所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アルバムタイトルに自身の名をつけるアーティスト(バンド)は多いですが、その多くは1stアルバムに自身の名をつけることが多いようです。一方、いくつかの作品を経た後、自身の名を冠した作品を創った場合、「集大成」か「リスタート」の作品であることが多いようです。意図したものかどうかはともかく、あとから俯瞰した場合、最もそのグループらしい曲が凝縮された作品に自らの名(を連想させるもの)をつけたデュオがいます。そんな作品をご紹介します。
コブクロ。小渕健太郎と黒田俊介、つまりコブチとクロダによるJ-POPデュオ。20世紀末、ストリートで歌っていた小渕と黒田が出遭い、デュオを組んだ。その後インディーズを経てメジャーデビューするが、1stシングルはそこそこのヒットとなるものの、その後は大きなヒットに恵まれず、地道に地域を回るライヴ活動に注力する。活動4年目の5thアルバム“NAMELESS WORLD”で火が付き、続くべストアルバムも売れ、その翌年に出た6枚目のオリジナルアルバムが“5296”。
アルバムタイトルの“5296”=コブクロのごろ合わせでジョークが効いているが、中身はいたって真面目な造りでコブクロらしさにあふれている。
「君という名の翼」。小渕の弾くエレキギターと、ドラムスとピアノの以外は基本打ち込みなのだが、ストリングスが18人構成の生ストリングスなので非常にゴージャス。8分音符で刻むベースだけは打ち込みっぽいけれど、コードのメインを弾いて空間を埋めるピアノとリズムのかなめのドラムスが生なので、かなバンドっぽい。ノリが良く、サビの部分のハモりなどが実にコブクロらしいこの曲は、13thシングル。
コブクロの曲の8割は小渕の曲なのだが、このアルバムで唯一の黒田の曲が「月光」(「風の中を」は曲は小渕だが詞は黒田)。黒田の曲としてはめずらしくノリの良いハードでノリの良いロックナンバー。シングル曲などを除く、このアルバムのメインのバックバンド構成で、ドラムス桜井正宏、ベース山田裕之、ギター浜口高知、キーボード(オルガン)松浦基悦、プログラミング岩瀬聡志というメンツ。特に元THE SQUAREの長谷部徹に師事した桜井と、現CASIOPEA3rdの鳴瀬喜博に師事した山田という、フュージョンテイストをベースに持つリズム隊が作り出すリズムが心地良い。
「風見鶏」は14thシングルの「蕾」のカップリング。コブクロ王道の展開で、歌い出しが小渕で、黒田に引き継ぎ、サビは二人で、でも主旋律が黒田と言う、一番多いパターン。ただこういうドラマチックな曲はこのコブクロ王道パターンが一番しっくりくる。
DVDは15thシングル「蒼く 優しく」のMVと50分弱に渡るインタビュー。MVの方は彩度を落としてモノクロ調にした映像に時々混ざる夕焼けなどの有彩色が美しい。
前作“NAMELESS WORLD”、次作“CALLING”と合わせて、2011年の休業前のオリジナルアルバム3作の真ん中に位置する作品で、コブクロとしても最も「売れた」時期の作品。それだけに力が入った造りで、いわゆる「捨て曲」がない造り。
コブクロの最盛期を堪能できる作品です。
どうでも良いが、この銀紙素材の装丁はやめて欲しかった。指紋ベタベタになる。
【収録曲】
<CD>
1. 蒼く 優しく
2. コイン
3. 蕾
4. どんな空でも
5. 君という名の翼
6. WHITE DAYS
7. 君色
8. 水面の蝶
9. 風の中を
10. 月光
11. 風見鶏
12. Diary
13. Fragile mind
<DVD>
1. Video Clip “蒼く 優しく”
2. Extra “2006〜5296〜2007”
「君という名の翼」
コブクロらしさが溢れている
連続チャート1位を極めていた時代の中央に位置する作品で、どの曲も「コブクロ」。
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購入金額
3,675円
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購入日
2010年頃
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購入場所
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