所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽との出会いはいつも偶然、本来観るのを諦めていたライヴ、偶然と、幸運と、人の優しさによってそれがかなって、その会場で購入した作品をご紹介します。
ピアニスト堀江沙知が率いるプロジェクトSANOVA。沙知さんのピアノに、ベース+ドラムスの3ピースを基本とし、時にゲストプレイヤーを迎えて演奏される。ピアノメインのインストバンドであり、ネオジャズとかジャズロックとか言われているが、ジャズのみでなく、ラテンやフュージョンはもちろん、プログレやポップス系のフレーバーもあり、区分としては「ピアノインスト」が正しいのかも。
自分は昨年(2018年)末に、ここ数年いつも年末に行っていたライヴがその年は開催されないことがわかり、ライヴ納めの音を探していて巡り会った。動画サイトをうろついていたとき、南米ボリビアの絶景地、ウユニ塩湖でピアノを弾いている動画に目を奪われ、気になって調べると、近々彼女たちが近くに来ることがわかって滑り込みで飛び込んだライヴ会場。
そこで心から楽しそうに演奏する彼らに力をもらい、音楽自体もとても気に入ったので、その日はツアーのプロモーション対象アルバムである3rdアルバム“BLISS”
を連れ帰った。
その後、ある百貨店のファッションイベントのライヴスペースに彼らが来ることをtwitterで知り、2mほどの至近距離で鑑賞したときには、2ndアルバム“Elevation”
を入手。
楽しみを残すために?メジャーアルバムに関しては、参加したライヴで1枚ずつ手に入れようと決めていたが、SANOVAが関東中心の活動のため、「次観るのは(つまり残る1stを手に入れるのは)秋かなー」と思っていたんだ。そのときは。
SANOVAは、2017年にメジャーデビューしてから、着々と活動範囲を広げ、インストアライヴや各地のライヴハウスでの公演、ジャズフェスへの出演などで露出を増やし、TV番組でもBGMなどで取り上げられることも多くなってきており、認知度を上げている。そんなSANOVAは、2019年6月に埼玉は彩の国さいたま芸術劇場で800人規模の無料ライヴを開催することになっていた。
ただこのライヴ、準備に時間をかけて計画されたので、cybercatがSANOVAを識ったときには完売状態だった...というか、そもそもチケット(無料だが席指定はあるのでチケットはある)が発売後瞬殺された人気公演なので、参加はかなわないと思っていた。
実は、その日別件で夕方まで東京駅近辺にいることになっていたので、「せっかく関東にいるのに...」とザンネンに思っていたのだが、たとえチケットが取れる状態であっても、その前の用事の終わる予定時間から少しだけ間に合わない見通しだった。
このライヴは、地方のひとが終演後帰れるように比較的早め開始(17時半開演)にセッティングされており、東京駅近辺から移動して与野本町の彩の国さいたま芸術劇場に移動しても、開演には30分ほど間に合わない計算だったワケ。せっかくのライヴ、途中から参加してもなー...と考えていたのだが。
しかし!その前の用事が予想より小一時間早く終わるという偶然。
⇒時間的には間に合う!...でもチケットが...⇒⇒そうだ、「アレ」を使おう!
このライヴは、発売半日で全席完売だったが、さすがに販売が2018年の10月31日と、ライヴから半年以上前だと、その間に都合が付かなくなってしまう人が出てくる。800席の限られた場、そして無料ライヴということで、いけなくなった人とチケットを手に入れ損なった人の間に、twitterで #どこの席でもいいからSANOVA見に行きたい というタグによるチケット譲渡の仕組みが出来ていた。
前案件の現場から電車に飛び乗り、とりあえず与野本町に向かいながら、一番直近に「空席あり」とつぶやいた人たちにリプを飛ばしつつ駅に到着、ホームで待つことしばし。開演前のバタバタしている時間帯だったからか、それまで頻繁につぶやいていた人もパッタリつぶやきが途絶え、「だめか...」と諦めかけたときに、そのうちの一人と連絡が取れたが、それが実に開演15分前。駅から約10分の会場へ急ぎ移動し、中央ブロック4列目という望外の良席にたどり着き、2時間弱前のtwitterでのやりとりが初交流の、席を譲っていただいた方を確かめてお礼を言った途端、暗転⇒ライヴ開始という超滑り込みで、一期一会の音楽を浴びた。
左から、やーまん⇒沙知さん⇒ショボン。ドラムスがショボンになったのはうれしい。
その終演後、購入したSANOVAの1stアルバムが、本作“Cloud9”。
1stアルバムのトップを飾るのは、ゴージャスでスピード感のある「Graceful Day」。スネアの位置を細かく変えて、変拍子風のトリッキーなリズムを形作る今村慎太郎のドラムと、ピアノがコード形成に回るときには旋律を奏で、ピアノがリードするときにはグルーヴィなベースで支える「やーまん」こと山根幸洋。その推進力があるリズムの上で、沙知さんのピアノが踊る。時に流れるような分散和音で、時に力強くたたきつけるようなコード奏法で。そして途中のオンビートドラムソロといった風情のキメフレーズがスリング。
タイトルチューンの「Cloud9」は、途中のブレイクからの復帰で「遊べる」ので、ライヴでも必ず演奏されるSANOVAの代表曲。郷愁を誘う「和」的なフレーズのイントロから、リズムインすると裏裏に入る今村のハイハットと、珍しく8分音符キープで下を支えるやーまんのベースが曲を進ませる。ブレイク前には、短いベースソロとリズム的仕掛けがあって、他メンバーの魅せ場も。アウトロのピアノソロも熱い!
緊張感あるコード展開と、絶え間なく流れるようなピアノが美しいハイスピードチューン「no cord of the nord」はスリリング!全編ピアノソロかっっ!というような攻めたライン、小節の区切りでは、喰い気味に次のフレーズを繰り出す沙知さんの「もっと弾かせてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」という心の叫びが聞こえた気がした←気のせい
先に聴いた3rd、2ndに比べると、曲の芯の表情の幅はやや狭くて、陽キャで推進力がある曲が過半だが、それだけに勢いがあり、とてもアピールする。
イメージ的にも、3rdの夜、2ndの夕方に比べると、「昼」で明るい感じで、これはジャケット通り。
元気をもらいたいときに、「進んでいける」曲たちです。
彩の国さいたま芸術劇場での「SANOVAファン全員大集合800人無料ライブ」では、4thアルバムの“ZIPANG”の発売決定の発表(2019年9月4日販売開始予定)に加えて、おそらくそれにも含まれることになる新曲、「覆面パトカー」のMVの撮影もあって、大盛り上がり。
4thアルバム発表時には、地方でもライヴをやってくれるはずで、またそのときは...!
【収録曲】
1. Graceful Day
2. regards
3. Cloud9
4. up to you
5. tsuki no hikari
6. Lady Luck
7. sincerely
8. no cord of the nord
9. river breeze
10. 手紙
「Graceful Day」⇒「Lady Luck」⇒「Cloud9」
初アルバムにかける気概にあふれている
「前に!」進ませる曲が多い
-
購入金額
2,500円
-
購入日
2019年06月01日
-
購入場所
SANOVAファン全員大集合800人無料ライブ会場物販
北のラブリエさん
2019/07/10
相変わらずこの手のお好きですねw
cybercatさん
2019/07/10
そうですね。
彼女たちの場合は、最初がライヴで、そのときの演奏の雰囲気も良かったのも大きいですが。
演奏中はいつもニッコニコ
北のラブリエさん
2019/07/10
ライブ行きたい。
私はこんなのもやっぱり好きw
cybercatさん
2019/07/10