この本は、発達障害と医者に認定されたわけでもなく、かと言って他の人と同化できないグレーゾーンの人たちのインタビューや互助会のような支援グループについて書かれた本です。
重度の発達障害の場合は、「あの人はこれができない」と他人にも理解しやすい。しかし、そもそも発達障害自体が連続的な事象なので、立ち振舞は他の人に合わせられても、社会的に必要とされている能力の一部にできないことがある人が居る。それらの人々をグレーゾーンと定義し、そういった人が増えてきているのだとこの本では書かれています。この悩みの根本原因として、一人一人の個性と能力には差があり、ここまでが一定水準という領域が存在しない、という共通認識が社会全体に圧倒的に足りないてないということが言えるのかと思います。
定量的なデータはありませんが、日本は世界的に見てかなり同質的な社会だと考えてます。そのため、ハイコンテキストな言語と社会が構築されている。結果として、他者と同一であることが普通であり、同一の志向、思考、嗜好、指向が好まれがちです。なので、多数の人にできることができないということは、異常であると認識されがちなのかなと。
社会全体でそのような個人差が理解されていないという話の一方、自分がなりたい役割や見られたい人物像と、他人に望まれる役割や見られている人物像は異なりがちです。社会に出て誰かの役に立つことをするためには、時には他人が望む自分にならないといけない。つまり、自分が居心地が悪いのは社会に理解がない、とも言い切れないところがあるかなとも思いました(これは障碍について不理解からくる感想かもしれません)。
発達障害という以前に、そもそも自分と他者は違うのが当たり前で、うまくできることと、できないことは明確に存在して、個人差をもっと認め合う社会になれば、グレーゾーンも含め色々な問題が解決できるような気がしました。
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購入金額
886円
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購入日
2018年12月28日
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購入場所
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