自分は音楽には結構お金をかけていると思う。
もともとずっと何かしら楽器をやっていてたためか、音楽がないと禁断症状が出るので?今のアパートにもキーボード持ってきているし、実家に帰れば各種楽器がいっぱい積んである。
聴く方も、1000アイテム以上登録してもまだネタが枯渇しないCDなどソース系、日本でまだここまで市民権を得てない時代(2012年初頭)に紹介して、かなりの閲覧数を稼いだカスタムIEM
や、限定品
も含んだイヤホンなど出口系、そして再生系としてのDAP。他にもケーブルやアンプなど結構な数所持している。
ただ自分の重視する順番は、一にも二にもソフト系で、「より多くの音楽に埋もれたい」という方向性。質より量?の雑食性で大食漢。次が出口であるイヤホン/ヘッドホンで、自分としては、イコライジングやトーンコントロールを使って好みの音質を「造る」よりは、出口を変えることで目的の音質にもっていく方が好みなので、いろいろ揃えている。
一方再生側は、特に「DAP」の世代になってからは、CDやMD、カセット(!)といった外形の違いがなくなったため、あまりソースを選ばないので、さほど増やしてこなかった(...といっても複数台あるがw)。
現状のメインDAPは、価格的には中級機ながら、国産で価格以上の実力があり、素直な音質で色付けが最小限のONKYO DP-X1A。
プレミアムレビュー最優秀賞でいただいてからは、音楽にしっかり向かい合いたいときは基本これ。ポータブル機としてはやや大きめながら、持ち出しに億劫なほど重くはないし、ソコソコ駆動力もあって、鳴らしにくいヘッドホンもまぁまぁ駆動するので、「出口」を選ばない。自分のイヤホン/ヘッドホン類の評価機となっている。
次に使用頻度が高いのが、Cayin N5。
現在Cayinには、N8という真空管アンプとトランジスタアンプを切り替えて使えるフラッグシップDAPや、基板を入れ替えてDACや外部端子を替えられるN6iiという上級機があるが、中級機N5の第一世代版(現在は第二世代のN5iiにモデルチェンジ)。これは、400×360と画面が小さく、タッチパネルでもないなど、ディスプレイ/操作系のスペックでは完全な旧世代機だが、音自体はDACに定評あるAKM AK4490EQを採用し、動作が確実な物理スイッチの装備で手探り操作がやりやすいため、有線接続の車載DAPとして使用(社有車にはUSB入力やBlutoothなどシャレた装備はないので、自分の通勤車にもある3.5mmステレオケーブルでつなぎ変えるのが簡単)。
ひところに比べて使用頻度がぐっと下がり、現在「予備ハイレゾDAP」となっているのが、ハイレゾDAPの黎明期の名機、Astell&Kern AK120。それまでDAPと言えばmp3などの圧縮音源が主流だった時代に、いわゆるハイレゾリスニングの扉を開いたエポックメイキングな機種、AK100の上位版。その後、オリジナルでは付かない2.5mmバランス接続端子追加の魔改造
をして、DP-X1A入手まではメインDAPだったが、5年も使ううちに少し物理的にヤレてきて、音量調整のダイヤルが動きがおかしくなってきた(回しても音量が変化しなかったり、連続的に音量が変わるのではなく、ワープするように急に音量が大きくなったり小さくなったりするようになってきた)。そのほかにも、もともと2スロットあるmicroSDスロットの片方がときどきカードを見失うビョーキがあり、そうなると、リストの更新=楽曲の全スキャンが入るのだが、これがとてもとても遅くて数分かかるので、聴き始めるのに5分以上かかることもある。その遅さがストレスになってきたので、うっかり充電不足など何らかの理由でDP-X1Aが使えないときだけの予備、となっている。
DAP、ということでは、もう一つミックミクなタイプ(SONY NW-S764/L/MIKU)
も持っているのだが、これはハイレゾ対応でなく、cybercatのデジタル音源資産のほとんどを占めるFLAC形式のファイルの再生ができないため、リスニング用のDAPとしては最近全く使っていない。もっぱら出番としては、そのバッテリー保ちのよさと比較的パワーがある出力を活かして、イヤホン/ヘッドホン購入時のエイジング作業専用機と化している。
したがって、cybercatの持つDAPは
リスニング用:DP-X1A
車載用:N5
予備:AK120
エイジング専用:NW-S764/L/MIKU
という割り振り...だった←過去形。
ただこのうち、車載用のCayin N5の調子が悪くなってきた。
症状としては充電ができない。
他のDAPの例にもれず、N5への充電は、データ転送機能を兼ねるUSBポートで行う。その接触が悪いようなのだ。電源につないだUSBケーブルを挿入しても充電モードにならないし、PCに繋いでも認識されない。
