百物語と名がついているのですが、最初から、最後まで、背筋が凍るようなそういうお話でもなく。
始まりは少し奇妙な、そんな語り口からだったりする不思議なアンソロジー的な物語ですね。
主人公?の「おちか」が、人には明かせぬ事情をもって、身を寄せた三島屋で、その事情の縁が引き寄せるのか、この世の物ではない存在に行き逢ってしまった人の話を聞いていく。
という展開です。
語りを聞いて、終わり、ではなく、後日談があったり、別の話に絡まる因縁があったり、と短編集ではなく、それぞれの話を束ねるようにした長編小説のような風情です。
一巻目の「おそろし」では、後半、「おちか」がその事情を振りかえり、そして、それが故に、新たな怪異に触れてしまうという展開もあります。
読み進めていると、改めて思う事が。
怖い、恐ろしい、というものは、文字だけで表現されるからこそ、膨らむ、という物もあるのだなあ。
という事。
情景を想像する事によって、自分だけの百物語が作られる。
それが、「おそろし」の正体なのかもしれません。
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購入金額
400円
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購入日
2017年08月18日
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購入場所
pakapakaさん
2017/09/26
過去の時代物のシリーズは面白かったので、久しぶりに読んでみようかな
L2さん
2017/09/26
リズムというか、流れというか、そういう部分の作り方が上手いですよね。
良い意味で、出来事を最後まで解説してしまわない、当事者と、聞き役だけの世界が馴染みます。
一度、お読みくださいませ。