先日購入した、drop.com(旧Massdrop)のお買い得箱で入手した品の一つです。
このBounty Boxは元々SENNHEISER HD6XXを入手するために購入した物ですが、もう一つの期待の品だったのが、こちらのMEE Audio PINNACLE PXです。
PINNACLE PXは、一般市場向けのダイナミックドライバー搭載イヤフォン、PINNACLE P1をベースにMassdrop向けに添付品を簡略化したり専用外装とすることで差別化された、専売モデルです。
ベースモデルのPINNALCE P1は以前試聴したことがあり、少々ドンシャリ気味ながらややドライ系の陽性サウンドであり、アメリカン・ロックが似合う面白い製品と評価していました。そのPINNACLE P1は日本で代理店経由の正規品を買うと2万円台の製品であり、PINNACLE PXの$115はかなりお買い得価格だと評価していたのです。そのPINNACLE PXが選択肢として用意されていたため、Bounty Boxを買う決意が出来たわけです。
何故か外箱に結構汚れが付着していました。まあ、中身が無事であれば特に気にする必要は無いと思いますが。
化粧箱を開くと、ケーブルが装着されていない、本体のみの形でイヤフォンが表れます。出荷時点でケーブルが装着されていないというのは、このクラスとしては珍しい気がします。
これが一通りの内容物です。本体以外にはポーチ、イヤピース一式、ケーブル、マニュアルが収められていました。確か通常モデルのPINNACLE P1はケーブルが2種類添付されていたと思いますが、こちらのPINNACLE PXは1本のみです。
添付ケーブルはリモコン付きケーブルで、恐らくdrop.comのユーザーの意向を汲んでこちらが採用されたのではないかと思われます。
シェルデザインは少し特徴的な物で、人によっては耳への収まりが悪いと感じることもあるかも知れません。標準添付ケーブルが意外と太く、コネクター周りが大きいことも装着感に影響を及ぼします。
ロックを小気味よく鳴らす
今回はリケーブル等は行わず、標準のアンバランス接続ケーブルを使って試聴しました。そのため、シングルエンド接続専用の高音質DAPということで、今回はAcoustic Research AR-M2との組み合わせで試聴します。
なお、標準添付のイヤーピースでは音が籠もる傾向があったため、写真のaudio-technica ER-CK50Sや、AZLA Sedona Earfit S、SpinFit CP240-S(ツインブレードタイプ)を使って試聴して、結果的にバランスが良かったSpinFitを中心に試聴しています。
まず、低域、高域はいずれもきっちりと硬質に表現することが特徴といえます。音場もダイナミックドライバーモデルとしてはまずまずの広さです。その反面、中域の密度感がやや薄く、本来密度が濃いAR-M2でもそれほど濃密な描写とはなりません。
「40 Trips Around The Sun / TOTO」を聴いていると、意外と表現が難しい「Alone」のベースラインはかなり鮮やかで好印象です。ジョセフ・ウィリアムスのヴォーカルも張りを感じさせます。
その代わり、「The Newest Play Bach Vol.1 / Jacques Lousier」のようなジャズ系の音はちょっとあっさりとしすぎている印象です。ピアノの音は右手方向は案外綺麗なのですが、左手方向の厚みが出ません。
「Chicago XI / Chicago」収録の組曲「The Inner Struggles Of A Man」はオーケストラの演奏からシカゴ本来のスタイルの楽曲へと移っていくのですが、冒頭部分のオーケストラのスケールが妙に小さくまとまっていて首をかしげるのですが、途中からテリー・キャスのヴォーカルが入ってくるとこのヴォーカルの表現はなかなか良いのです。この1曲の中で得手不得手がはっきりと表れてしまうというのが面白いところです。
同じくダイナミックドライバー搭載のイヤフォン、Acoustic Research AR-E100と比較すると、最低域や最高域の伸びはPINNACLE PXの方が上と思うのですが、中域の密度感や濃厚さでAR-E100が勝るという印象です。同じ曲を聴いてみるとオーケストラ部分の表現では明らかにAR-E100が優位に立ちます。もっとも、私のAR-E100は現在組み合わせているケーブルがAZLA Silver Galaxy Mix+ 3.5mmなので、その分を割り引く必要はあるかも知れませんが…。
PINNACLE PXはTOTOやJourneyの80年代作品など、カラッとしたロックを聴くととても気持ちの良い音であり、逆にジャズやクラシック系ではあっさりとしすぎてつまらないという、明確なキャラクターを持っていることが特徴といえるイヤフォンといえます。DAPをAstell&Kern AK70に替えても傾向は特に変わりませんでしたので、この傾向がこの製品の持ち味と評して間違いないでしょう。
聴く楽曲次第で価格を大きく上回る満足度となるか、物足りなく感じるかが分かれる製品といえそうです。
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購入金額
12,000円
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購入日
2019年09月26日
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購入場所
drop.com







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