N5のUSBポートはデータの高速転送を狙ってUSB3.0(Micro-B)形状。たしかに楽曲の転送はUSB2.0形式の他のDAPより多少速いのだが、この「USB3.0 Micro-B端子」は構造上(規格上)少々弱い。もともと「B」を90度倒したような形状のこの端子、USB2.0との互換性を重視するため、「B」の一つの穴はUSB2.0と同等、増えた接点が「B」のもう一つの穴にまとめられている。そのため、「B」型のUSB3.0 Micro-Bプラグも「D」型のUSB2.0 Micro-Bプラグもどちらも使えるようになっている。ただその分、USB2.0としての使用の際には、穴の片方だけに刺す形になって、左右方向の遊びがありケーブルが少々横に動いてしまう。
一方、一般的用途では、USB3.0 Micro-Bケーブルってあまり持ち歩かない。それは、なぜか太きしめんタイプのゴツいケーブルが多く、収納性に劣るから。また、充電ケーブルと考えた際も、USB2.0ケーブルはUSB3.0装備機器に使えるが、USB3.0ケーブルは物理的にUSB2.0ポートには挿せないので、他にもあるUSB機器やモバイルバッテリーの充電も含めて、自分は原則として充電にはUSB2.0ケーブルを使っている。
今回車載でUSB2.0ケーブルを用いて充電中にDAPが動いたときに、この「充電できない」という事象が起こったので、おそらく、遊びがあるUSB2.0端子がUSB3.0ポートを「こじる」ようになって、USB3.0ポートの端子を傷つけ、接触不良が起きているのかな、と。
N5自体はソコソコ気に入っているので、出来れば修理する予定だが、前世代機でもあり、すぐに修理できるかちょっとビミョー(2020年6月現在修理可能機種らしい←メーカー情報)。また、修理する間車で音楽聞けないのも...と。
というのも、前述のようにAK120はヴォリュームの接触不良がある上に起動時にmicroSDを見失うと5分ほど音楽が聴けない。通勤時はまだしも、会社の近くのメシ屋に出かけるのは車で5分圏内。つまり、SDカード認識不良が起きると、無音旅行となる。
ミックミクはFLACに対応していないので、これを使うには多くの曲を再変換しなければならない。
では、メインDAP、DP-X1Aの登場か...とはならないのだ。
このDP-1XA、今回の用途には適さない。
・そもそも起動が遅い
・起動すると、まずAndroidが立ち上がり、ミュージックプレイヤー起動にもうひと手間ある
・直前に演奏していた曲以外のファイルの再生が面倒
・タッチパネル優先のUIで、ケース形状的にもサイドの物理ボタンが手探りでは使いづらい
・曲単位でない早送り、巻き戻しが苦手
・1週間積みっぱなしにしたい車載DAPとしてはバッテリーの保ちがイマイチ
DP-X1Aは音楽再生機能に振ったAndroid端末という設計思想。だからこそ、電話機能を付加したGRANBEATにすぐに発展できたのだろうが、逆に言うと起動直後の段階では「DAPではない」。
単なるAndroid端末として立ち上がり、その後「Musicアプリ」を起動することで「DAPになる」。
電源ボタンを押して、Androidが立ち上がって操作可能になるまでに51秒、その後「タッチパネル上の」MusicアプリアイコンをタップしてDAP機能を8秒かけて立ち上げた後、さらにプレイボタンを押す必要がある(出音までにはさらに5秒)。
そのプレイボタンも、サイドに物理ボタンはあるが、本体から飛び出さないような造作なので、ケース
をつけると探りづらく、結局「タッチパネル上の」プレイボタンを目視して、タップすることになる。
直前に再生していた楽曲ならここまでだが、他のアルバムや他のアーティスト...つまりフォルダなどが異なる楽曲ではなく、その前の楽曲や後ろの楽曲が聴きたいだけでも、ファイルの前後関係を電源切ったときは記録していないようで、さらにフォルダ階層からいちいちその楽曲を探し当てなければならない。
これらの操作はサイドの物理スイッチだけでは不可能なので、結局DAPを注視しながらの操作になる。
起動が速ければ、走行開始前にこれらの操作ができるので、あまりストレスにならないが、電源ボタンを押して⇒50秒以上待って⇒アイコンタップして⇒8秒でDAPが起動してとなるまで、約1分はかかるので、忙しい朝や昼休みはエンジンかけてじっとしていられない。一度走行を始めてしまうと、信号などで止まらないとDAPに目をやれないわけで、たまたま流れがよくて停車できないと、結局数分間車内に流れる音楽なしという現象がおきる。
N5は電源長押しでの起動もソコソコ速かったが(約15秒)、その後の動作もよくて、起動後は前回直前に再生していた楽曲の停止した位置から再生を再開するので、エンジンかけて電源長押しで起動を始めれば、あとは放っておいてよかったわけ。
