レビューメディア「ジグソー」

音楽的にもオーディオ的にも高水準な名作

随分前からLPで持っていましたが、何分10年以上前に300円で買った中古盤だけに、ノイズが多く買い直そうと思っていたアルバムです。たまたまオーディオ店で再発の重量盤が入っていたので丁度良いと思い購入してきました。

 

本作はスティーリー・ダンの7作目となるアルバムで、本作リリース後にスティーリー・ダンは実質的に解散状態となります。これには様々な理由はありますが、当時日本円で約1億円と言われた巨額な制作費や権利問題でレーベルと揉めていたこと、中心人物の一人であったウォルター・ベッカーの薬物中毒が悪化していて長期療養が必要な状態であったことなどが大きかったようです。

 

前作「彩(エイジャ)」が極めて高い評価を得て、グラミー賞でも最優秀録音賞に輝き彼ら初のプラチナアルバムとなったわけですが、こちらの「ガウチョ」のそれに匹敵する評価と内容を誇っています。普段私のレビューをご覧いただいている方であればお気付きかも知れませんが、本作収録曲の「Babylon Sisters」は私がオーディオ機器のレビューを書く際の定番試聴曲の一つとなっています。それだけにコンディションの良い盤が欲しかったわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side A

 

 1. Babylon Sisters

 2. Hey Nineteen

 3. Glamour Profession

 

 

Side B

 

 1. Gaucho

 2. Time Out Of Mind

 3. My Rival

 4. Third World Man

 

 

 

 

収録曲は全7曲で、総演奏時間は37:58とフルアルバムというには少々物足りないボリュームとなっていますが、これは本来収録される予定だった楽曲「The Second Arrangement」が、エンジニアのミスでマスターテープを消去されたことで収録見送りとなってしまった頃も影響しているようです。再録音を試みたものの納得行く完成度に到達することはなく、急遽予め録音されていた「Third World Man」という曲を代わりに入れたとのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きちんとした新品の筈なのですが、近年の輸入盤らしく汚れはかなりひどく付着していますし、細かい傷も結構入っています。日本の東洋化成でプレスされたレコードも昔と比べれば汚れが結構付いていると思いますが、輸入盤はその比ではないほどコンディションは劣悪です。

更新: 2024/02/14
総評

やはりオーディオ的に高品質

早速普段使っている環境であるTechnics SL-1200G+Phasemation EA-200、カートリッジはaudio-technica AT-OC9/IIIという環境で聴いてみました。

 

 

 

 

 

 

 

まずオーディオ的な部分ですが、今まで持っていた古い中古盤と比べると、少し音色が明るい印象があります。リマスターされた音源がベースとなっているのでしょう。それでも緻密さや間接音の存在感などは相変わらずさすがというべきもので、古い盤と同様試聴盤として十分使えそうです。

 

 

収録曲は全てYouTubeで公式にアップロードされているものがありますので貼っておきます。YouTube動画としては結構音質も良好ですので聴いてみていただければと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

収録曲は全曲ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーという2人の中心メンバーによって書かれていますが、タイトル曲「Gaucho」のみクレジットにピアニスト、キース・ジャレットの名前があります。これはこの曲の構成が、キース・ジャレットの楽曲「Long As You Know You're Living Yours」に酷似していて、キースが盗作として訴え、スティーリー・ダン側もこの訴えを受け入れたための措置となっています。

 

 

現在では「彩(エイジャ)」と本作「ガウチョ」は共に最高水準の傑作と評されていますが、個人的には「Babylon Sisters」や「Hey Nineteen」はシングル曲として「彩(エイジャ)」収録曲より水準は高いものの、前作のタイトル曲「Aja」ほど圧倒的な楽曲は本作にはないかなと思っています。その意味では甲乙つけがたいのは確かですが、アルバムとしては「彩(エイジャ)」が、楽曲単体では「ガウチョ」が上に来るのかなという印象です。

 

2000年代に入り再結集したドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーはスティーリー・ダン名義で2枚のアルバムを製作しますが、それらの作品は「彩(エイジャ)」や「ガウチョ」のような突き抜けたこだわりは感じられず、何となく普通っぽいという印象を受けてしまいました。

 

本作リリース後事実上の解散状態となった彼らは、ドナルド・フェイゲンがソロ活動をスタートさせ、不朽の名作「ナイトフライ」を発表します。「彩(エイジャ)」ー「ガウチョ」ー「ナイトフライ」という流れを見てみると、70年代的なマニアックなこだわりから80年代的なとっつきやすさへの変遷が感じられ、「ガウチョ」はその中間に位置することが判ります。

 

まあ一つだけいえることは、この3作はどれも音楽・音質共に極めて高い水準の作品であり、ロック史に残る名作であるということです。

  • 購入金額

    4,950円

  • 購入日

    2024年01月06日

  • 購入場所

    ノジマ オーディオスクエア

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