80年代の洋楽に親しんだ方であれば、言わずと知れた有名盤ではないかと思います。Tears for Fearsの2ndアルバムとなる「Songs From The Big Chair」の、リマスターLPです。
この作品は元々20年以上前に中古LPを買って聴いていました。彼らの楽曲の中でも、恐らく最もワールドワイドにヒットを記録した「Everybody Wants To Rule The World」「Shout」「Head Over Heels」という3曲を収録していますので、多くの人が彼らのアルバムとしてまず思い浮かべる作品だと思います。
いかにも80'sという音作りですが、意外とメッセージ性の強い歌詞(Head Over Heelsは除く)など、後の彼らの作品に通じる要素も内包されていて、名盤と呼ぶにふさわしい内容となっています。
個人的には、内容の深みという点では次作に当たる「The Seeds Of Love」が勝っていると思いますが、音のキャッチーさなど親しみやすさはこの作品が頂点だったと思っています。とはいえ、シングル「Sowing The Seeds Of Love」は日本でも日産・シルビア(S14)のTV-CFで使われたりもして結構ヒットしたと思いますが…。
この作品まではバンドスタイルだったTears for Fearsですが、次作ではRoland OrzabalとCurt Smithのデュオ形式となり、後にRoland Orzabalのソロ・プロジェクト期を経て、現在は再び彼らのデュオとなっています。
音質面では大幅な進歩
さて、今回取り上げたのは元々持っていたLPの音質にどうにも満足できず、新たにリマスター重量盤LPを入手したためです。
ジャケットデザインは以前から持っていた1985年リリース盤とほとんど変わっていません。
今時らしいのは、「INCLUDES A VOUCHER TO DOWNLOAD MP3 VERSION OF THE ALBUM」というラベルで判る通り、LP購入者には公式のmp3ダウンロード権も付属しているという点でしょうか。私はLPを買うと24bit/88.2kHzのWAVでデータ化することが多いのですが、普通の人はまずそんなことはしないでしょうから、DAPやPC等で聴くには親切なサービスでしょう。
前述の通りTears for Fearsは本作リリース時にはバンドだったため、内袋にメンバーの写真が掲載されています。
収録曲も1985年盤と変わっていません。実は今年CDでは本作のDeluxe BOX版がリリースされていて、そちらには大幅な楽曲の追加があります。
前述の通り、こちらのLPは180g重量盤となります。2014年発売のものとなるはずです。
さて、1985年盤との違いですが、一聴して明らかなのは、1985年盤ではヴォーカルのサ行が濁っていたり、ハイハットの音に金属感が無いなど質の低さが目立っていたのに対して、2014年盤はそういった問題点はほぼ解消しているということです。音質的に恐らくベストと思われるのは、2012年に発売されたMobile Fidelityの2枚組Ultra Analog Discですが、さすがに入手困難です。
勿論、レコーディングの音が変わっているわけではありませんので、音質の限界は感じられます。しかし、この2014年盤は以前素晴らしい出来だった「Chicago II」のリミックスを担当したSteve Wilsonの手によるものであるらしく、きちんと現代的に聴ける音質に仕立てているのはさすがです。
実はこの作品はリマスターが妙に良いという評判を聞いていたために購入したのですが、納得できるだけの完成度に仕上がっていると思います。
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購入金額
2,564円
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購入日
2020年11月22日
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購入場所
タワーレコード オンライン
kaerkiさん
2020/12/02
私の場合、年代別に流行った曲を集めたアルバムだった様な。
当時は散々の洋曲が全盛期だったかもしれません。
jive9821さん
2020/12/03
個人的には、洋楽ロックは先鋭性や革新性は70年代で、完成度は80年代がピークかな、と思っています。
それ以降の年代は、所々に良い曲はあるものの、全体的には何か行き詰まった感じがしていまして…。