireWire版というべき構成であり、構成パーツなどはほぼ同レベルとなっています。AUDIOFIRE 12というより上位の製品もあるのですが、これはヘッドフォン端子すら無いという入出力特化モデルであり、使い勝手とのバランスが良かったのはこちらのAUDIOFIRE 8の方となります。

 

特に必要という訳でも無かったのですが、LAYLA 3Gを入手できなかったことに悔いがありましたので、ほぼ同等といえるこの製品につい手が出てしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10年以上前の製品ではありますが、珍しく外箱を含む付属品が一通り残っていました。なお、AUDIOFIRE 8は前期型・後期型に分類され、両者で搭載DACなどが異なります。今回入手したのは前期型で、FireWireの端子が上向きになっているのが特徴です。後期型は端子が上下反対になっています。

 

前期型は24bit/192kHz対応CodecであるCirrus Logic CS4272を、後期型はAKM AK4620をそれぞれ搭載しているそうですが、それで出てくる音が極端に変わっているということは無いらしいです。実際に聞き比べたことはありませんので、あくまで伝聞ですが…。

 

CS4272は2ch入出力対応で、マスタークロックやデジタルアッテネーター等も内蔵したオールインワン型のチップですが、はっきり言ってしまえばそれほど高品位なチップではありません。その割に、RME FIREFACE 400など、意外と高価なオーディオインターフェースに搭載されていることがあります。

 

なお、電源ケーブルだけは欠品していました。FireWireケーブルは残っていますがPC用にしか見えない水準のものですので、これは使わず取り敢えずオヤイデ製のケーブルで接続します。電源は手近にあったaudioquest NRG-X3を使います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フロントは至ってシンプルで、マイクプリ内蔵の2ch入力と、ヘッドフォン出力(いずれもボリュームコントロール付き)があるだけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背面は8chのアナログ入出力、ワードクロック入出力、同軸デジタル入出力、MIDI入出力、FireWire端子が用意されています。この世代でMIDI入出力があるのは意外と珍しいかも知れません。

 

更新: 2021/02/02
総評

ソフトウェアの更新が無いのが厳しいか

アメリカ本国では実売価格$600程度ですから、実は高級といえるほどのグレードではありません。しかし、元々ハードウェアの設計に定評があったEcho Digital Audio製だけに、価格を考えればオーディオ的な品質は十分に優秀な製品です。

 

試しにヘッドフォン端子にSENNHEISER HD6XXを接続して何曲か聴いてみましたが、完全にモニター寄りの音ではあるものの、なかなかのクオリティです。さすがに300ΩのHD6XXを余裕を持って鳴らすところまではいきませんが…。

 

LAYLA 24/96は割合低域方向の力感が強めな印象があったのですが、AUDIOFIRE 8はそれと比べるとやや低域の密度は薄くなった感があります。とはいえ、案外こちらの方がフラットバランスに近いかも知れません。比較的安価なCodecチップでデジタル処理を全て行っていることを考慮すれば、Echo Digital Audioらしい設計の巧さが光ります。

 

ただ、実用性の方は正直ちょっと微妙です。私は普段PCで音楽を再生する際にfoobar2000を使うことが多いのですが、WASAPIで利用する場合にはfoobar2000ではサンプリング周波数をAUDIOFIRE 8の設定コンソールを使って手動で切り替えないと、そのサンプリング周波数の曲を再生することが出来ません。ASIOであればごく普通に切り替わりますが…。

 

 

 

 

 

▲foobar2000はASIOで使うのがベター
▲foobar2000はASIOで使うのがベター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

設定ツールとなる「Echo Firewire Console」です。

 

foobar2000を利用してASIOで再生している状態なので、動作サンプリング周波数が88.2kHz(再生しているファイルが24bit/88.2kHzのWAVであるため)、設定サンプリング周波数が96kHzという状況が成立していますが、WASAPIにした場合にはこの状態で再生を開始するとエラーになります。「Core Audio sample rate」で88.2kHzを選択すれば再生できるようになる訳です。

 

 

本来ならばこの辺りはソフトウェアで改善して欲しい部分ではあるのですが、Echo Digital Audioは2015年にコンシューマー向けの全てのオーディオ機器から撤退してしまいました。ドライバーサポートはWindows 8までで打ち切られてしまっているのです。一応Windows 10リリース後に「社内の環境では既存のWindows 8向けドライバーでWindows 10でも利用可能」という検証結果は報告してくれましたが…。

 

 

このWASAPIにおけるサンプリング周波数設定の挙動は大きな弱点ですが、10万円を割り込むクラスのオーディオインターフェースとして、音質面では今なおかなり良好な部類でしょう。FireWireを今から用意するのは少し面倒かも知れませんが、安価に高品位なオーディオインターフェースを入手したいのであれば、現時点でも検討の余地がある製品だと思います。

 

  • 購入金額

    5,000円

  • 購入日

    2021年02月02日

  • 購入場所

    ヤフオク

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