bird。初期はMONDO GROSSOこと大沢伸一のプロデュースで怒濤のようにシングルリリースしていたビート~ソウル系シンガー。そのリリースは2ヶ月おきほどのピッチで1年ほど続き、いつCD店に言っても新譜があるという状況だった。その最大のヒットは車のCFにも採用された「空の瞳」
で、特徴的なベースに目立つパーカッションとスネアの刻みが印象的なCOOLなダンスチューンだったが、その直後が本作。
同じ路線で押すか、と思ったら全く違う。ランニングするウッベにピアノが載りブラス隊が彩るちょっとジャジィな曲。静かに張るbirdの声が心地よい。
まず「満ちてゆく唇 (Single Mix)」。不思議なグルーヴ。かなり大人数の金管隊が奏でるシンセブラスとは明らかに違うバラっとしたブラスのライン。四分音符で絶え間なく動くウッベを支えるのが硬い打ち込みのドラムス。ジャズアレンジのドラムスだけがスウィングしていないミスマッチの妙。フロア系のCOOLなノリがいい。
「満ちてゆく唇 (Swing Trio Mix)」は一転、ドラムスは生。今度はラッパ隊がおらず、ピアノ+ウッベ+ドラムスのスウィンギィなトリオプレイ。David Hazeltineのピアノソロが夜っぽい。birdの声はバックが薄い分、張ってる感じかな。こっちはこっちでダイナミクスがスバラシイ。
「満ちてゆく唇 (Original Naked Soul Mix)」はbirdの声にかけられたリヴァーブのような「お化粧」も少なく、「リズムマシン」に大沢が弾く全音符の和音中心のピアノがダルなツービート。曲を聴く、というより「感じる」ようなミックス。間奏もソロではなく、リズムを強調したブリッジ、という感じのあたりも、ゆったりとビートに身体をゆだねることを誘う。
前曲「空の瞳」の前へ、前へというビートの効いた曲とは全く違う柔らかさ。そしてこのmaxiに収められた3つのミックスもそれぞれ違う。でもその根底に流れるCOOLな芯、というのが揺るがない。現在は大沢の元を離れて活動している彼女だが、初期のイメージ造りに大沢のプロデュース力の恩恵があったのは確か。それはこんなにぱっと聴き違う曲をリリースしながらも、根底に流れる「雰囲気」が近いのであまり「とっ散らかっている感じ」がしなかったせい。
ヒット曲の次の一手として彼等が選んだのは、そんな「何処か同じ香りがする」作品でした。
【収録曲】
1. 満ちてゆく唇 (Single Mix)
2. 満ちてゆく唇 (Swing Trio Mix)
3. 満ちてゆく唇 (Original Naked Soul Mix)
4. BEATS (Carlos Murphy Mix)
「満ちてゆく唇」
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購入金額
1,223円
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購入日
2000年頃
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購入場所
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