レビューメディア「ジグソー」

トーンアームの高さを合わせるために厚手のシート

アナログプレイヤーを入れ替える前、KENWOOD KP-9010の音質改善に大きく役立ってくれたのが、SUNSHINE製の純マグネシウム製ターンテーブルシート、STS-1でした。

 

 

 

 

 

 

見た目や手触りの印象とは異なり、このシートを使うと低域のエネルギー感や沈み込みが出るようになり、低域の質に弱点を抱えていたKP-9010には効果覿面のアイテムだったのです。

 

プレイヤーをTechnics SL-1200Gへと入れ替えたことで、特に手を入れなくてもKP-9010以上の音質は出るようになりましたし、特に低域方向は大幅に進歩してくれました。

 

しかし、SL-1200Gも最上位クラスと比べると低域方向がやや軽く、マグネシウム製シートを使う余地はあるかと思っていました。そこでKP-9010からSTS-1と、組み合わせていた47研究所製豚革シート(Model 4728)をそのままSL-1200Gに移して使ってみました。

 

 

 

 

Technics純正のゴムマットと比べると、やはり低域方向の充実度は上がる傾向があります。しかし、この組み合わせには弱点がありました。それは厚みが無いということです。

 

先日SL-1200Gの方のレビューでは書きましたが、このプレイヤーのトーンアームは高さ調整機構が備わっているものの、初期位置の最低の高さであっても大抵のカートリッジでは高さがありすぎて、水平をきちんと取ることが出来ません。そのため、ターンテーブルシートは極力厚手であることが望ましいのですが、STS-1ではあまりに薄すぎたのです。

 

 

 

 

 

 

 

仕方なくしばらくは標準のゴムマットで使っていたのですが、これでもアームの高さを合わせるためにはまだ薄すぎます。もう少し厚手のシートを入手する必要がありました。勿論、手持ちのシートを複数組み合わせればそれなりに厚みは稼げるのですが、さすがに音質に対する悪影響が出そうなのでそれは避けたかったのです。

 

そんな状況で、例のごとく仕事ついでに秋葉原のヨドバシカメラに立ち寄ってみると、STS-1の上位モデルで、3倍近い厚みのあるSTS-2がほぼ半額の処分価格となっていたのです。SUNSHINEのブログによると、STS-2はあまりに売れなかったので、年度末を以て販売終了製品としたとのことです。これならマグネシウムを使いつつ厚さも稼げるということで、早速入手してきました。

 

更新: 2019/04/19
総評

音質はやや演出過剰気味だが、高さは合わせられるようになる

 

 

 

 

SUNSHINE製品らしく、パッケージには何の装飾もありません。個人的にはこの素っ気なさも製品の方に全力を注いだ結果と考えれば好ましく思えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表面の見た目はSTS-1に近いものです。こちらの方が少しだけ仕上げが綺麗に見えなくもありませんが、殆ど見分けは付きません。

 

 

それはさておき、早速SL-1200Gにセットしてみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

STS-2は、簡単に言えばSTS-1相当のマグネシウム2枚の間に、ゴムをサンドしたという構造ですので、STS-1と比較すると3倍近く厚みがあります。この状態であれば、現在組み合わせているカートリッジ、audio-technica AT-OC9/IIIでもほぼ水平という辺りまで高さが稼げるのです。

 

ただ、やはり固いシートならではの使い勝手の難点が気になりますので、STS-1の時と同様に47研究所の豚革シート4728も上に置くことにします。

 

 

 

 

 

 

 

センタースピンドルがかなり短く見える程度まで厚みが稼げるようになりました。これでようやくトーンアームの高さ調整が活用できます。

 

 

ただ、音質の方は低域の重量感などがちょっとわざとらしいと思える程まで出るようになりました。SL-1200Gならではの引き締まったハイスピード系サウンドがやや鈍ってしまうようにも感じられます。もっとも、この状態でも他の多くのプレイヤーと比べれば充分ハイスピード系ですし、これはこれで個性としてはアリかなと感じられる程度でまとまっていますので、しばらくはこのまま使ってみようと思います。

 

 

恐らくKP-9010にSTS-2を組み合わせればかなり劇的に改善したのではないかと思うのですが、SL-1200Gのプラッターは元々凝った構造で振動もかなり押さえ込まれていますので、マグネシウムシートによる振動の制御が充分に機能しきれないのではないかと思われます。その意味では、STS-2にとっては最も苦手な組み合わせ相手かも知れません。

  • 購入金額

    15,800円

  • 購入日

    2019年04月10日

  • 購入場所

    ヨドバシカメラ

16人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • nikikenさん

    2019/04/20

    jive9821さんこんばんは。
    私もSL-1200Gを使っていた頃にSTS-1を使っていました。

    私も上は豚皮を使っておりましたが、ターンテーブルとSTS-1が滑りやすいのでオヤイデの薄型ゴムシートを間に入れて3枚構成にしてました。
    確か高さの問題もこれで解消出来たと思います。

    それにしても同じ機器で同じ事やっていた人がいるんだと微笑んでしまいました。
  • jive9821さん

    2019/04/20

    > nikiken さん

    STS-1は以前のKP-9010ではなくてはならないという位に劇的な改善効果を上げてくれたのですが、何しろ静電気は呼びますしレコードも滑りますので、何とかならないかと考えて豚革シートにたどり着きました。

    STS-2にしたことで物理的な厚みは十分すぎる程となったのですが、音質の方まで変に厚みが出てしまう部分があります。ただ、先ほどから色々試している内に、針圧を0.1g減らしたことでかなりバランスが整ってきましたので、しばらくはこの状態で使ってみようと思います。

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