数日DP-X1Aでしのいだが、DAPが起動していながら、「止まれなくて」画面に目がやれずプレイボタンが押せず、結局音楽レス(つまりDAPを立ち上げただけでドライブが終了)というのが数日続き、その時にはもう代替機の購入を決意していた。
そういうわけで、この「車載DAP」に求めるのは以下の性能。
・第一優先は起動速度
・バッテリー保ちも大切
・DAPを増やす予定ではなかったので高価でないもの(目標2~2.5万程度)
・手探りでも押しやすい物理ボタンがある方が嬉しい
・きちんと指定した曲を聴きたいので、安価機で時々見られるシャッフル専用(優先)機は×
・N5で苦労したので、ちゃんとしたケースが用意されているのがベター
という感じ。ただ、車で聴くのが当初メインの用途とはいえ、最終的にN5が直ったら「かぶる」ため、臨時車載DAPの役目を終えたら、ヴォリュームが怪しいAK120の代わりに予備DAPにしたい。そのため、一時しのぎのつもりとは言っても、そもそもDAPとして評価が低いものや単なるmp3プレイヤーはNG。
一方、通勤車も社有車も共通で使いたいので、3.5mmステレオケーブルの有線接続になるため、WiFiやBluetoothは不要。また、DAC機能もこの用途では必須ではない...という感じ。
こういう風に要求性能出しをした上で、起動が速いことで有名なDAPとして一番に思いついたのが、中華DAPの音質の上限を一気に引き上げたINFOMEDIA Lotoo PAW Goldの廉価入門機、Lotoo PAW 5000(mkⅡ含む)。Lotoo PAW系は独自OS採用で、数秒の瞬速起動がウリ。またPAW 5000はディスプレイは小さく、アルバムアートにも非対応とグラフィック機能はショボイものの、以前オーディオ店で触ったときには物理ボタンの反応性が良かった。また廉価版ながら「Gold」にはなかった2.5mmバランス出力を備えていて、単品DAPとしては言うことなし。ただこれ、元の「Gold」の方が約30万のプライスタグなので、「廉価版」と言っても、現行機種のmkⅡは売価約5万で完全に予算オーバー。一方、前機種の無印の方は、個人売買サイトやオークションでは3万以下での取引実績もあったようなので、中古をターゲットにサーチを始めた。しかしINFOMEDIAのLotooは、完全にマニア向けメーカーなので、そもそもタマ数自体が少なく、安価な個体を探すのが難航。
一方、もう一つ起動もソコソコ速く、なによりロングバッテリーライフの機種として思い出したのが、COWONのDAPの末弟PLENUE D。これはmp3形式なら100時間、FLACのハイレゾファイルでも51時間の驚異の連続再生能力。渋滞にあたっても往復1時間掛からない現在の通勤経路では昼食時の短時間の外出と、週に多くて2度の社有車による片道1時間ほどの外出だと、1週間は完全に1回の充電でまかなえる勘定。こちらは元々3万ほどの売価だったので、中古や格安販売ならターゲット価格に届くだろうと。
...と調べていたら、こちらもモデルチェンジされて「PLENUE D2」になっていた。PAW 5000の方はmkⅡになるときにはDACの変更(TI TLV320AIC3105⇒AKM AK4490EN)とDSD再生ファイルの高音質ファイル対応化(DSD64⇒DSD256)などがされただけで、他の機能的な変更はなかったが、PLENUE Dの方はD2になるときに、DACの変更(wolfson WM8998⇒Cirrus Logic CS43131のデュアル)や再生ファイル形式の拡充(DSD未対応⇒DSD128対応)の他に、「2.5mmバランス」に対応していた。ただそのぶん売価もあがっていた(定価約4万)。そこで、Lotoo PAW 5000無印の中古、PLENUE DおよびD2の中古とPLENUE Dの市場在庫格安販売あたりをターゲットに数日間市場を見ていたところ、PLENUE D2の中古の良い出物があったワケ。
早速入手してみた。
PLENUE D2は、2色展開で「Silver Black」と「Gold Black」があるけれど、これは「Silver Black」。...と言っても、ボディの大部分は黒で、最上部のイヤホンジャック&電源ボタンがある部分のベースの金属の色が変わるだけなので、大きなイメージの違いはないけれど。
内容物には欠品はないはずだが、実にシンプル。
本体と、説明書と保証書の他には、充電およびデータ転送用のUSBケーブルのみ。
中身的にはDACの変更など大きな違いがあるものの、外形はほとんど素のPLENUE Dと変わらない本機だが、上部が若干飛び出た造作になっていて、2.5mmバランス出力端子も備えるので、まごうことなく改良版のD2の方であることを示している。
取りあえず充電してみて使ってみた...
