以前から、日本国内で商品企画を行っているという新興ブランド、JPRiDEの製品に少し興味がありました。比較的安価な製品を中心に展開しているのですが、割合きちんとした素材を使っていたり、スペックも十分立派なものがありましたので、機会があれば何か買ってみようとは思っていたのです。
先日行われたAmazon Prime Dayで、その前から先行特売が行われているのを見つけましたので、有線イヤフォンのベーシックモデルであるJPRiDE Premium 1984という製品を取り敢えず購入してみました。
この製品は標準価格で6,800円、特売等であれば5千円前後まで下がってくるという低価格帯の製品でありながら、ベリリウム振動板を採用したダイナミックドライバーを搭載しているということで、素材だけ見れば価格破壊的な安さなのです。また、ハウジングもアルミ製だったり、MMCX端子採用によるリケーブルにも対応していたりと、この価格帯としては隙の無いスペックです。
箱がコンパクトにまとまっていながら、それほど安っぽさを感じない辺りは好印象です。リケーブルだけ買ってもこれよりも遙かに大きい外箱だったりすると、何となく資源が勿体ないという印象を受けてしまいますので…。
保証カードには12ヶ月間の製品保証が付いているだけでは無く、30日間の満足度保証も付いているとのことです。
付属品は書類の他はイヤーピースのみと至ってシンプルなものです。
ケーブル装着済みの状態で出荷されてきます。まあ、MMCXのコネクターは結構着脱時に破損させてしまう人もいるみたいですので、最初から装着済みの方が間違いは無いと思います。
MMCX端子部です。この辺りの造りは5千円クラスとしてはなかなか品質感が高く好印象です。後は出てくる音で判断してみることにしましょう。
刺激が強すぎて、この音は高く評価できない
今回は3.5mmシングルエンドケーブルが付いてきているということで、Acoustic Research AR-M2で試聴します。手持ちのDAPでは音質やイヤフォン・ヘッドフォンへの対応度が最も高いのはこの製品だと思いますので。
まず、購入直後の段階では、音が出た時点ですぐに耳から外してしまいました。割合低い帯域の高音、せいぜい1~2kHz辺りだと思うのですが、この部分にできる極端なピークがとにかく耳障りで、とても聴いていられません。
ベリリウム振動板採用モデルであり、エージングに時間がかかることは想像できましたので、それから約3日ほど、FiiO X5 3rdに繋いでひたすら音楽をランダムで鳴らし続けて、計70時間以上慣らしたところで再度試聴を行いました。
音出しを始めた直後よりは改善しましたが、本質的にはこの部分の極端なピークと質の低さは、この製品の特徴といわざるを得ないようです。高域でももう少し上の部分(4~10kHz)辺りの質はこの価格帯としてはまずまず高いだけに、この極端さはとても残念です。
1kHz辺りを中心とした部分で耳障りさがあるだけに、ヴォーカルの子音も耳についてしまい、高域成分が少ない曲でもどうしても耳障りさが感じられてしまいます。もう少し他の帯域の癖ならば救われる部分があるのですが…。
イヤーピースで刺激分を取る意図で、SONY製のノイズアイソレーションイヤーピースを引っ張り出してきたり、AZLA Sedna Earfitを使って中低域の密度を上げるなど色々試してみましたが、本質的な解決には至りませんでした。標準添付品よりは良くなりますが。
ケーブルについても、Acoustic Revive REC-130SH-Sに交換してみましたが、音場が一気に広がり、低域の方にも伸びは出てくるのですが、ピーク部分の質については改善されませんでした。質はケーブルである程度改善できるのでは無いかと期待したのですが…。
この部分の癖を除けば、リケーブル込みであれば5千円前後クラスのイヤフォンとしては質の高い音だと思います。ただ、この極端なピークがある音を長時間聴いていると、はっきり言って耳がとても疲れます。耳の健康という観点から、この音を広くお薦めはできません。このイヤフォンを聴いた後に、普段使っている64AUDIO U4という押し出しの強い音を持つ製品を聴いてほっとしたくらいですから、それだけ刺激が強かったということです。
きちんと金がかかっていて、品質感も高く作り手の熱意は十分に伝わってくるのですが、出てくる音が長時間聴けないのでは、さすがに評価は辛くせざるを得ません。逆にこの音でネット上にネガティブな評価があまり見られないのが気になるところです。
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購入金額
4,300円
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購入日
2020年10月13日
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購入場所
Amazon JPRiDE 直販
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