レビューメディア「ジグソー」

The Siren Seriesの末娘だが、Michelleの下位と考えるとしっくりくる

「イヤフォンの神様」Jerry Harveyが率いるJH Audioと、高級DAPの第一人者Astell&Kernのコラボレーションで生まれたイヤフォン製品群が「The SIREN Series」です。

 

元々の主力モデルは6桁価格というかなり高価な製品群でしたが、Michelleの発売からは5万円前後という価格帯にも展開されるようになりました。私自身はDiana、Michelleとこのシリーズを2機種所有していますが、いずれも10万円を下回る価格帯に展開されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのThe SIREN Seriesの最低価格帯に追加された末娘(このシリーズはすべてロック系楽曲に由来する女性名が付けられています)にあたるのが、今回取り上げるBillie Jeanです。機種名の「Billie Jean」はマイケル・ジャクソンの同名楽曲に由来します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

付属品欠品ということで、ケーブル2本(3.5mmシングルエンド、2.5mm4極バランス)とイヤーピース(S,M,L各1ペア)だけが入っていました。

 

ちなみに、2.5mmバランスの方のケーブルは標準添付ケーブルとは別物かもしれません。L型プラグではありませんし、艶のあるブラックで「Astell&Kern」のロゴも印刷されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Billie Jeanは発売当初、この赤だけが用意されていました。後に青や紫が追加されています。

 

ドライバー構成はフルレンジBA+高域用BAの2基となっていて、各ドライバーからの到達速度を揃えるJH Audioの独自技術fleqphaseが採用されています。

 

汎用のCIEM 2Pin端子を採用しているため、リケーブルはJH Audioのより上位製品(JH 4PinまたはJH 7Pinという独自形状)と比較すると幅広い選択肢が用意されます。

 

更新: 2020/10/05
総評

レンジはやや狭いが、ロックを小気味よく鳴らす辺りはJH Audioらしい

それでは試聴に移ります。

 

まずは、ケーブルにBrise Audio SHP-001を組み合わせて、イヤフォンそのものの傾向を探ってみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DAPはAcoustic Research AR-M2を組み合わせます。

 

 

 

 

 

 

 

 

Billie Jeanの上位に当たるMichelleは私が初めて購入した5万円超えのイヤフォンであり、その後より高価な製品を買った後も試聴用リファレンスモデルとして利用し続けています。

 

そのMichelleと比べると、やはりどうしてもレンジの狭さや音場の密度の薄さが気になります。

 

JH Audioらしくドンシャリ感はあるのですが、低域の強い部分が他の上位製品と比べるとやや高い周波数となっているため、量感はそれなりにあるものの力感や解像度が足りません。高域もMichelleと比べると高い方には伸びていない印象を受けます。

 

ただ、音楽を聴く上でそれ以上に気になるのが、丁度ヴォーカルの帯域に当たる部分の密度が薄く、ヴォーカリストの存在感が希薄になることです。例えば「10 Miles / CWF」(アルバム「CWF 2」収録)を聴くと、イントロのちょっと大げさなまでに入ってくるギターの音色や、歌い出しのジョセフ・ウィリアムスの声があっさりとしてしまい、雰囲気が出ません。イヤーピースを少し小さめのものにすることで多少改善しましたが、それでも本質的には変わりません。

 

 

 

 

 

 

 

ただ、この傾向であれば中域の密度が濃く、ドンシャリ感の無いケーブルと組み合わせることで改善できそうに思えました。というわけで、ケーブルをWAGNUS. Ginger Lilyに替えて再度試聴します。

 

 

 

 

 

 

 

 

この狙いはピタリと当たり、ジョセフ・ウィリアムスのヴォーカルの存在感が一気に出てきました。Michelleと比べてしまえばまだ薄口ではありますが、これはこれでバランスとして悪いものではありません。イントロのギターはもう少しくどさがある方が好みですが、先ほどよりはずっと好印象です。

 

強いていえば低域方向の深さはどのケーブルでもあまり出てこない印象があり、2BAモデルの限界を感じさせる部分はあります。

 

それでも上位のMichelle(当時約6.5万円)、Michelle Limited(当時約5万円)と比べて敵わない部分があるのは当然のことであり、同シリーズの下位モデルとして納得できるだけの音は十分出ていると言って良いでしょう。

 

むしろDiana(約9万円)と比べれば、癖が少なくわかりやすい音が出てきますので、幅広いユーザーにお勧めできるのはBillie Jeanの方ではないかと思います。Michelle系は人によって装着感に大きく差が出て、それが音質の印象にも大きく影響を与えていましたが、Billie Jeanは形状も普通で大きさも手頃ですので、個人差も出にくいのではないかと思います。

  • 購入金額

    9,000円

  • 購入日

    2020年10月03日

  • 購入場所

    eイヤホン秋葉原店

14人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • harmankardonさん

    2020/10/05

    The SIREN Seriesは,コンセプトが明確なので,音の違いが楽しいですよね.
    Diana,Michelle,Billie Jeanの3つ合わせると,アレが買えてしまいますが.
  • jive9821さん

    2020/10/05

    > harmankardon さん

    定価ベースでいえばRoxanne IIが見えてきますが、実際の購入価格は
    合計でもせいぜいRosieクラスですので…。

    MichelleはRosieとの比較で買っていますし、まあ妥当なところではないかと。

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