主にPC用のファイル取込に使用するレコードプレイヤー、KENWOOD KP-9010で使うターンテーブルシートとしては、純マグネシウム製のサンシャインSTS-1を軸として、これの静電気・使い勝手改善のために薄いソフトタイプのシートを組み合わせるようにしています。一時期はTEAC製の和紙を使ったことがありましたが、現在は47研究所製の豚革シートを組み合わせていて、これが音質的にもよりプラスの方向となった上に、静電気の影響も受けにくくなりつつレコードの取り外しも以前よりは楽になるなど、全体的にに好ましい方向性の変化があって愛用する組み合わせとなっていました。
先日秋葉原で開催されたアナログオーディオフェア2018に、この豚革シートを発売している47研究所が小さな物販コーナーを設置していて、私も使っている豚革シートの他に、上位モデルの鹿革シートを格安販売していました。
そこで「現在豚革シートを使っているが、これを鹿革に替えたらどのように音質が変わるか」と質問してみたのです。すると、「例えばクラシックでいえば、オーケストラの迫力を取るなら豚革だが、小編成の空間表現は圧倒的に鹿革」という返答が返ってきました。
このとき販売されたものは傷・汚れありということで、普段の豚革に近い価格で鹿革が買える程度となっていましたので、使い比べてみようと思い1枚購入してきました。
少し色やけがあるのですが、残っていた中では最も状態が綺麗なものを買っています。
なお購入した際に注意点として、鹿革は水濡れさせないように注意して欲しいとのことでした。鹿革は濡らしてしまうと形状が保てなくなってしまうのだそうです。
雰囲気重視系の音
前述のKP-9010で使っている豚革を、そのまま鹿革に入れ替えてみました。
豚革は黒でしたが、鹿革はベージュ色なので、レコードとマグネシウムシートの間でそこそこ存在感を放っていますね。厚みはさほどないので、トーンアームの高さを変えなければいけない程ではありません。
久々に「Wallflower / Diana Krall」を聴いてみました。
これまでとの違いとして感じられるのは、エコーや楽器の胴鳴りなど、直接音以外の音色が豊かになるということです。Diana Krallの声にかかっているエコーが明瞭になることで、歌っている部屋の広さのようなものが感じられるようになります。小編成の演奏で活きるというだけあり、このようなソースには抜群の相性の良さを感じさせます。
一方で「Now / Chicago」のようなロック系のソースはどうなるでしょうか。
このようなソースも雰囲気はなかなか良いのですが、少し気になるのは豚革と比べるとバスドラムのアタック感がやや弱くなったような印象があるということです。豚革の方がメリハリは強めに出るというべきでしょうか。不思議なことに鹿革の方がシカゴのホーンセクションの音がややシャープかつ細身になる部分もあり、豚革と比べると個性がはっきりとした音というべきものとなります。
普段どちらを使うべきかといえば、まず個性が弱く重心を下げて迫力が少し増す豚革の方が、ソースを選ばない良さはあると思います。しかし、相性の良いソースと鹿革の組み合わせでは、素晴らしく雰囲気の良いものとなるため、自分が普段聴くソースによってはこちら一択となる可能性すらあります。
私自身はどちらを選ぶのかと言われると、ソース次第で両方使うとしか答えようがありません。ミディアムテンポ以下の楽曲では鹿革の雰囲気は素晴らしいものがある一方で、ロック系のソースであれば豚革のメリハリが捨てがたくなるのです。
果てしなく高価なものも存在するターンテーブルシートの中では比較的手頃な価格の製品ですから、両方買って使い分けるというのもお薦めです。
-
購入金額
3,600円
-
購入日
2018年06月09日
-
購入場所
アナログオーディオフェア 2018会場 47研究所ブース
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。