現時点のお気に入りのイヤホンを5つだけ選べ(CIEM除く)と言われた場合、どういう数え方をしてもcybercat的五指に入ってきてしまうのが、高音厨大歓喜ハイコストパフォーマンス“ツンデレ”イヤホンOSTRY KC06。
購入価は大幅に1万円を割っており、それでいながら凛とした高音が美しい特徴ある音色の機種で、決して万能型ではないが、時に「この曲はコレでなくちゃ」というツボハマり曲があり、そういう曲「のみ」では数万円のCIEMさえ凌ぐピーキーな性格の高音美麗イヤホン。
ただ何度も書いているが、極太で短めのステムが、細くて下向き開口のcybercatの耳道とは合わず、イヤーチップ探しの長い旅をしたイヤホンでもある(このとき費やしたイヤーチップ代だけで、本体価格の2.5倍超に達しているのが...(^^ゞ)。
とりあえず首振りイヤーチップSpinFit
で自分的ファイナルアンサーを見つけたので、現在はそれで落ち着いている。今は外に持って行くイヤホンとして(いつも3~4個持ち歩いていることもあり⇒尖った性格のイヤホンもつれて行きやすい)もっとも出動率が高いものの一つになっている。
そのKC06のメーカー、OSTRYのブースにこのポタフェスの一番の目的とも言えるものがあったので寄ってみた。その「一番の目的」とはKC06の直系進化版ともいえるKC09。デザイン的にはKC06と大差がないが、リケーブル対応(MMCX端子)。周波数的には無理にハイレゾ化せず上は20kまでだが、さらに高域のクリアさが上がっており、特に試聴用として何種類か置いてあったリケーブル版のうち銀線タイプが高域での繊細さと華が両立しており、それを同梱したラインアップが出ればすぐ買ってしまいそうなくらい気になるモノだった(価格的にも13kで、当初10kほどでKC06が発売されたことを考えるとリケーブル対応代くらいしか価格上昇がない)。
そんなOSTRYのブースで至福のKC09の試聴の後、いただいたノベルティ。KC06(A)用のイヤーチップ(自分は実機をみたことはないがKC07には入るかもしれない)だが流通量が少なく、自分も見たのは初めてだった。
メッシュの耳垢ガード?が出口側にあるのが外見的特徴のイヤーチップで、ステムの部分が青・赤・黒の3種ある(いわゆる「傘」の部分は全て半透明の白)。
ただこの3種、単なる色違い(カラーバリエーション)ではなくて、音質が違うのが面白い。青がOS100、赤がOS200、黒がOS300といい、積極的な音質チューニングを目的としている。
ここで何度も触れているように、イヤーチップはイヤホンの音に大きな影響があるが、オーディオアクセサリーメーカーではなく、本体側のメーカーがそれを謳うのは珍しい。しかしこのイヤーチップは「調音を楽しめる」ことをメーカー側が謳っているもの。
効果としては(高音重視イヤホンKC06を出すメーカーのものだけあって?その弱点を補うべく)
・歯擦音(サ行の子音部分)の低減
・低音の増強
がその効果。KC06は刺さるラインギリギリの高音(ひょっとしたら「線踏んでるかも」くらいに濃い)がオイシイのだが、聴く人によっては(あるいは曲によっては)少し過剰と感じられても不思議ではない。そして低音に関しては後にKC06の低音増強チューニング版、KC06Aがリリースされたことからもわかるように、多くの曲で若干物足りない。
複数イヤホンを所有しているならば、そのイヤホンにとって合う曲だけで使えば良いのだが、汎用性を求めるならばそうも行かない。そこでそのウイークポイントを積極的に改善するイヤーチップを用意したと言うことなのだろう。
3種はOS100(青)⇒OS200(赤)⇒OS300(黒)の順に調音がきつくなる。つまりOS100は歯擦音をわずかに低減させるのみで低音増強効果はあまりない。OS200では積極的に歯擦音を低減させ、低域を持ち上げていく。OS300になると高域にフィルターを掛けて下げ、それと引き替えに低域増強効果も一番大きいとのこと。これ、出来れば試聴比較したかったが、製品そのものを丸ごとどれか一つプレゼント、なので他人に渡るモノを試聴するわけにも行かず、上記の音傾向の説明だけで「一番高域を削らない」=KC06の美点を損なわないであろうOS100をチョイス。
帰ってからKC06に付けてみるとさすがに純正、サイズ的に適合のモノが少なくて困る太めのステムにもピッタリ(ステム径適合範囲4~6mm)。 装着するときには純正のものよりも金属メッシュの部分が当然硬いが、傘の部分の変形追随性は高いので、耳道との密着度は悪くない。
音傾向としては純正の中で高音寄りの「EartipⅠ」に比べると少し高域が絞られ、シンバルなどもマンハンマードの煌びやかな感じの倍音から、手打ちのもののようなダークな印象になる。
