所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。楽曲を提供する方法。重量級アナログレコード、24金蒸着CD、ハイレゾダウンロード販売....アーティストは自分(たち)の創り上げた音楽をできるだけ「そのまま」の形でリスナーに届けるために腐心してきました。しかし、「商業」が絡んでくると、違った観点が出て来ます。CDというデジタルツールによって提供される楽曲が、自分たちの手持ちの機器で劣化なく「コピー」できると人々が気づいたときに、あだ花のように咲いた「流れに棹さす」技術に翻弄された作品のひとつをご紹介します。
MISIA。識らぬ人もいない日本のソウル系の歌姫だが、デビュー当初のファンキィでダンサブルな曲調から、ゴスペル~バラード系の「歌い上げる」楽曲に軸足を完全に移したのは、彼女にとってレーベルRhythmedia Tribe(エイベックス時代)に属していたとき。
この間(2002~2006年)8枚のシングルをリリースしたが、ビートが強くてデジタルでダンサブルなのは通算11枚目の“BACK BLOCKS”だけであり、あとはポップに軽やかにビートが駆ける13枚目の“IN MY SOUL”が、かろうじてゴスペル~バラード系では「ない」と言える程度で、のこりの6枚は「しっとり系」。
そんなしっとり系、通算14枚目のシングルが“名前のない空を見上げて”。NHKの朝の連続テレビドラマシリーズ、2004年の春~秋に放送された「天花」のテーマソング。
静かめの曲だが、切々としたバラードではなく、朗々と歌うという感じのハチロクリズムの楽曲である表題曲の「名前のない空を見上げて」。MISIAが詞を書き、安全地帯の玉置浩二が曲を提供、コーラスをつけた。アレンジはMISIAツアーバンドの重鎮、重実徹。バックは、ピアノはアレンジャーの重実、ベース種子田健、ギター鈴木賢司と言う、当時のMISIAツアーバンドのメンメンだが、ドラムスだけがいつものAlexこと青山純ではなく、元T-SQUAREの則竹裕之(他にストリングスで弦一徹グループ)⇒ちょうどリリースされた2004年というと、青山は山下達郎のツアーからも降りた時期で、不参加は体調悪化のためかもしれない。
曲としては、存在感と特徴ある玉置の歌声が、特にブレイクあとのラスサビでは「コーラス以上、デュエット以下」の絶妙な寄り添い方で、MISIAの伸びのある歌声を支える。♪名前のない夢を見つけて/君の名についた/愛しさとともに/まぶた閉じて眠るときまで/君の名を呼びたい♪
カップリングは表題曲のインスト版だけ。その分税抜き価格700円と安価だが、物足りなさ感はある。インスト版の「名前のない空を見上げて (Instrumental) 」は、聴き所としてはストリングスかな...うるさめの曲や、ヴォーカルに加工が多いアイドル曲などだと、ヴォーカルレスになると今まで聴こえなかった音がふわっと浮かび上がることがあるが、この曲は比較的「間」のあるハチロクリズムで、存在感は大きいものの、加工が強いわけではないMISIAと玉置の声が消されてもあまりバックの印象が変わらない。唯一ストリングスだけが曲の盛り上がり部分に入るアレンジなので、細かいところがよくわかる程度か。
ただ、このシングル、コレクターかつコンブリーターであるcybercatは所持しているのだが、今から遡って買う価値は全くない。当時リアルタイムにいち早く聴きたかった...というなら意味があるが、半年後にはこの曲を含んだアルバム“SINGER FOR SINGER”がリリースされているので。
実はこのシングル、悪名高き「CCCD(Copy Control CD)」。単体CDプレイヤーの強力なエラー補正機能の作動を期待して、わざとエラー信号を多めに入れ、エラー補正機能が弱いPCの光学ドライブでは読み込めないようにして、ファイルコピーによる複製を出来なくした技術。ただ、これがCDの規格(RedBook)に合致していない「まがい物」のため、再生機器メーカー側は再生を保証せず、レーベル側は機器の損傷を保証しないという酷いシロモノ。また、再生できたとしても、あり得ないほどのエラーを書き込んでいるため、その補正を行う過程で音も悪くなり、宇多田ヒカルのように「CCCD化するならリリースさせない」と強硬にはねつけたアーティストもいる。でも、そんなワガママは当時のヒカルのような超弩級トップアーティストにのみ許されたことで、多くのアーティストが、音が悪いCCCDに対して、ライヴやブログなどで不満を述べたり、謝ったりしながらも、生活を守るため泣く泣くリリースを強いられた。その割に、Exact Audio Copy
を使うと、読めないものを探すのが難しいというほど高確率で普通に読めてしまう..と、コピープロテクト技術としてもオソマツな出来だったCCCD。はっきり言って知識がある人に対してのコピー防止には全く意味がないので、2002~2005年の4年ほどしか使われず、モノとしてCDの価値を下げるだけ下げただけで終わったような気がする←CCCDなら買わない、と言っていた人を多数知っている。結局、①最近CDの売り上げ落ちてきた(´・ω・`)⇒②デジタル化によってコピーができるようになったからだ(`A´)⇒③コピーできなくすればまた盛り上がるンじゃね?٩(ˊᗜˋ*)و...と安直に考えた供給側が、製品そのものの価値を下げてしまって愛想をつかされたという、音楽史に残るAH〇な判断だった...というワケね⇒そのせいか?Amazonの中古品の価格は1円w
そんなわけで、曲としては非常に素晴らしい出来ながら、 リリース形態でケチがついてしまう曲となってしまっているのが、惜しい楽曲です。
この二重の輪と「通行止め」のようなマークは、CDの「モノ」としての価値を著しく下げたかも
【収録曲】
1. 名前のない空を見上げて
2. 名前のない空を見上げて (Instrumental)
「名前のない空を見上げて」
玉置のコーラスの付け方が絶妙
女声のヴォーカルに、男性がコーラスをつける場合、その存在感がかえってジャマになる事もあるが、玉置はクセ(特徴)の強い声を逆手に取り、コーラス以上の存在感でMISIAの声を支えている。
Rhythmedia Tribe(エイベックス時代)のMISIAのシングルはコレクターのためのアイテムであって、聴くものではない??
エラー信号を意図的に入れてCDのフォーマットから逸脱し、PCでの複製をしづらくしたCCCDを積極的に導入していたエイベックス時代のRhythmedia Tribe。この曲に関しては、非CCCDアルバム“SINGER FOR SINGER”の音源か、どうせ音がソコソコでよいなら、安価な(\261、2020年6月現在)AAC 128/320kbpsのダウンロードで聴けば良い(MISIAはこの時代のハイレゾ販売はない)。特にこのシングルは、収録曲的にも、表題曲とその「カラオケ」だけで、実質「1曲」でもあり、「モノ」として買う必要性はあまり....
-
購入金額
735円
-
購入日
2004年頃
-
購入場所
北のラブリエさん
2020/07/11
cybercatさん
2020/07/11
北のラブリエさん
2020/07/11
cybercatさん
2020/07/11