「芋づる式洲崎綾 Part6」。Webラジオのキャラクターの面白さと天使の歌声のギャップ萌えですっかりファンになった洲崎綾(あやちゃん/ぺっちゃん/あやっぺ)関連。12月といえばあやちゃんのバースデイということで、それに向けてこの1年で増えてきた彼女の参加した作品や楽曲、Webラジオのイベントやそれらの関連商品まで、幅広く芋づる式にご紹介するシリーズレビューの6回目。
そして本品は音楽の杜的側面もある。
同人サークル「舞風-Maikaze」。10年以上の歴史を持つ、クリエイター時音-Tokineを中心とするサークルで、以前は主に東方系の楽曲制作などを行っていたらしい。
そんなサークルが、10周年を機に新たに手掛けているのが、歌とセリフによる儚い物語、アニマトニス-Animahtnis。物語とそのテーマに沿った音楽により構成されるヴォイスドラマ+楽曲のCD。
そしてヴォイスドラマは現役声優によって演じられる。
2017年の1作目「Visu - FairyTale」のヴォイスドラマは、主役のVisuを竹達彩奈、2本の尾を持つ黒猫インペリアルを小野大輔、Visuの屋敷のメイドMimiを咲々木瞳、ナゾの人物を悠木碧、そしてナレーションに森沢芙美を迎えて制作された。これに時音-Tokine自身を含む6名のヴォーカリストが歌う8曲の楽曲が収められた。
2作目となった本作「霧海の人魚 - Titan1912」は、主役の人魚=船夜しずめを西明日香、同じく人魚で姉貴分の「する姉」こと天覆するねを洲崎綾、人魚を敵と狙うオズワルドを高橋伸也が演じた。楽曲は5人がヴォーカルを取り、7曲が入ったものとなった。
洲崎西...とは思えない?(←失礼)真剣な演技を聞くことができる。
ストーリーとしては、人魚のしずめを中心に話が進む。
1曲目の「霧海の人魚」は、安田みずほが歌うこの物語のイントロダクションといった感じの曲。ところどころに挟まれるセリフ(セリフは各声優による)で、しずめとするねが人魚であり、霧海という海で暮らしていること、霧海が船の墓場と呼ばれていること、しずめは「みんなが幸せになるように」歌を歌っているが、するねはそれが船を深海に引き込む魔性の歌であることを知っている...ということが提示される。ピアノとタム回しをリズムに取り入れたドラムスかせ盛り上げる、おどろしくも美しい歌になっている。
2曲目「人魚達の楽園」はしずめとするねの日常タイム。「おねえちゃん、また船が沈んだの...」と言うしずめに「さすが私の妹」「でももったいないわぁ、もうちょっといたぶってから沈めないと」と独り言ちるする姉。曲といっても劇の方が優勢で、劇伴に歌詞が少しだけついているという程度。
「Titan - 1912」は、この物語の発端となった事件の歌で、時音-Tokineが歌う。オズワルドは恋人のエミリア(CV西明日香-兼役)と船旅をしていた。船内ではパーティが開かれていたが、しかしそこに轟音が!オズワルドがエミリアを残し、様子を見に行くと船は氷山と衝突していた。水がどんどん浸水してくる船。エミリアのところに戻ろうとするオズワルド...その時!船体が折れ、船は沈んだ...。海に投げ出されたオズワルドが見たのは海の底から誘う、魔性の人魚...。この日からオズワルドの人生の目的は、この世から人魚を根絶やしにすることになった。♪冷えた夜空に輝く星は/静かな海に影を映し出す/乗客は何も知らずに/気づく頃には皆遅すぎたと知る/今、掠めたのは何だ?船は傾き崩れる/声が遠く響く/少女は凍てつく海へと/落ちていく/深く引きずり込まれる/人魚たちに♪
難破した船で人魚たちを狩っていたオズワルドは、船を探検していた人魚と出会う。切り倒そうと近づいたオズワルドが見たのは、在りし日のエミリアとそっくりな人魚=しずめだった。しずめに向かって「想い出してくれ!エミリア!」と迫るオズワルド。ここにかぶさるのが「最愛はそこに」。時音-Tokineが、♪例え/どんなに/この手を伸ばしても/お前はもう/変わり果てた姿/その中にもしも/記憶が残っているなら...♪と歌う。そして時々挟み込まれるエミリアとオズワルドが幸せだったころのエミリアの声や笑い声...エミリアの顔を持つ人魚を斬れないオズワルド。最後にしずめがつぶやく...「オ...ズ?」
そこに割って入ったのがするね。「離れなさい!私のかわいい妹に何しちゃってるのかしら?」とオズワルドと戦うするね。闘いのさなか、劣勢になったするねを助けようとして、しずめはオズワルドを殺めてしまう。「エミリア...な..ぜだ...」斃れるオズワルドを見て、しずめはつぶやく...「私あなたを知っていた気がする」「涙が止まらないわ...」
...そして霧から生まれたするねにも、霧へと還る最期の時が近づいていた...
というような哀しいお話を、洲崎西コンビとは思えない?(←いや、ふたりとも芝居は上手いのでおかしくはないのだが...可笑しいw)あっちゃんとあやちゃんの迫真の演技と、凛々しい声の高橋伸也が紡ぎ、音楽が盛り上げるというようなロックオペラならぬロックドラマという感じの作品。
あやちゃんは、しずめにみんなが喜ぶからと歌を歌わせ、船を沈めさせる姉という、いわば敵役の立場。聴き所は声の芯が「陽」であるあやちゃんには珍しく、「悪役」の演技が聴けるということ。「するねぇ、するねぇ、ゾクゾクするねぇ」と言いながらオズワルドと戦うワルい演技、その時発する掛け声もバトルガール・ハイスクールの戦闘シーンなどで発する凛々しい「気合」という感じのものではなく、「獣の唸り声」と言えばよいようなもので、あまり他で聴けないようなダークサイドの声。
声優のホンキを見た!(聴いた?)という感じでとても楽しめる。あまりそれまでなかったこのダークな声がどこかで流れたのを制作陣が耳にして、2019年のアニメの主人公、影のある魔法少女役(魔法少女特殊戦あすかの大鳥居あすか)を射止めたのでは?と考えるのも楽しい。
普段と違うあやちゃんの邪悪な声を聴きたいときに?
【収録曲・内容】
1. 霧海の人魚 [Vocal:安田みずほ]
2. 人魚達の楽園 [Vocal:Cleha]
3. 侵入者
4. Titan - 1912 [Vocal:時音-Tokine, Chorus:咲空, 朝木 ゆう, 夢乃 ゆき]
5. ヒトデナシの痕跡
6. 先人達の誘い [Vocal:水色 夏音, Chorus:咲空]
7. 遭遇
8. 最愛はそこに [Vocal:時音-Tokine, Chorus:夢乃 ゆき]
9. 霧海の怪物 [Vocal:水色 夏音]
10. あなたは、誰? [Vocal:朝木 ゆう]
11. その涙は霧に
12. ♨ Extra - お姉ちゃん?と一緒
「Maikaze公式」アニマトニス-Animahtnis [霧海の人魚 - Titan1912]PV
必聴度的には★5つ。それが受け入れられるかどうかは別として。
あやちゃんの声の幅を広げた役かも。それまでも大人っぽいのや凛々しいの、バカっぽいのからロリロリまで幅広かったが、ダークサイドはほとんどなかった。
ま、♨ Extraの声の方が落ち着くのは落ち着くがwwwwwww
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購入金額
2,600円
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購入日
2018年08月20日
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購入場所
Amazon
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