普段使いしているヘッドフォン、SENNHEISER HD650ですが、バランス接続用のリケーブルは持っているものの、通常のステレオプラグ用のリケーブルは持っていませんでした。厳密に言えば以前買った上海問屋の銀ケーブルはあるのですが、予想以上に細身な音になってしまいどうもしっくりこなかったのです。
もっとも、標準ケーブルの音質がHD650の本来の音質と言うべきものであり、それが特別に悪いとは思えません。ケーブルとしての出来自体はお世辞にも良いとは思いませんが…。
強いていえばやや透明度がないこと、アタックがやや丸くなることが改善できればそれで十分ということで、その辺りを期待して、比較的安価でありながらPCOCC-A導体を採用する、oyaide HPC-62HDX Black / 1.3mを購入しました。
このシリーズはPCOCCの出荷終了に伴い、オヤイデが企画した102 SSC導体へと変更したHPC-62HDX V2シリーズに置き換わっているのですが、個人的に実売価格で102 SSCとPCOCCとを比較して、102 SSCの方が高価という辺りに納得できず、敢えて旧製品のHPC-62HDXの方を選択しています。
プラグ部分については、オヤイデ製品ではロジウムメッキのメタルプラグを多用しています。ロジウムメッキを採用した際の音質は賛否が極端に分かれますが、他のプラグが用意されていなければ比較のしようがありませんので、なんとも言えないところです。
一方でHD650接続側の端子は、オヤイデロゴが入った独自のもののようです。それほど高価な造りには見えませんし、これの同等品を単売してくれれば自作も気軽に出来るのですが…。
高域方向の艶が乗り、やや派手な方向に
それでは早速音質の方をチェックしてみましょう。試聴環境は普段使っているものそのままであり、聴き慣れている環境だけに音質の変化はわかりやすいはずです。
まず大きな変化となるのは、高域方向の濁りがかなり解消するということです。標準ケーブルでは高域がよく言えばまろやか、悪くいえばやや濁っているという印象だったのですが、HPC-62HDXに交換することで透明度が増し、アタックの鋭さも表現されるようになります。
さらに全帯域に渡ってセパレーションが向上しているためか、どの音からも付帯音が減ったように感じられ、ありきたりな表現でいえば「ベールを一枚剥いだ」かのような音、といえば良いでしょうか。PCOCC導体のケーブルによく見られる傾向なのですが、中高域より上辺りに独特のキャラクターが付き、やや派手目な印象を受ける部分はあるかも知れません。
もっとも、HD650ユーザーの好みを考えると、これが好ましい変化と感じられるかは何とも難しいところでしょう。この曖昧さを残した部分が良い意味での個性として捉えられている部分もある製品ですからね。
HPC-62HDXを組み合わせると、傾向としてはHD650の音が、HD600の方にやや近づくというところでしょうか。厳密に言えばHD650とHD600の中間の音を、ワンランクHi-Fi方向に振ったと解釈するとわかりやすいかも知れません。
聴くソースによって一長一短という部分はあるのですが、オーディオ的には間違いなく良くなっているわけで、リケーブルの効果はきちんと表れていると評して差し支えないでしょう。それでもHD650ユーザーに広くお勧めできるかといわれれば、少々疑問は残ります。人によってはHD650ならではの味わいが消えたと感じることもあるでしょうから…。
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購入金額
6,350円
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購入日
2017年08月20日
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購入場所
ヨドバシ・ドットコム
harmankardonさん
2017/09/21
ただ,3700円だったので購入できましたが,定価では無理でした.
ゼンハイザーの標準ケーブルは,バランス良く出来ていると思いました.物足りなさはありますが,Silverコートで解像度を上げても,OFCで低域を太らせても,なんか物足りなさを感じました.
jive9821さん
2017/09/21
当然ケーブルとしての出来は導体だけでは決まらないのですが、102SSCで自作したケーブルと、ごく普通のOFCケーブルとで比較してみると、正直言ってそれほど違わないように思えるのです。別に悪い訳ではないのですが、PCOCCのようなはっきりとした個性がある訳ではありませんし、その割にはどうしても値段が高いと思ってしまうのです。
102 SSCを使ったケーブル自体は、完成品として価格なりに良く出来てはいると思うのですが…。