たまたま立ち寄ったHARD OFFで、型番不明の電源ケーブルとして売られていたのがこの品でした。
オーディオテクニカ製約1.5m、OFC電源ケーブルとだけ紹介されていたのですが、皮膜のデザインとプラグを見る限りはどう見てもAT-PC1000/2.0だったのです。下位のAT-PC600/2.0だとしてもそこそこ安いという水準の値段でしたので、使い道も考えず取り敢えず買うことに。
製品のどこを見ても型番は印刷されていませんし、実物とカタログ写真の間に結構色味の差がありましたので、店側で型番が判別できなかったのかもしれません。
プラグはどちらもaudio-technicaとロゴが入ったロジウムメッキのもので、ひさご電材が製造を担当しています。同じくひさご電材が製造している、Zonotoneの6N2P-3.0 Meisterのプラグともよく似ている気がします。
こちらもプラグはロジウムメッキのもので、本質的にほぼ同等なのかもしれません。
皮膜には型番表記などは全くなく、「OFC POWER CABLE audio-technica」とだけ記載されています。
線径は11mmとかなり太いケーブルですが、導体は2.5sq×2で、絶縁体のPVCがかなりの太さとなっています。近年はPVCの音質への悪影響が色々と取り沙汰されていて、あまりに太いPVCというのも複雑な心境ですが、取り敢えず気にしないでおきましょう。
ちなみに前述の6N2P-3.0 Meisterは線径こそ同じ11mmですが、導体が3.0sq×2で、絶縁体や被膜がPVCであることは同じながら、天然綿糸を介在させているなど、一工夫が見られます。その分少し高価ではありますが…。
ケーブル部もコネクター・プラグと同様にひさご電材製です。
妙な強調感が無いことは好印象
それではオーディオ製品に使った場合の音質を確認してみましょう。
今回は普段PCで音楽再生に使っている、FOSTEX HP-A8の電源ケーブルとして使います。このHP-A8の電源ケーブルは現時点でEX-Pro AC-1となっていますので、その環境との比較となります。なお、試聴用ヘッドフォンはMassdrop x SENNHEISER HD6xxです。また、EX-Pro AC-1とAT-PC1000/2.0は、いずれもAIRBOW製電源タップABPT/EVO/4.27Vに接続しています。
まずはレコードから起こしたアルバム「The Nightfly / Donald Fagen」(24bit/88.2KHz WAV)を聴いてみます。
一聴して特徴的なのは、EX-Pro AC-1比では中高域がやや増えて明るく感じられ、逆に中低域の厚みがやや減るということです。中高域の明るさはロジウムメッキのコネクター類でよく見られる傾向で、組み合わせによっては結構耳に付く音になるのですが、このケーブルにおいてはそこまで不快感はありません。
中低域の量は減るのですが、より低い低域方向は思いのほかきちんと出ている印象で、ベースラインの特に低いところの沈み込みなどは結構きちんと表現できています。強いていえばドナルド・フェイゲンのヴォーカルが若干細身に感じられる部分はありますが。
元のEX-Pro AC-1は音場がやや狭めなケーブルですが、それと比べれば少し広いかなという印象です。AC-1の前に使っていたOrtofon 7N-PSC 2.0Sの方が、もう少し広さはあったかもしれません。
次に「Hotel California / Eagles」(24bit/192KHz FLAC)を聴いてみると、やはり冒頭のベースラインがやや薄味に感じられ、この辺りで価格なりという感覚がどうしても出てきてしまいます。レンジの広さはまずまずあり、高域方向の解像度や透明感もまずまず良好ですので、クラス相応よりはやや上という程度の完成度と考えるのが正しいでしょう。この辺りの手堅さはいかにもオーディオテクニカです。
以前導入した電源タップ audio-technica AT-PT1000の推奨電源ケーブルがこのAT-PC1000/2.0だったのですが、タップの出来と比べると電源ケーブルの方の格がややちるかなという印象を受けました。現在AT-PT1000と組み合わせているのは前述のZonotone 6N2P-3.0 Meisterですが、もう少しグレードを上げても良いかと思っているほどであり、それよりも0.5ランク下がるAT-PC1000/2.0(実売価格は大差ないが、6N2P-3.0 Meisterが1.5mでAT-PC1000/2.0が2mと、長さが違う)では、正直言ってやや格落ちだと思います。
単品で1万円以下で購入できる2mのACケーブルとして考えれば、AT-PC1000/2.0は十分及第点を与えられる出来ではあると思います。多くの機器の標準添付ケーブルと交換して、グレードアップは十分体感できるものと思いますので。
ただ、使い込んでいくうちに、もう少し上を目指したくなってくるようなグレード感というのも確かではないかと思います。
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購入金額
2,750円
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購入日
2020年01月25日
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購入場所
HARD OFF
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