最近車に積んでカーオーディオ接続専用で使っているSONY WALKMAN NW-A865の端子が接触不良気味になってきてしまいました。私の車はカーオーディオの対応メディアがCDまたはカセットテープのみということで、カセットアダプター経由でNW-A865を繋いでいますから、出力が接触不良気味となってしまうと実用に耐えられなくなってしまいます。
まだ完全に接触しないというほどひどくはありませんので、今のうちに後継モデルを何か用意しておこうと思っていました。運転しているときでも操作できるよう、タッチパネル操作よりはハードウェアボタンがあるモデルが望ましいということで、最有力候補となっていたのは同じSONY WALKMANのNW-A16です。
ただ、NW-A16は意外と気に入っていて、出来れば車に積みっぱなしで劣化が早くなるというのは避けたい部分もありました。今までBluetoothのヘッドフォン・イヤフォンの試聴には敢えてNW-A16を使うことも多かったほどです。そこで、最新の同シリーズであるNW-A50系の本体を用意して、選抜落ちした方を車に積んでおくことにしました。
最初はごく普通に2万円前後でNW-A55を買うつもりでいたのですが、SONYストアのクーポンが何種類かあったことから、念のために直販もチェックしておくことにしました。というのも、直販の場合は追加料金無しで本体保証期間が3年付いてくるので、価格が近ければ直販で買うメリットが生じるのです。すると、そこでたまたま見つけたのがNW-A55/LLSという、この「ラブライブ!サンシャイン!!」コラボの限定仕様でした。実売価格は通常モデルよりは少し上がりますが、あまりに気に入らなかった場合手放す可能性もあることから、買取で高値が付くことが多い限定モデルの方を選んでおくことにしたのです。
通常モデルとの最も大きな違いは、この外箱のデザインでしょう。イラストは結構綺麗です。メンバーアイコンは正直何とも…。
箱の側面もAqoursの文字とメンバーアイコンが全てプリントされています。
恐らく通常のNW-A55であれば箱を開けた時点で本体表面が見えるように入っているのでは無いかと思うのですが、NW-A55/LLSでは背面のプリントをアピールするために裏面を見せるようになっています。
ベースモデルのNW-A55と同じくイヤフォン等は添付されておらず、WM-PORT専用USBケーブルだけが用意されています。
良くも悪くもSONYの音
それでは本体の方をもう少し見てみましょう。
NW-A10系・A20系ではタッチパネルを排したことからハードウェアボタンが表面に配置されていたのですが、NW-A30系以降はタッチパネルが復活してこのようにほぼ全面が液晶画面となっています。
個人的にNW-A50系を見て気に入ったのは、サイドボタンが案外押しやすい大きさであるということです。これが押しにくければ買っていなかったと思いますので…。
基本的には通常のNW-A50系と同じなのですが、画面上の再生/一時停止、トラック送りに該当する部分がやけにカラフルな辺りはNW-A55/LLS専用仕様です。
こちらも表示項目は通常モデルと変わりませんが、「アーティスト」の部分のアイコンがAqoursのロゴの書体となっています。実に細かい差です。
実は購入早々に予め調達していた専用ケースを装着してしまっていますので、画面を見なければ完全にごく普通のNW-A50系です。
それでは音質の方も確認してみましょう。先祖となるNW-A16と比較してみます。アンバランス出力専用モデル同士ということで、イヤフォンは普段から3.5mmシングルエンドケーブルを組み合わせているAcoustic Research AR-E100、Noble Audio Savant Universalの2つを使っています。
取り敢えず両モデルとも音質補正機能は全てOFFで試聴しています。
まず、高域の透明度や低域の解像度などといった、個々の要素ではさすがに世代の差がある分だけ、NW-A55が優位に立ちます。ただ、意外とヴォーカルの活きの良さなど、音楽の魅力となる部分においてはNW-A16の方が上回っている部分もあるのです。良くなったとはいえ低域方向の質感や解像度はより高価な他社製品と比べれば明確に劣っていることに変わりは無く、NW-A55の音にそこまでの魅力を感じされるわけでもありません。
