レビューメディア「ジグソー」

普通の部屋では恩恵も半減

寒くなってきて湿度が下がってくると、レコードを使う上で気になってくるのが静電気です。

 

特に私はTechnics SL-1200Gのターンテーブル面とトーンアームの高さのマッチングのまずさを解消するために、ターンテーブルシートとして厚みのある、マグネシウム製のSUNSHINE STS-2を使っているため、ここで生じている静電気に手を焼いていました。結果的にレコード盤もかなり帯電して、埃を呼び寄せてしまう状態なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現時点では、この静電気を多少なりとも緩和するために、STS-2の上に47研究所の豚革シートを置いて使っています。

 

 

 

 

 

 

 

きちんとしたオーディオルームで使っていれば別なのかも知れませんが、私の環境では布団も衣装ケースもある部屋で使っていますので、静電気に手を焼く=埃に手を焼くという状態なのです。

 

 

普段レコードの埃取りには、audio-technica製のベルベットクリーナー、AT6012Xを使っていて、付着した汚れやなかなか取れない埃がある時に、OYAGのクリーニング液+audio-technica AT6018のブラシを使って掃除するという形です。ただ、この組み合わせは念入りに拭くと摩擦でまた静電気を発生させてしまいます。

 

 

そこでその対策として、一部メーカーから発売されている除電ブラシというものを使ってみようと思いました。割合知られている除電ブラシとしては、YUKIMUから発売されているASB-1という製品があります。他社製も多少の上下はあるものの、似たような価格帯に展開されているようです。

 

そこで近々ASB-1を買ってみようと考えていた時に、たまたま見つけてしまったのがASB-1の上位に追加された新製品、ASB-2 ionでした。

 

 

除電ブラシとしての基本はASB-1とさほど変わらないようですが、ASB-2 ionはその型番通りイオナイザーを内蔵しているという違いがあるのだそうです。

 

このイオナイザーは、端的に言うと+電荷と-電荷を一連の動作で連続して発生させて放射することで、対象物の耐電を除去するというもので、圧電素子によって発生されるため電源を必要とせず、何度でも使えるのだそうです。

 

…正直言って何となく腑に落ちない説明に感じられますが、効果があれば良いかと思い、これを入手してみることにしました。

 

 

更新: 2020/12/11
総評

一応効果はあるようだが…

レコードブラシにこの金額というのは、正直行き過ぎの感がありますが、取り敢えず現物を確認してみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱の裏面には内蔵イオナイザーの説明を中心として色々書かれていますが、一見しただけではごく普通のレコードブラシにしか見えません。

 

 

 

 

 

 

 

 

発売元はユキムですが、製造元は電源関連用品でお馴染みの光城精工製なんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱の内側がブラシスタンドとなるように設計されています。まあ、使い勝手が悪いので本当にこれをスタンドとして使うことはないと思いますが。

 

 

 

 

 

 

 

スタンド型台紙の裏には使い方が説明されています。除電したい時には、ブラシ部分の根元の金属部を掴んでブラッシングするのがコツのようです。イオナイザーを使う時には、柄の先端をレコードの盤面に向けて電荷を放出することになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い柄の部分に銀色のレバーが埋め込まれていますが、これがイオナイザーを動作させるスイッチとなっています。

 

 

さて、それでは実際の使用感ということになるのですが…。

 

 

確かに除電効果はあると思います。試しにSTS-2にイオナイザーを使ってみたのですが、酷い時には近づいただけで静電気が感じられるほどだったものが、触れても感じられないのですから、除電はできているのでしょう。

 

レコードの盤面については、まずはブラシ部分でクリーニングをします。確かにAT6012Xを使った時よりは埃が掻き出されているのは間違いないと思います。

 

ただ、この製品はあくまでブラシであり、ここで掻き出した埃をレコード盤から除去する道具ではありません。結局、この埃を取るためにAT6018のベルベット部分(AT6012Xよりも埃は取りやすい)を使わざるを得なくなります。そして取っている間に徐々に帯電してきてまた埃を呼び始めるという堂々巡りが続いてしまいます。埃の取り方は何か考えなければいけないでしょう。

 

現状ではAT6012Xで大まかな付着物を除去→ASB-2 ionで除電→AT6018で最後に盤上に見えている付着物をすべて除去→ASB-2 ionのイオナイザーで除電、という手順でクリーニングしているのですが、何というか手間が増えた割に得られるものが少ない印象はどうしてもあります。確かに以前より盤上に残る埃は減ったと思いますが…。

 

 

恐らく埃成分が発生しにくいリスニング専用ルームを持っているような方であれば、埃の問題はそこまでシビアではないので意義の大きいものなのでしょう。しかし、どうやっても埃の多い部屋で使っていると、どうもこの製品のメリットを十分に体感できるようには感じられません。

 

私の環境で使う限りは、ちょっと高い買い物だったな、という印象です。

  • 購入金額

    17,160円

  • 購入日

    2020年11月16日

  • 購入場所

    フジヤAVIC

20人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • kensanさん

    2020/12/12

    除電ブラシってやはり高価ですね!
  • jive9821さん

    2020/12/12

    > kensan さん

    普通の除電ブラシは7,8千円程度の物が多いのですが、この製品は
    イオナイザー内蔵でより高価なのです。

    実はこの購入価格でも、一般的な販売価格よりは2,3千円安かったり
    するのです。

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