....起動、速っ!
素の状態だと、起動完了6秒!!microSDカードを入れるとそのスキャンもするので多少遅くなるが、それでも計11秒。再生は、サイドの物理ボタンが他の「音量調整」「早送り/巻き戻し」のボタンに挟まれているので、若干押しづらいが、逆にタッチパネル中央下のソフトボタンが押しやすい。押すと1秒以内には再生開始。つまり、電源ボタン長押ししてから10秒前後で音出し可能。N5も結構速かったが、それよりも速いわけ。起動と再生で1分以上掛かるDP-X1Aでは勝負にならない。
microSDカードを入れると起動時このスキャンが毎回入るが、それでも数秒
車で考えると、座った瞬間に電源ボタンを長押しして起動しておいて、その間にイグニッションキーをひねり、サンシェードを片付けて、追加カーナビとレーダーに被せてあるカバーを取って助手席に乗せ、シートベルトをして、出発準備したところ...までで10秒ほどは掛かるので、再生ボタンを押してから車をスタートできる。つまり、N5のように電源ボタン押しただけで音楽スタートはしないが、音出し開始はむしろ早いわけで、無音ドライブとは無縁。
また、電源の保ちはさすがのPLENUEの「D」の系譜、無印の「D」の「mp3ファイル形式のWebラジオのDJCDファイル再生なら、ヘタすりゃ1ヶ月保つンじゃね?」という異常な長寿命(mp3形式の連続再生100時間)からはかなり普通に近づいたが、それでもmp3なら45時間、ハイレゾファイルでも30時間のバッテリーライフで、1週間は余裕。
サイドの物理ボタンも、真ん中にある再生ボタン以外はわかりやすく、手探りでの操作が苦にならない。
大きさもコンパクトで、車を降りるときに、ひょいとステアリング下の小物入れに入れて直射日光避けられるし...
...ということで、N5を修理するまでのつなぎの「車載用DAP」としては、完全に合格。
では、N5の修理が叶って、車載用DAPの任を解かれたときに、通常のDAPとして使う場合の能力はどうだろう。
現在のメインDAP、ONKYO DP-X1Aと比較してみた。
まずは操作面。起動の速さは前述の通り、PLENUE D2(この項では以下D2)の圧勝だが、「操作のしやすさ」は一長一短。
DP-X1A(同じくこの項では以下X1A)の物理ボタンは、「電源」「再生/停止」「早送り」「巻き戻し」がそれぞれ単独で、全て同じ形で全てボディサイドについているので、全て覆われるケースをつけると手探りでは押しづらい。ただし音量調整は別側面についている「ダイヤル」で間違わないし、一気に大⇒小などの変更が出来る。
D2(下)のサイドのボタンはほぼすべて形状が同じX1A(上)よりわかりやすい
一方、D2は電源ボタンが上部に独立、「音量大/小」「再生/停止」「早送り/巻き戻し」がサイドにつくレイアウト。音量と曲送りはロッカスイッチ風?で、ひとつの長いスイッチの端を押すと音量大、逆側の端を押すと音量が下がるという感じ。音量と曲送りの間にある「再生/停止」がやや小さくて探りづらいが、ロッカスイッチの方は結構ラク。手探りの操作はX1Aよりはるかにやりやすいが、音量の調整はロッカスイッチの長押し、もしくは連打をしなければならないので「ぐりっ」と一発のX1Aにはかなわない。
タッチパネルの方も一長一短。X1Aは、広い画面を活かして、EQ(イコライザ)の選択やオンオフの切り替えのボタン、リーピートモードやシャッフルのオンオフボタンが表面に出ている。また「DAP機能付きAndroid端末」という立ち位置なので、ホーム画面に行ったり、アプリ切替のボタンも配置され階層が深すぎない。
一方D2は、コンパクトにまとめるため、下に「早送り」「再生/停止」「巻き戻し」のボタン、左上に「ファイル階層ボタン」、右上に「メニューボタン」があるが、「ファイル階層ボタン」と「メニューボタン」はアルバムアートに重なっていて認識しづらいし、特に「メニューボタン」の方がシャッフルなどもココに配置されているため、各機能の階層が深すぎて頻繁な操作はしたくない感じ。ただ唯一、再生位置を表すバー?を使っての再生位置直接変更は、小さい画面ながら、吹き出しで「分数」が表示されるし、バーの反応性もよくてX1Aとは「雲泥の差」と言えるほど使い勝手が良い。
曲(ファイル)中の早送り/巻き戻しは、この再生位置を表す突起を...
