所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ジャンルの黎明期の作品は、混沌としたエネルギーを、出口を探し求める奔流を感じます。それがそのアーティスト(グループ)にとってデビュー盤ならなおさら。そんなアツイ作品をご紹介します。
CASIOPEA。つい最近第三期(CASIOPEA 3rd)として活動再開した日本を代表するフュージョングループ。メンバーは、ギターの野呂一生、キーボード向谷実、ベースは櫻井哲夫でトラムスは佐々木隆。後に“黄金期メンバー”
と呼ばれるメンバーのうち3人が揃っている。「ジャパニーズ・フュージョン」華やかなりし頃に、THE SQUARE(現T-SQUARE)やNANIWA EXPRESSと比較して「理知的でCOOL」と評された演奏スタイルも、この盤ではまだ若く、荒い。でもダイナミックで、覇気溢れる演奏だ!ゲストのDavid SanbornやBrecker Bros.(Randy Brecker & Michael Brecker)に負けていない!
「Time Limit」。初期メンバー佐々木のトリッキーなリズムのドラム、ヴィヴラートを取り入れながら、16分音符で細かく刻む櫻井のランニングベース、4人の6連符の高速ユニゾン...このアルバムはCASIOPEAのデビュー盤として、キアイの入った初期名曲が多いが、その中でも特にトリッキー。向谷のローズソロの最後、ココ一発とペダルを踏んだグリスから、野呂のせわしなくスケールを上下する速弾きのギターソロまで気合いと気負いが感じられて「若いな」とw。ゲストのDavidのアルトサックス、Randyのペット、Michaelのテナーとソロが続くがこのバックのベースはフェイザーを効かせた緊張感あるものでGoo!
「Midnight Rendezvous」は後々まで何度も再演された名曲だが、後のアレンジでは省かれることが多かったストリングス(しかも生!-"Tomato" strings-)がいい味だ。この2作後から加わる「黄金期」メンバー、神保彰のタイトなドラムも緊張感があってこの曲に合っていたが、佐々木のメロディやソロと呼応したハイハットオープンを多用した叙情的なユルいプレイもイイナ。ローズのコロコロとした音と、ラストのオンビートドラムソロの前の、ストリングスのアクセントが「夜」。
「Black Joke」。これも超絶テクニカルチューン。イントロの6連符系ユニゾンは「アマチュアバンドが挑戦して挫折するフレーズ」として有名?だが、このアレンジでは1stブリッジからサビにかけて入るサックスがいい感じ。
アメリカで勃興しつつあったフュージョン。それを焼き直しでなく日本に根付かせるという気概を感じる作品。プレイは若いが志は高く!
強く印象に残る、そして日本が誇れる作品です。
【収録曲】
1. Time Limit
2. Tears of The Star
3. Space Road
4. Midnight Rendezvous
5. Far Away
6. Swallow
7. Dream Hill
8. Black Joke
「Time Limit」
日本のフュージョン史を語るのに外せない名盤
CASIOPEAの「1枚」を選ぶとしたら、ドラムスが神保彰になったあとの最強メンバーによる「スタジオ録音並みクオリティのライヴ収録盤」“MINT JAMS”
になるだろうが、そこに収められた7曲中3曲のオリジナルがこの盤にある。
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購入金額
3,200円
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購入日
1986年頃
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購入場所
北のラブリエさん
2020/08/08
cybercatさん
2020/08/08
...だが、なんかチ~ガ~ウ~ということで差し替えられたんだと...
北のラブリエさん
2020/08/08
cybercatさん
2020/08/08