NW-A16が発売された当初、約2万円でここまで高域の透明度や緻密さが出るのは画期的と評していたのですが、NW-A55ではそこからさらにもう一歩進化している辺りに、改良が進んでいることは感じられます。ただ、SONY製のオーディオ機器に良くある話なのですが、改良が進むと却って生楽器やヴォーカルの質感が後退する部分があり、NW-A16とNW-A55との間にも、少しばかりこの傾向が見られる辺りがどうしても気になってしまいます。
余談ですが、何度か試聴しているSONY製超弩級DAP、DMP-Z1(税別95万円)とAcoustic Research製DAP、AR-M200(約5.5万円)で聴き比べてみても、低域の重量感や沈み込みの深さ、スケール感など当然DMP-Z1が圧倒するものの、ヴォーカルや弦楽器の質感などで意外とAR-M200の方が魅力的な音を出していたということもあり、この辺りにSONY製のオーディオの課題があるような気がしてしまいます。
さて、NW-A50系の世代から、WALKMANの上位モデルにはアナログレコードの音の魅力を再現するという「バイナルプロセッサ」という機能が搭載されるようになりました。普段レコードをソースとすることが多い私としてはこれをどう感じたかという話をしておきますと…。
一言で言って、「SONYはアナログの良さを曲解している」ということです。バイナルプロセッサの基本的な考え方は「特性を比較する限りデジタルがアナログに劣る要素はない。つまり本来マイナス要因であるべきノイズや歪み、共振が加わった音にリスナーは魅力を感じている」というものであり、これらを演算によって擬似的に付加するのがバイナルプロセッサという機能です。まあ、オーディオマニアでもこれと同様の考えを持つ方は多いと思いますが…。
アナログとデジタルの音質の違い(或いは「静特性」と「動特性」)については、ここでは多くは語りませんが、株式会社CSRの高級オーディオブランド「SOULNOTE」のFacebookにおいてかなり詳細な考察が書かれていますので、興味を持たれた方はそちらをご覧いただければと思います。私は普段からアナログを愛用している立場として、SOULNOTEさんの主張の方を支持していますので…。
※SOULNOTEさんのfacebookは投稿数が非常に多く探しにくいと思いますので、直接的に述べている記事を以下にいくつか紹介しておきます。もちろん、これ以外の記事でも関連する内容は多くありますので、時間と興味がおありの方は是非ご一読ください。
結論としてNW-A16とNW-A55を比較して、どちらの方に魅力を感じるかという話については、どちらも一長一短程度ということになります。音質的にはどちらにしても2万円クラスなりに頑張ってはいるものの、より高価な製品と比べられるほどでもないとなりますし、機能面でもバッテリー持続時間や重量でNW-A16が有利な一方で、NW-A55であればDSD2.8MHz再生対応というメリットがありますから、どちらか一方が明らかに上回るほどでもないと感じます。
ただ、NW-A16は発売時点で同価格帯にハイレゾ対応を標榜するライバルがまず無かったのに対して、NW-A55では特にアドバンテージとなる要素がない分やや厳しいかなと感じます。もっとも、Bluetoothについては世代分良くなっている印象はありますので、ワイヤレス用途重視の方であればNW-A55の方を積極的に選択する意味はあるでしょう。
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購入金額
24,641円
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購入日
2019年05月10日
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購入場所
ソニーストア
北のラブリエさん
2019/07/29
ラブライブ!も(これはサンシャインか)少し興味があるので。
SONY好きですし。
jive9821さん
2019/07/29
私もあまりよく覚えていませんが、確か4月頃に期間限定で売り出されたもので、私もたまたま見かけたんですよね。通常モデルと大した差額ではなかったのでこっちにしてみたのですが…。
ここ最近は海外メーカーの低価格ハイレゾプレイヤーも充実してきていますので、純粋に音質だけで判断すると価格相応程度という評価になると思います。ただ、WALKMANらしく小型軽量かつ省燃費ですので、使い勝手重視であれば良い選択ではないかと思います。