..スワイプしてできるが、その時「現地点」が大きく分数が表示されとてもわかりやすい
ディスプレイ性能は、X1Aの4.7型1280×720のスクリーンと比べると、D2の2.8インチ240×320では勝負にならない。縦長の画面に、ソフトボタン類をアルバムアートと「重ならないように」配置したX1Aはボタン類が見やすいし、解像度の高さで、絵や文字も素晴らしくきれい。もともと素のAndroid端末にDAP機能を付けた形のX1Aは、Google Playにも対応しており、VLC media player
をインストールし、いくつか動画を仕込んでいるが、その視聴もきれいな画質で問題ない。
ディスプレイの見やすさは、解像度が高く、ボタンもすべて重なりのないX1Aの圧勝
一方D2は、中華フォント特有のエッジが立っていない感じがするし、絵もシャープではない。ただ、アルバムアートの「大きさ」に限れば、4.7型の半分ほどのエリアしか使わないX1Aと、2.8インチディスプレイのおよそ8割を使い切るD2(Aタイプスキン)ではあまり大きな差はない。なお、D2にはプレイヤーのスキンとして3種類のモードが用意されているので、好みに応じて切り替えることができる。
ピクチャーレーベル風のCタイプ(でも絵柄によっては...orz↑)
イコライザーに関しては、中心周波数も自由に選べる11バンドのグライコのポイントを±12dBの幅で調整できるユーザーモードを備え、「Dance」「Jazz」などの5つのファクトリープリセットと、BushのギタリストChris Traynorをはじめとする9人の著名アーティストが造った18種のアーティストプリセットを備えるX1Aに対して、D2には「JetEffect5」という音質調整機能がある。これは、中心周波数とスロープも変えられる±12dB幅の5バンドパライコに加え、高域の位相調整を行いキレをよくするBBE、低域の位相調整でベースを強調するMachBass、サラウンド機能の3D Surround、音のエッジを立てるMP Enhanceといった位相系調節機能、さらに「Hall」「Club」など5つのモードを持つリヴァーブ機能まで網羅した音質調整...というよりむしろ積極的な音質加工機能のこと。これには4つのユーザーメモリーに加え、「Rock」「Jazz」「BBE ViVA」「Reverb Stadium」など実に43種類のファクトリープリセットが用意されている。効果が控えめで、機材や自分の嗜好にハマれば常用できそうなものから、何に使うんですかコレというようなキョーレツに音を換えてしまうものまであって、どちらかと言えば音色調整は、イヤホンなど「出口系」を変えることで微調整をする程度にとどめ、アーティストが創った音を「加工」することに否定的な自分にとっては、すべてが「使える機能」とは到底思えないが、いつもトーンコントロールやラウドネスを使って積極的に好みの音質に近づけるタイプの人にはうれしい機能かも。ただオシイのは、ファクトリープリセットのセッティングが見えないこと。例えば「Metal」のプリセットが気に入ったのだが、あと少しギターのきらめきが欲しいので自分で調整したい...などの場合は、ファクトリープリセットのセッティングを参考に微調整をするのが手っ取り早いと思うが、それがどういうセッティングなのかが見えないのだ。X1Aは各プリセットのグライコのカーブが見えるので、だいたいの「ベース」までたどり着くのが簡単だが、D2のユーザーモードは、お手本なしの状態で、一から探らなければならない。
イコライザのプリセットは死ぬほど多い(それぞれの違いを書こうと思ったが諦めた)
自分でイコライジングするときはスロープも選択できる(赤下線部)
イヤホンなどのインピーダンスが統一されていないのに対応してか、DAPには出力に関してゲイン調整ができる機種があるが、D2にも「Headphone Mode」という駆動力を上げるモードがある。多分「ヘッドホン」用で、イヤホン使用時にはオフということなのかもしれないが、イヤホンでもオンでヴォリューム絞り目で聴いた方が良い感じだった。このモードをオンにすると、100gに満たない小さな外形に似合わず、AKGのK550のようなやや鳴らしにくい機種もきっちり駆動してくれるパワーがあるので、ポタオデヘッドホン派の人には良いかもしれない。
D2ならではのちょっと面白い機能として、再生速度の変更が0.5倍速~1.5倍速で調整できる機能がある。mp3ファイルなら多量に詰め込めるし、再生時間も長いことから、DAPを語学学習用などに使う時には便利な機能だろう。
