以前まさかの未使用品が放出されて一部で話題となった、ADC製MCカートリッジ、MC1.5。私も未使用品を1つ入手して使っています。詳細は以前掲載したレビューをご覧ください。
近年アナログ人気が復活したことで、ここ数年は以前よりはアナログ関連用品の販売量も増えて、選択肢はある程度用意されるようになりました。しかし、オーディオ製品の価格高騰の波をまともに受けてしまった結果、同じ水準の製品を手に入れるためにかつての数倍という価格を払う必要が出てしまったことも否定できません。当然、メーカー側もぼったくっている訳では無く、原材料の価格上昇や熟練工の減少などで必然性があって価格を上げている訳ですが。
物価の上昇に対して私の所得はさっぱり上がりませんので、一定以上の水準の製品を買おうとすると、どうしても格安販売品を狙うしか無くなります。その点、このMC1.5は当時1万円台で買えるMCカートリッジとしては間違いなく最良と呼べるだけの音を持っていました。
現在MC1.5は、その高めの出力電圧を活かして、メインで使っているaudio-technica AT-OC9/IIIで出力が不足気味に感じるときに使う、2番手カートリッジとして活躍しているのですが、使うたびに予備を買っておかなかったことを後悔していました。そのMC1.5を中古で見つけてしまった以上、買わないという選択肢はありませんでした。
実は購入時点でヘッドシェルのaudio-technica AT-LT13aやシェルリード線AT6101がセットされていたのですが、動作確認を取る時点でヘッドシェルはストックしておいたaudio-technica AT-LH18/OCCと交換してしまいました。
この価格でこの実力はもう手に入らない
元々持っていた方のMC1.5は、シェルリード線としてKS-Remasta KS-LW-1500EVO.Iを組み合わせていますが、新たに入手した方は敢えてaudio-technica AT6101をそのまま組み合わせています。もちろん後日入れ替えるつもりではいるのですが、一般的な組み合わせでどの程度の音になるのか確認してみたかったためです。
今回入手した方のMC1.5も、針先を確認した限り実働時間は短そうですし、ダンパー等のコンディションも悪くはなさそうで、先に入手していた個体と遜色ない状態は保っているものと思います。
折角ですので、AT-OC9/III+AT-LH15/OCC+KS-Stage401EVO.II/VKと、MC1.5+AT-LH18/OCC+KS-LW-1500EVO.Iで、同じ「Night And Day ~Big Band / Chicago」を聴き比べてみました。
大まかに表現すると、どちらかというとデジタルソースに通じるような緻密かつ微細な表現を得意とするAT-OC9/IIIに対して、アナログらしい豊かな中低域とウォームさを持ったMC1.5という傾向となりました。シェルリード線の音色としてはKS-LW-1500EVO.Iは割合Hi-Fi傾向を示すだけに、カートリッジの持ち味はかなり明確に違っているということがわかります。
TOTOのような硬質かつ高解像度なサウンドが似合うロック系の音楽であればAT-OC9/IIIが優位に立ちますが、今回聴いた「Night And Day ~Big Band」をいかにもアナログらしく表現してくれたのはMC1.5の方でした。もっとも、MC1.5も意外なほど高域方向の明瞭さを持っていて、総合的な実力も十分高いということを改めて実感させてくれました。
今となっては1万円台で入手できるカートリッジは各社のローエンドクラスです。その価格帯で販売されていながら、アナログらしい音楽性とオーディオ的な高い実力を併せ持つADC MC1.5は、これ以上無いコストパフォーマンスを誇っていたと思います。
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購入金額
11,000円
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購入日
2020年10月07日
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購入場所
オーディオユニオン ハイエンド中古館
harmankardonさん
2021/02/16
jive9821さん
2021/02/16
現時点でも、水準をクリアした最低ラインでも、MCであれば4万円台
まで上がってしまいましたからね。
audio-technica AT-OC9XEBやOrtofon MC Q5は正直ちょっと実力的に
厳しいと思いますので、これ以下の価格帯はMMで探すしかありません。
kaerkiさん
2021/02/16
針地獄に落ちないようにしなければばばば。 ヤフオフ見なけりゃいいんだけど。。。
jive9821さん
2021/02/17
私の場合はカートリッジの頭数はそこそこ持っていますが、昔から録音用の
カートリッジにはその時点でのメイン機を使うようにしています。どうしても
相性の悪い盤などがあれば、その時点で初めて他を使う程度でしょうか。
ヤフオクは、オーディオ機器が全般的に高すぎて手が出ませんね。以前は
利用することもありましたが、今はオーディオで使うことはほぼ無くなりました。