SATOLEXは電子部品やオーディオ系OEM製品を手がけるホシデンの子会社で、フルデジタルヘッドフォンや、安価なハイレゾ対応イヤフォンを投入したことで話題を呼んだブランドです。
私自身、以前SATOLEX製のイヤフォンについては取り上げていますね。
ただ、このとき取り上げたTubomi DH298-A1は残念ながらあまり評価できるものでは無いという印象でしたが…。
ただ、もう少し高めの製品であればコストパフォーマンス抜群と評価していました。そこでたまたま付属品欠品の展示処分品が出ていたヘッドフォン、Fumine DH307-A1Bkを試してみることにしたわけです。
当初はケーブルのみ欠品と説明されていたのですが、実際には説明書や外箱も残っていませんでした。まあ、保証自体はつきますし、980円のヘッドフォンに文句を言っても仕方ないでしょう。
写真ではわかりにくいかもしれませんが、軽量コンパクトである反面、造りはかなり華奢に見えるのが少々気になります。
この製品は元々ビックカメラグループ専売だったらしいのですが、一般向けモデルのDH297-A1DRの仕上げ等を簡素化した廉価モデルという位置づけだそうです。発売当時で9,980円、モデル末期には5,980円(何れも税別)という価格が付けられていました。
ドライバーはCCAW(Copper Clad Aluminium Wire)ボイスコイル+ネオジウムマグネットの40mm口径という、オーディオテクニカ辺りがよく使っている構成のもので、再生周波数範囲は5~45,000Hzとなります。数字だけみれば980円とは思えませんね。
ドライバーの素性はかなり良さそう
今回はケーブル欠品ということで、3.5mm端子対応ケーブルで手近に有った、Brise Audio STD001HPを使って試聴しました。ヘッドフォン本体よりもケーブルの方が遙かに高いことは気にしてはいけません。
接続先は、FOSTEX HP-A8となります。
まず普通に聴いてみたのですが、さすがに低域方向はかなり薄めですし、中域が張り出して高域が雑な表現という印象です。また、ハウジングの素材の限界からか共鳴によると思われる籠もりも感じられます。とはいえ、率直に言えば想像していたよりは数段良好ではあります。張り出し気味の中域の質が思ったよりもまともで、ヴォーカルの表現などは及第点です。
低域が薄く中域が持ち上がっているという傾向は、端的に言えばイヤーパッドの形状などが原因で装着時に下半分がやや浮き気味になってしまうことによります。
この問題点を手っ取り早く改善する方法としてお薦めなのは、両側のハウジング下寄りを、指で軽く押しながら聴くことです。
指で押すことにより圧の不足が改善して、さらにハウジングの無駄な共振が抑えられることで、弱点が大幅に緩和されるのです。こうするとさすがにローエンド・ハイエンド方向までが十分とはいえませんが、一般的なレベルで不足のない帯域が確保されます。低域は薄さが解消されれば質は思いのほか良好ですし、中域の質もある程度改善されます。
さすがに高域の質については、どうしても普段使っているクラスのヘッドフォン(SENNHEISER HD6XX/HD650、AKG K702、Audeze EL-8 Open Back等)と比べてしまえば分は悪いのですが、1万円クラスのヘッドフォンの水準は確保できていると思います。
付属ケーブルの質が判らないため、さすがにSTD001HPとの組み合わせからは多少割り引いて考える必要はあると思いますが、これが新品5,980円で売られていたのであればなかなかコストパフォーマンスも良好といえたのではないでしょうか。980円で思った以上に楽しめたという印象です。
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購入金額
980円
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購入日
2020年07月17日
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購入場所
ビックカメラ×コジマ
タコシーさん
2020/07/26
ドライバーユニットと耳の距離があるので、低音が弱くなるんでしょうか
イヤーパッドが抑えられて耳とドライバーの距離が縮まればいいのでしょうが。
jive9821さん
2020/07/26
抑えることの最も大きな意味は、装着時にイヤーパッド下部が浮き気味になり、
隙間が空いてしまうことを防ぐことになります。この隙間から主に低域の音が
抜けてしまうわけです。
ドライバーと耳が近くなることによっては、全体的な力感と解像度の向上が
見込めます。また、人間の指という振動吸収性能がそこそこ高い物質で抑える
ことで、ハウジングの不要な鳴きを抑えることが出来、籠もりも改善すること
になります。