メモリーは、内部が64GB、外部メモリはmicroSDカードで128GBまでの対応。つまり最大192GB。2019年リリースのハイレゾDAPとしては少々少なめか。なお、microSDカードはFAT32形式でフォーマットしなければならない。大容量SDカードに対してexFAT形式でのフォーマットとなるWindows10の標準機能では、フォーマットできないので、注意が必要だ。
実際の音質はどのようなものだろう。
試聴は以下の条件で行った。
出口系は素直なモニター系音質でクセのないWestone UM Pro50。
接続をバランスにしたかったので、ケーブルは若干メリハリ系の色はつくが取り回しの良い、NICEHCKの8芯の銀メッキ銅線+高純度銅線
に変更。これをX1AとD2に直挿しでいつもの曲を聴いてみた。
なお各DAPはイコライザーなどの音を変える機構は原則オールオフで試聴したが、唯一X1AはFLAC⇒PCM変換時192MHzまでアップサンプリングする機構はオン、D2の方も「Headphone Mode」はオン。
ハイレゾ性能を判断するときの基準曲、高品位ハイレゾ録音(24bit/96kHz/FLAC)の「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」は吉田賢一ピアノトリオの“STARDUST”
から。この曲、小編成ジャズによくある「ドラムスがセンターにない」定位。中央はベースで、右にドラムス、中央から左にかけてピアノという造り。したがって再生バランスが悪いと右に引っ張られたり左に引っ張られたりする。X1Aは若干右のドラムス優勢。細かいシンバルレガートと、そこから音が周囲に広がっていく感じが良く聴こえる。ピアノは右手のメロディがしっかりと聴こえてクリア。ベースソロは指板に当たる音がリアル。D2も右のドラムスが良く聴こえるが、こちらは像が「大きく」はない。ライドのカップ音が大きく、かすかに耳に刺さる。ベースはグンッッと沈んで「芯」も強いが、像はややシャープでなく、締まりはやや緩い。ピアノは左手のコードも結構大きく、左chも充実。
もう一つのハイレゾ定番曲、24bit/96kHzのPCM⇒FLAC変換、宇多田ヒカルの「First Love」は“Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1+2 HD”
から。リヴァーブで部屋の大きさがよくわかり、見通しがよいX1A。タメがあるスネアがパーンと抜けるのが心地よい。各楽器に深さの違うリヴァーブがかかっているのが如実にわかり、見通しもよい。D2になるとヴォーカルが、ヒカルが「大きい」←音量ではなく音像が。リヴァーブは薄くなり、ドラマチックさは減るが、ベースがガツンと、バスタムがドカンと来て音が肉薄してくる。
弱ドンシャリで低域重視、左右の広さはさほどではないというキャラクターから合うのではないかと考えたのが古典ロックの「Hotel California」(Eagles)。同名アルバムの金蒸着CD
から起こしたFLAC。まずはX1A。横の広さがイイ感じ。横一線に並んだギターが壮観。間奏のリズムがオフっているところの響きがよい。D2にすると、ベースの音像がグッと固まって、スネアのチューニングを下げたような感じになり、(ちょっと昔の)「ロック」してる。アウトロのギターの掛け合いの部分は、暖かく刺さらない音なので聴きやすく、メイン以外のオブリやコードを担当するギターがよくわかる。
キレの良さが必要なフュージョンはどうだろう。ゲストにラッパーでもあるベーシスト、日野'JINO'賢二を迎えた「RADIO STAR」を、T-SQUAREのセルフカバーアルバム“虹曲~T-SQUARE plays T&THE SQUARE SPECIAL~”
から。X1Aはなんと言っても破裂的なドラムス!特に板東クンのキレッッッキレッの足技が素晴らしい。河野啓三のリリカルなピアノソロのアクセントの「立ち」も素晴らしい。切れ味鋭い刃物の様相。一方D2は、メロディ楽器のEWIの主張が強いのに加えて、ベース!!JINOのスラップがバシバシ来るし、スキャットの部分の指弾きベースラインもしっかりしている。河野のピアノソロの間も、他楽器が沈むのもあってガッツリとベースが入っていて、この曲「JINOフォーカス!」。すばらっっ!
