AMDから発売されている、Zenアーキテクチャ採用のプロシューマー/エンスージアスト向けハイエンドデスクトップCPUであるRyzen Threadripper
は、新しいソケット規格=TR4ソケット(sTR4)を採用する。そのため、導入には専用のM/Bが必要となる。
具体的にはAMD X399チップセットが、2018年3月現在sTR4をサポートする唯一のチップセットのため、それを採用するM/Bが必要だ。
まだ出始めの新しいソケット規格で、対応CPUも3種類(Ryzen Threadripper 1950X、同1920X、同1900X)しかないのもあってか、選択の幅は広くない。現時点で発売済みなのは、
【ASRock】
・Fatal1ty X399 Professional Gaming
・X399 Taichi
・X399M Taichi
【ASUSTeK】
・ROG ZENITH EXTREME
・ROG STRIX X399-E GAMING
・PRIME X399-A
【GIGABYTE】
・X399 DESIGNARE EX (rev. 1.0)
・X399 AORUS Gaming 7 (rev. 1.0)
【msi】
・X399 GAMING PRO CARBON AC
・X399 SLI PLUS
くらい。ASUSTeKだけベーシックな「A」、ゲーミングボードの「ROG STRIX X399-E GAMING」、最上位の「ROG ZENITH EXTREME」を持つので3クラスだが、他のメーカーはすべて2クラス⇒ASRockの3種類のうちひとつは「X399 Taichi」のMicro-ATX版=「X399M Taichi」であり、グレードとしては2種。だいたいベーシックボードがあって、ゲーマー用機能を強化したゲーミングボードが上位にいる、という商品構成(GIGABYTEのみ安価な方がゲーミングボードで異なるが)。
とは言っても、ベーシックボードと上位ボードの価格差が大きくないのもX399 M/Bの特徴だ。当初はASUSTekのみ廉価な方が同社のベーシック系では一番簡素なボトムエンドの「A」シリーズで、上位ボードがハイエンドゲーミングクラスの「ROG EXTREME」シリーズだったため、2万以上の売価の差があったが、これもつい先日中間グレードとして「ゲーミングボード」のROG STRIX X399-E GAMINGが追加され、それとベーシックボードのX399-Aとの差は1万円以内に収まった。他のメーカーは上位下位の差が、一時的な特売などを除けば5千円~1万円強くらいの価格差に収まっている。
その中でも特にASRockは上位下位の性能差・価格差ともに少なく、他メーカーがWi-Fi標準装備の有無のような付加価値だけではなく、M.2ソケットの数やSATAポート数のような後からの変更が困難な部分の差もあるのに対して、上位の「Fatal1ty X399 Professional Gaming」とベースグレードの「X399 Taichi」の差がごくわずか。
具体的には、「Fatal1ty X399 Professional Gaming」にはある
・AQUANTIA製10GbLAN
・Creative Sound Blaster Cinema 3によるサウンド機能
・COMポートヘッダーの装備
・ASRock Key Masterなど提供ソフト
などが「X399 Taichi」では削られているが、LANがGbまでで良いならば致命的なものはなく、それでいて一時期はX399 M/B中最安値だったこともあるというスーパーハイコストパフォーマンスM/B(現在は他社が特売中でもあるため、最低価格ではない)。
そんな「X399 Taichi」で、Ryzen Threadripper CPUを組んでみた。
Taichi=太極をイメージしたハコだが、右下になにやら萌え成分がw
ただなぜかIntel系のみに適用されるピン曲がり保証の説明の紙が入っている←逆効果じゃね?
M/Bのレイアウトはとてもわかりやすい。
第一世代'Taichi'の「太極」を強くアピールする白/黒ではなく、銀/黒のカラーリング
ついにバックパネルからUSB2.0がなくなった...(内部ヘッダはある)
LANは、安心のIntelのイーサネットコントローラーi211-ATによるものがツイン装備。最新のUSB 3.1 Gen2もAとCを一つずつ装備(上の図ではUSB3.0として紹介しているが、残りのポートも厳密にはUSB 3.1 Gen1=USB3.0と転送速度は同じ)。
クッソデカイTR4ソケットの左右(組み付け後は前後)に4本ずつのDDR4メモリスロット。
周辺にあるMOS-FETなどで11フェーズの電源回路を形成している。
CPUソケットの長辺とDDRメモリのスロットの全長が大差ないのがスゴイ
PCIeスロットはx16形状が4本、×1形状が1本。特徴的なのは、×16スロットは「PCI-E Steel Slot」と呼ばれる金属製の枠が付いたタイプになっている。これは2~3スロット占有型の重量級ビデオカードに対応したもの。素晴らしいのはRyzen ThreadripperのPCI Expressバスのレーンの太さ(64レーン)が幸いして、4枚ビデオカードを積んだ時も、×16+×8+×16+×8で48レーンを消費しても、さらにM2.スロットのNVMe接続用レーンを残すこと(合計64レーン中、4レーンがCPU⇔チップセットの接続に使われるが、4枚ビデオボードを積んで、48レーン使い切ってもまだ12レーン残っている)。
×1スロットは右が解放されており、×4なども挿すことができる
1本だけある×1形状も片方がオープンしており、帯域を気にしなければ、×4形状のカードなども装着することができる。
M.2 ソケットは3つで、待望のNVMe RAID対応。
オーディオは「Purity Sound 4」と呼ばれているもので、Realtek ALC1220を用いたもの。このチップはRealtekの最新オーディオチップで、S/N比 120dBを誇る。さらにオペアンプは600オームの高インピーダンスに対応するTi製NE5532、コンデンサはニチコンのFineGoldシリーズを奢る等、オンボードサウンドとしてはかなりがんばっている。
今回は、メモリはフルスロット積むが、ヒートスプレッダなどがないシンプルなCrucial CT8G4DFD8213で、CPUクーラーもTR4専用簡易水冷のEnermax LIQTECH TR4 280
