所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。Acid Jazz。ダンスシーンにJazzのテイストを持ち込んだ1980年代に勃興したジャンルです。海外では、1990年代になり、Jamiroquaiをはじめとして、大きく盛り上がったムーブメントとなり、一時代を築きました。日本ではそこまで大きく盛り上がりませんでしたが、その中でも大きな爪痕を残したアーティストもいます。そんなアーテストがプロデュースしたヴォーカリストの最高傑作をご紹介します。
bird、女性ヴォーカリスト。現在も活動を続けているが、一番注目を集めたのは、20世紀末の1999年からの数年間。日本での代表的なAcid Jazzアーティストである、MONDO GROSSOこと大沢伸一がプロデューサーを務め曲を提供、birdが詞を書き歌った1st~11thシングルまでの2年半。大沢のCOOLなトラックに、birdのクラブシーンを消化したヴォーカルが乗って、いずれの曲もダンスシーンにぴったりだった。
ただ、一番Acid Jazzの風味が濃かったのが、9thシングル“マインドトラベル”。ワンコード部分が多くCOOLでかつ熱い大沢の曲に、birdの詰め込み気味の詩が乗り、和製Acid Jazzの頂点と言えるかもしれない。
「マインドトラベル」。この曲、MONDO GROSSO-birdコンビの最高傑作かもしれない。イントロでのアーシィかつファンキィな生ギターのカッティング、大沢がベーシストだからか、ダンストラックなのにドラムスより存在感大きく入ってくるベース。Aメロに入るとドラムスもスネアやハイハットが入ってくるが、それでもファンキィなカッティングギターとベースの方が優勢。ガチャガチャと細かい刻みと大きなうねりがあるリズムに、歯切れ良く載せるbirdの歌はさすが作詞者。ちょっとワンコードで単調なBメロを挟んで、ストリングスががっちり入るサビに行くが、大きな盛り上がりがなく、また生ギターのカッティングに戻るのが、COOL!!!!ブリッジがストリングスというのが、Acidだなー。
「マインドトラベル(Rascal Mix)」は、エディットの巨星Latin Rascalsの一人、Albert Cabreraが手掛けたミックス。当時流行のダブのカラーを入れたミックスで、フロア向け。オリジナルとは全く違い、ビート強めで導入され、サビのストリングスがループする中、断片化されたbirdのヴォーカルフレーズがコラージュされる。歌詞としては、印象的に繰り返し使われているフレーズ、♪イマジネーションを使って君と会う/イマジネーションを使って旅にでる♪の部分が元曲を表しているほかは、♪太陽は見つめている♪の「太陽は」の部分が切り取られてところどころにちりばめられているのがヴォーカルのすべてであり、「曲を聴く」というよりは踊るためバックトラックという感じ。
楽曲そのものは、先鋭的かつキャッチーで、時代を創りうるものだったが、残念ながらセールスは振るわず、それまでビートが効いた系の曲だったらチャート20位付近まで行っていたMONDO GROSSO-birdコンビも、この曲では70位付近で終わる。それを受けたのか、このコンビもこれの半年後には終焉を迎え、birdと大沢は別の道を行くことになる。
1980年代にイギリスで生まれたAcid Jazzが、20年かけて極東の島国にたどり着き花開かせた楽曲。もう半周早かったなら、展開も違っていたかもしれません。それともこの曲はAcid Jazzの最終ターミナルに咲いた徒花だったのでしょうか...
モノトーンのジャケットが、銀黒のピクチャーレーベルと合わせてイカしてる←死語
【収録曲】
1. マインドトラベル
2. マインドトラベル(Rascal Mix)
3. マインドトラベル(Instrumental)
「マインドトラベル」(画像は曲に合わせて投稿者がつけたモノだけれど、曲はbirdのオリジナル)
生ギターを使って、ここまでダンサブルな曲ってあまりない
生ギターで、ファンキィかつダンサブルというのは多くはないが、カッコ良い最右翼。
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購入金額
1,020円
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購入日
2000年頃
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購入場所
北のラブリエさん
2020/11/02
わたしだったらこういうのも好き。
cybercatさん
2020/11/02