同じビートが効いた系でも、打ち込みの音飽和系楽曲としては、デレマスNo19、女子大生アイドル新田美波の持ち歌「ヴィーナスシンドローム」。
歌うは、CV担当の女性声優あやちゃんこと洲崎綾。X1Aでは、あやちゃんの声の清純さが増す。左右に駆け回るシーケンスパターンも空間が広い。バスドラのエッジとハイハットの「立ち」が良いので、硬めのビートとなる。対するD2は、あまり左右は広くないが、元々ガッとカタマリ感で押してくる曲なので、そんなにマイナスイメージなし。クリップ寸前のバスドラを上手く柔らかくいなしている。シンベの強さがダンサブル。この曲としては珍しく、シンベ>バスドラのバランスで、ノイジィな感じが抑えられている。
同じあやちゃんが歌うが、一転してピアノと生ギターが中心に入るバラード「空」は、彼女の初のファンブック“Campus”
から。右chのギターのピッキングが繊細で、上に抜けている感じのヘッドルームの広さが浮遊感を醸し出すX1Aに対して、D2はヴォーカル近っっっ!他の曲の傾向から、もっとベースのが乗ってくるかと思ったが、「やや大きめ」といったグッドバランス。左chのシーケンスパターンや鈴など金物系パーカッションが意外に聴こえる。なにより、あやちゃんの声が良く聴こえて...いいな、これ。
再生能力を要求するオーケストラ楽曲は、交響アクティブNEETsの“艦隊フィルハーモニー交響楽団”
の最後を飾る、和のテイストもある勇壮な歌「鉄底海峡の死闘」。金管の煌びやかさや、トライアングルが空間を渡る感じが「澄んだ音」を主張するX1A。各楽器が各ポジションで分離良く聴こえ、コンサートで好席で聴いている感じ。和笛のようなフルートの音も、掠れも含めてリアル。D2の方は左右のサウンドステージは広くないが、打楽器は(特にティンパニ!)迫力あって悪くない。全ての音が近く聴こえるのは、客席で見ていると言うよりはステージ上で一緒に演奏しているかのよう。
車載用DAPとして使っているCayin N5の調子が悪くなった事で、急遽手に入れることになったバッテリーライフの永いことで有名なDAP、COWON PLENUE D2。本来の売価的にも、COWON社のラインアップ的にも「エントリークラス」のDAP。
ただ廉価機だからと全体的にグレードを下げるのではなく、スマホの音楽再生機能も品質があがっている中、この価格帯のDAPをわざわざ買う層は利便性より音重視なので、BluetoothやWi-Fi機能を搭載せず有線リスニングに特化するとか、DACにアンプ機能も持つCirrus Logic CS43131を使って増幅部の回路をなくす一方、デュアル搭載で左右セパレーションなどには手を抜かないなど、「切る部分」と「金をかける部分」を上手く切り分けたハイコストパフォーマンスな機種だった。
特徴としては
○音としてはウォームめで、芯がある中低域を中心に迫力がある
○ヴォーカルが近い印象で、主旋律が明快
○ベースの力強さが曲を支え、重心が低い
○サイドの物理ボタンはかなり押しやすい
○曲(ファイル)の再生位置を簡単に探れる分数表示付き再生表示バー
○このコンパクトさで2.5mmバランス出力登載
○驚異のロングバッテリーライフ
○100gを切る重さで、手のひらの中に収まるコンパクトさ
と言うエントリー機としては十分なアピールポイントがある。その一方
■サウンドステージ、特に左右は広くない
■高音の伸び、空間の広さの描写は苦手
■やれることが多い事の裏返しだが、メニューの階層は深くわかりづらい
■コンパクトさの裏返しだが、いくつかのソフトボタンは押しづらい
■アルバムアートや文字の表示はシャープでなく「鑑賞する」レベルではない
■一切の無線機能がないのでワイヤレスリスニングやコードレスの曲移動は不可
というややザンネンなポイントもある。
ただ、音傾向に関してはそれが許容できるか否かだが、「長期外出用の有線リスニング専用セカンドDAP」と割り切って使えば、メリットの方が断然輝いてくる。また、無線機能を削って価格を下げていて、それでいてコンパクトなので気を遣わないので、スマホの音楽再生機能を使ったワイヤレスリスニングでは物足りなくなってきた人のステップアップと考えれば、手頃な価格も含めてオススメ。
COWONのDAPシリーズの末弟、 PLENUE D2はそういう、小粒ながら...という機種だった。
【仕様】
<製品仕様>
内蔵メモリ:64GB
外部メモリ:microSDカード~128GB(64GB以上はFAT32フォーマットで使用可能)
ディスプレイ:2.8インチ 広視野角タッチディスプレイ(240×320)
大きさ:53.1mm(W)×79.2mm(H)×14.9mm(D)
重さ:97g
ボタン:POWER、PLAY/PAUSE、VOL+、VOL-、FF、REW
