レビューメディア「ジグソー」

最廉価モデルながらしっかりとメーカートーン

以前主力モデルのプチ試聴会を行ってきたJasmine Audio製のカートリッジですが、現在お茶の水オーディオユニオンアクセサリー館で展開されている同社製品の試聴機はMCカートリッジ3モデル(すぐ聴けるのは2モデル)です。この辺りの事情は同店の方がブログにまとめてくださっています。

 

しかし、Jasmine Audioの正規代理店となっている飯田ピアノの直販では、シリーズのローエンドとなるMMカートリッジ2機種の取り扱いも始まっています。

 

MMカートリッジはローエンドのM1(5,500円)とその上位M2(11,000円)が用意されていますが、基本的には針先形状の違い(実際には内部も少し違うらしい?)で、M1が接合丸針、M2が接合楕円針です。

 

上位シリーズであるMCカートリッジでも最上位のFire以外は接合針を使っているということで、Jasmine Audioは接合針の使いこなしには定評があるらしいです。

 

今回は取り敢えず実力を試してみようということで最廉価モデルであるM1を購入してみました。飯田ピアノの直販価格は5,500円で、実売価格でこの水準という製品は他にREGA Carbon MM(audio-technicaの組込モデルOEM)程度しか思いつかないという、現時点において単売カートリッジとしても最廉価と考えて良い価格です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カートリッジの外箱としてはかなりコンパクトにまとまっています。実は飯田ピアノには他に小物も注文していたのですが、最初はそちらの箱しか入っていないと思ってしまったくらいに目立ちません。

 

 

 

 

 

 

 

紙箱の蓋を開けるとスポンジの中にカートリッジ本体と取付け用ビスセットが埋め込まれていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

Jasmine Audioは元々海外他社ブランドのカートリッジの生産も請け負っていたということですが、他社のカートリッジで感じていた不満を解消するべく自社で設計したという説明です。デザイン的にはOrtofonの廉価モデルOMシリーズとちょっと似ています。

 

 

 

 

 

 

 

ビスには樹脂ワッシャーとナットもセットされています。ただ今回はこれらは使っておらず、自分の手持ちの中から適当に選んで取り付けを行いました。

 

 

更新: 2024/12/23
総評

限界はあるが意外とHi-Fi調

今回は型番不明のシェル(恐らくアルミ製で12g程度)と、シェルリード線Ortofon LW-3Cを使って組み立てました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意外とボディが長目なので、オーバーハング長の調整はちょっと手こずりました。Technics SL-1200Gはコネクター部から52mmなのですが、それでもシェルリード線をかなり折り込んで何とか収めたという感じです。

 

 

 

 

 

 

それでは早速SL-1200G+TEAC PE-505の環境で音を出してみましょう。さすがにじっくりと使うようなカートリッジではないためエージングはレコード片面分のみしか行っていませんが、その辺りはご容赦ください。

 

今回は主に「Fahrenheit / TOTO」のUS盤などを聴きました。

 

まず第一印象としては、以前聴いた上位シリーズ製品のFireと音調が近いというものでした。Fireはレンジが広く解像度も高いものの、残響音や倍音が弱めで直接音をはっきりと描写するタイプのカートリッジです。

 

M1も廉価製品とは思えないほど直接音がかなりはっきりと描写されます。A面1曲目の「Till The End」のドラムはかなり小気味よく刻まれていきます。さすがに接合丸針ですからハイハットの金属感や細かさはあまり出ませんが、それでもタッチは明瞭に表現されています。レンジはさほど広いわけではありませんが、それでもこの価格帯としては優秀な方でしょう。

 

その一方で、やはりFireと同じく残響音や倍音が控えめです。5,500円でも99,000円でも質はともかく傾向が同じという辺り、一貫したメーカートーンが存在しているということなのでしょう。アナログ的な味は薄いものの、この価格の製品としては高音質に真正面から挑んだ音なのでしょう。

 

美点は接合針ながら特有の音の濁りがあまり感じられないということで、接合針の使いこなしは日本のナガオカに迫っているかも知れません。廉価製品を作るには大きな強みとなるでしょう。

 

とはいえ、さすがにA面の最内周に来る「I'll Be Over You」ではヴォーカルのサ行が豪快に濁るなど限界ははっきりと見えています。また一通り聴き終わって普段使っているaudio-technica AT-OC9/IIIに戻すと楽器もヴォーカルも質感がまるで違いますし音場の広さや奥行きに格の違いは感じられます。あくまで各社のベーシックモデルと比較してというレベルでの良く出来ているです。

 

それでも、今時単品のカートリッジをこの価格で出しているという意気込みは高く評価できます。恐らく針先が楕円針となるM2であれば、もう少し解像度や緻密差が出るでしょうし、今後注目のブランドといえるかも知れません。

  • 購入金額

    5,500円

  • 購入日

    2024年12月19日

  • 購入場所

    飯田ピアノ 直販

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