を使ったのでCPU上空が込み合っていない事、および、ビデオカードとしては2スロット占有型とはいうものの、全長20cm以下のASUS STRIX-GTX750TI-OC-2GD5、SSDはPCIeスロット型のIntel SSD750 SSDPEDMW400G4を1枚のみ搭載と言うことで、組み付け自体はとても順調だった(簡易水冷の取り付け含んでも1時間かかっていない)。
セットアップでは、X399系が発表当初NVMe RAIDに対応しておらず、後からドライバがリリースされたため、NVMe接続のSSDの認識の問題が考えられたが、購入時期が良かったのか、なんの問題もなく認識。逆に困ったのが、なぜかUEFIの起動順設定で、USB接続の光学ドライブをどうしても認識せず、仕方がないのでUSBメモリにWindowを移してのインストールを強いられたことくらいか←かなり〆切土壇場の作業だったのでイヤな汗がドクドク出たのはヒ・ミ・ツ。
なお、このトラブルのときUSB光学ドライブの設定を見つけるためUEFIを日本語にして、あちこち探しまわったが、ASRock先生らしくなく、ほとんどの日本語が「普通」で、あの「味わい深さ」はあらかた失われてしまったようだ....(とはいえ↓)
褒めておいてアレだが「変更がそして退出することを保存します」って、なんやねんw
一部でフルスロット搭載時のメモリの相性問題が話題になったので、心配になって念のため確かめてみたが、UEFI上も...↓
Windows上も↓、
きちんと8本認識しているようだ。
通電すると歯車をかたどったチップセットカバーの後ろが光ってCOOL!
「コストパフォーマンス」軸で語ると、とにかく現時点最強のX399ボードです。
【仕様】
対応CPUソケット:AMD TR4 Socket (Ryzen Threadripper シリーズ CPU)
電源設計:11 フェーズ
チップセット:AMD X399
対応メモリー:DDR4 DIMM スロット×8(クアッドチャンネル)、最大容量128GB
(DDR4 3600+(OC)/3200(OC)/2933(OC)/2667/2400/2133)
内蔵グラフィック:なし
オーディオ:Purity Sound™ 4 Realtek ALC1220オーディオコーデック7.1 CH HDオーディオ
ネットワーク:Intel I211AT ギガビット LAN×2
無線 LAN:IEEE 802.11a/b/g/n/ac(Intel 802.11ac WiFi モジュール付属)
Bluetooth:4.2 / 3.0 + ハイスピードクラス II
拡張スロット:PCI Express 3.0 x16 スロット×4(CrossFireX/SLI=4-Wayまで対応)
(x16、x16+x16、x16+x8+x16、x16+x8+x16+x8)
PCI Express 2.0 x1 スロット×1
垂直 M.2 ソケット(Key E)×1(WiFi-802.11ac モジュール実装済み)
ストレージ:SATA3 6.0 Gb/s×8(サポート RAID 0/1/10)
ウルトラ M.2 (タイプ 2242/2260/2280) ソケット×2(SATA/PCIe両対応)
ウルトラ M.2 (タイプ 2230/2242/2260/2280) ソケット×1(SATA/PCIe両対応)
U.2 コネクタ×1(ウルトラ M.2 ソケット_1と排他)
主要内部コネクタ:USB 2.0 コネクタ×2、USB 3.1 Gen1 コネクタ×2
後部出入力ポート:アンテナポート、PS/2マウス/キーボードポート、SPDIF光出力コネクタポート、
USB 3.1 Gen2 Type-A ポート×1、USB 3.1 Gen2 Type-C ポート×1、
USB 3.1 Gen1 ポート×8、RJ-45 LAN ポート×2、HD オーディオジャック
付属ディスク:ドライバ, ツールソフト、アンティウィルス (トライアル)、
グーグル クローム・ブラウザー & ツールバー
付属品:クイックインストールガイド、サポートディスク、I/Oパネル、SATAフラットケーブル×4、
ASRock 3-Way SLI™ Bridge カード×1、ASRock 4-Way SLI-S111 Bridge カード×1
ASRock SLI_HB_Bridge_3S カード×1、ASRock WiFi 2.4/5 GHz アンテナ×2
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2018/03/23 メモリ認識状況確認追記
非常に高い。これさえあれば何もいらない。
他メーカーのX399 M/Bの価格が低下傾向にあるため、現在では最廉価ではないが、「コストパフォーマンス」ではいまなお各社ベースグレード M/B中最強。
X399 Taichiのアドバンテージは
・SSD用M.2ソケット×3(一部の他社ボードは×2)
・IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN(一部の他社ボードは非搭載)
・内蔵Bluetooth(一部の他社ボードは非搭載)
・NVMe RAID対応(一部の他社ボードは非対応)
・SATA端子×8(一部の他社ボードは×6)
を「すべて」備える事。
他社のベースグレード M/Bが、X399 Taichiよりスペック上優れる点としては、PCI-Express ×4スロットの装備や、PCI-Express ×1スロットの本数などがあるが、いずれも位置的に2番スロットであり、プライマリビデオボード(1番スロット装着)が2スロット以上占有型なら、それらはどのみち物理的に死ぬので、現実的には各社ベースグレード M/B中最強ボードと断言できる。
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購入金額
46,372円
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購入日
2018年02月25日
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購入場所
TSUKUMO DOS/Vパソコン館
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