出力端子:3.5mmアンバランス出力、2.5mmバランス出力
<オーディオ>
ファイルフォーマット:DSD(DFF/DSF)/FLAC/WAV/AIFF/ALAC/APE/MP3/WMA/OGG
オーディオコーデック
・DSD Native:~5.6MHz(DSD64、DSD128)
・FLAC、WAV、AIFF、ALAC:~24bit/192kHz、-3.2bit WAV、WAV Tag Suppoting
・MP3:MPEG 1/2/2.5 Layer 3、~320kbps
・WMA:~320kbps、~48kHz
・APE:圧縮率早い(Fast)、普通(Normal)、 高い圧縮(High)~16bit/48kHz
・OGG:~Q10、~44.1kHz
歌詞:LRC、LDB
再生速度:50~150%、ピッチ補正サポート
JetEffect 5
・48Presets (44 Presets + 4 User Presets)
・EQ:5 Band Equalizer (EQ Filter)
・BBE+:BBE、Mach3Bass、 3D Surround、 MP Enhance
・Special Effect:Reverb (9modes)
<オーディオの特性>
DAC:CS43131×2(デュアルDSC)
SNR:125dB Unbalance/130dB Balance
THD+N:0.004% Unbalance/0.0005% Balance(24bit, 48kHz)
Stereo Crosstalk:-120dB Unbalance/-143dB Balance
出力:2Vrms Unbalance/4.0Vrms Balance
出力インピーダンス:1.0Ω Unbalance/1.5Ω Balance
ボリューム:140段階
<バッテリー&電源>
バッテリー:内蔵リチウムポリマー充電池
再生時間:約45時間 (MP3、128kbps) / 30時間 (24bit、96kHz、FLAC)
充電時間:約3.5時間(入力Micro USB DCアダプタが5V/1A以上の条件で)
<プレーヤー>
マトリックスブラウザ、Multi-Favorate
<接続PC仕様>
CPU:PentiumⅢ 500MHz以上
OS
・Windows 10/8/7/Vista/XP/2000/ME:全機能対応
・MAC OS 10.x/Linux v2.4 以上:ファイル転送対応
USB Port: 2.0 High Speed 推奨
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20241109 リセットの仕方追記
ヴォーカルの近さとベースの芯が印象的な、ウォームで迫力のある音
空間表現や高音の伸びのあたりは得意ではないので、小編成の器楽曲などが好みの場合は、やや物足りないか?ただJ-Popや80'Sロック~ポップスには、三角形のどっしりした音の分布は良い。
物理ボタンのレイアウトと操作性がよい
これで「再生/停止」ボタンが、ボディ上部の電源スイッチと兼用で探りやすければ100点満点(★5つ)だったが。
JetEffect5と再生速度調整機能は、音質調整のレベルを超えている
位相や残響まで調整・付加できるJetEffect5を使えば、音質調整ではなく音質改変レベルまでいじれる。また再生速度調整機能は、語学学習や原稿起こし、楽器の練習(耳コピや楽譜起こし)には便利と思う。その機能が必要な人にとっては★5かもしれない。単純にリスニング用DAPとして使いたい自分にとってはムダな機能だが。
備忘録:リセットの仕方
再生中に、同じ音をずっと再生し続けるような状態になって、ボタン操作などを受け付けなくなってしまった。
電源長押しでなんとか電源断は出来たものの、今度は立ち上がらない。
USBケーブルを繋ぐと赤く電源ボタンの周りが光り、通電はしているのが確認できる。
リセットのやり方があったはず!と調べて解決したので備忘録して。
・ヴォリュームの「+」と「-」を同時に6秒以上押す。
⇒「+」と「-」のボタン、バタフライ型ではないので、両方とも押せます。
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購入金額
20,000円
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購入日
2020年06月06日
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購入場所
ラクマ
harmankardonさん
2020/07/01
cybercatさん
2020/07/01
ただ、今のところ他が壊れなければ、この数を維持する予定。
そのつもり。
たぶん。