本品と純正3種、現在のお気に入り、SpinFitを比較してみた。ちなみに装着法は全てShure掛け。「近い」録りのハイレゾ音源、吉田賢一ピアノトリオの「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」
は標準添付のデフォルトチップ、EartipⅠの二つは右chのシンバルワーク優勢で、ベースの芯が足りず、すこし軽い感じ。EartipⅡはもう少し落ち着いて、ベースも量感は増すが「芯」という点では今一歩。それが、このOS100にすると、EartipⅡに比べてもう少し低いところがグンと乗り、イイカンジの落ち着き具合に。なお現在装着していることが多いSpinFitは高音域はEartipⅠの燦めきを持ちつつ、EartipⅡ程度の低音があり、さらに左右に音場が広い..と独自路線。美味しいところが多い、という点ではやはり群を抜いている。
JINOこと日野賢二のラップとスラップベースが冴えるT-SQUAREの「RADIO STAR」はセルフカバーアルバム“虹曲~T-SQUARE plays T&THE SQUARE SPECIAL~”
より。これはデフォルトチップとEartipⅠの開口部が大きい2つの標準添付チップはシンバルの軽さが目立ち、ベースが引っ込んでしまうのがイマイチ。EartipⅡはシンバルの軽さがなくなってベースに低次倍音が乗るので結構イイ。これをOS100にするとベースが微妙に盛られる感じになって、逆にもう少し上が陰る。もともとJINOフィーチャリングの曲で低域にピークがあるこの曲では上が陰りすぎると華がなくなるので、これはEartipⅡの方が良い。一方SpinFitはベースの乗り方はOS100並にあるのだが、左右に広い音像でシンバルの音が「逃げて」低域に押しつぶされない。
女性ヴォーカルのバラード、というKC06の美味しいところを使った楽曲としては洲崎綾の「空」。
今までいいところがなかった開口部大きめコンビが結構魅せる。特に材質的に滑りやすいEartipⅠよりしっかり収まるデフォルトチップの上に抜ける音が心地よい。サビ前のツリーチャイムなどは刺さるオンラインギリだけれど、M的に心地よい(ぉぃ。EartipⅡはベースが入ってくるとグルーヴィ。人声より上の領域が少し陰るので、あやちゃんの声の聴感上のヴォリュームが上がり、曲全体としては聴きやすい。あやちゃんの声を堪能したいならOS100。上の刺さりは全くなく、質感を増したベースにあやちゃんの声が真芯に乗り心地よい。曲調的にはそれでも上に開けている音構成なので閉塞感はないし。SpinFitは左右に広がる音像で確実に聴こえる高域と、密着感ある素材での届くベースで、音数・情報量としては一番多いのだが、バックが盛り上がったところではあやちゃんの声がそれに埋もれる感じになるのが少しイマイチ。一応現時点のファイナルアンサーSpinFitといえども万能ではないと言うことか。
SO100の全体的特徴としてはKC06標準添付のイヤーチップ3種の中ではEartipⅡに近いが、より上の調音が積極的。あと素材的に標準添付チップに使っているシリコンより滑りづらいので耳道への収まりが良い点も評価できる。さらにcybercat的には標準添付チップの大きさがSとMの落差が大きすぎてSより大きくMより小さいというのが一番良いのだが、SO100のSサイズはコレにあたり、ちょうど良いというのもGood。
何にせよ、結構楽しめる割には比較的安い(3セットで700円)ので、KC06ユーザー、あるいはステム径が6mm近くある太めステムの機種を持っている人は備えておいても損はないかも。
問題はほとんど現品を見ないこと。特に、今回いただいたのは試供品らしくSとMとLが1対ずつの異サイズ混合版だったが(このセットでの販売もある)、自分の耳に合わせるならば特定サイズ3対のタイプでよいはず。HP上は混合サイズ版とともにSだけ、Mだけ、Lだけの3ピースパックもあるみたいなのだけれど、流通に乗っているのを見たことがない。まずここを解決しないとね...
【仕様】
個数:6個入り(SMLサイズセットは、各サイズが2個の合計6個)
輸入元(IC-CONNECT)商品情報ページ
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購入金額
0円
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購入日
2017年07月18日
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購入場所
ポタフェス2017 秋葉原 OSTRY(IC-CONNECT)ブース
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