先日入手したヘッドシェル、SUMIKO HS-12で使うために新たに用意したリード線です。今回も品質や実力において信頼度の高い、KS-Remasta製を選択することにしました。
このヘッドシェルの端子部は、普段使っているaudio-technica AT-LHシリーズよりもやや太く作られています。そのため、今でも容易に入手可能なシェルリード線である、audio-technica AT6101を装着するのはかなり苦労します。
そこで、今回は購入時に予め使う環境をお伝えして、それに合わせたサイズで仕上げていただいています。この辺りはハンドメイドならではのきめ細かいサポートで助かっています。
今回購入したKS-LW-5700は、ヤフオクで「ハイスピードアナログサウンド!PCOCC-Aシェルリード線です。」という出品名で販売されています。
オヤイデ電気製の電源ケーブル「TSUNAMI」の素線を使って作成されたもので、このケーブルで使われているのがPCOCC-A(アニール処理済みPCOCC)であるため、この名称となっているようです。直径0.32mm2の導体を6本使い、断面積0.48mm2という、一般的なシェルリード線よりはかなり広い断面積を確保しています。この断面積の大きさは音質面での情報量の豊かさに貢献しているように感じられます。
取り敢えずはClearaudio Virtuoso用に使ったのですが、このカートリッジに解像度に優れるリード線はあまり良い組み合わせとは思えなかったため、元々計画していたOrtofon MC Q5の強化用に回すことにしました。
Virtuosoとの組み合わせにおける感想については、前掲のSUMIKO HS-12の方のレビューでご確認ください。
MC Q5の底上げに貢献する
Ortofon MC Q5は限定発売されているMCQ5/SH4Rという、ヘッドシェルセットモデルで購入しています。
ただ、音質的には率直に言って満足度は低いものでした。先代のMC-10W(グレードはMC-10Wの方が1ランク上だが、実売価格は0.5ランク程度の差)比で、同じような音質傾向ながらグレードを2ランクほど下げたような印象を受けたほどです。
これは当然MC Q5自体の出来も褒められたものでは無いのでしょうが、ヘッドシェルのSH-4もあまり剛性が無かったり、リード線がかなり貧弱という部分も影響しているように思えたのです。そこで今回は、VirtuosoとMC Q5をそっくり入れ替えて使うことにしました。
ある意味想像通りというべきか、MC Q5の印象がガラッと変わります。高域方向が大幅に明瞭になりますし、量だけで質が伴っていなかった低域方向も一気に引き締まります。
「Aja / Steely Dan」ではやや表情が淡泊に感じられる部分はあるものの、ベースラインやバスドラムのキックの明瞭度が向上して、ようやくこの曲らしい雰囲気が出てくるようになりました。高域方向はまだクリアさが不足気味ではありますが、ハイハットの金属っぽさも出てくるようになり、何とか及第点には達したと思います。
「Chicago 18 / Chicago」では、ジェイソン・シェフのヴォーカルにやや金属的な固い響きが乗る辺りにPCOCCの癖を感じます。それでも低域の力感が出てくるようになり、A面2曲目の「Forever」のような曲も楽しめるような音になります。
もっとも、ヘッドシェルやシェルリード線で底上げしても、MC Q5自体の限界はどうしてもあります。今まではMC-10W比で2ランク劣っているというほど酷い印象だったものが、0.5~1ランク落ちるかなという程度でまとまるので、ようやく価格相応ではあると納得できるようになったということです。MC-10Wの方はヘッドシェルがOrtofon LH2000、シェルリード線はOrtofon添付品であり、これを同等に揃えればまた差は広がってしまうでしょうけれど…。
相変わらず、KS-Remasta製のリード線は価格に見合っただけの音質的な底上げをきちんと実現してくれますし、リードチップの径の微調整など、大量生産品では得られないサービスも提供されていますので、総合的に見れば決して割高感は無いと思います。
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購入金額
6,000円
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購入日
2020年05月25日
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購入場所
ヤフオク!
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