先日入手した、カンチレバーの根元から完全に針が折れてしまっているSHURE製MMカートリッジの名機と称されるV15 TypeIII。
針折れのため動作未チェックとのことでしたが、折角なので針を調達して使ってみようと思い、JICO(日本精機宝石工業)製の交換針を購入してみることにしました。
SHURE自身の純正交換針は随分前に入手不能となっていますし、海外で別のブランドで販売されている交換針も中身はJICO製であることが多いという情報があり、現時点で最も手堅い選択肢がJICO製となるためです。海外では別の製造元と思われる針も流通しているのですが、完成度ではJICO製に及ばないようですし…。
より上位のneo SAS針も用意されているのですが、これらは結構価格も上がりますし、受注生産であるため納期が少々かかるということで、通常在庫が用意されている中では上位仕様となるS楕円針を選択しました。
少し古めの交換針をご存じの方にはおわかりいただけると思うのですが、いかにも交換針という体裁の外装となっています。デザインこそ違いますが、ノリはナガオカ製に近いですからね。
オリジナルの再現度は不明だが、品質は安定している
ヘッドシェルなどは余りがなかったので、購入時に付属していたDENON(デンオン)製の正体不明品をそのまま使いました。リード線のみ、かなり劣化しているようでしたので、audio-technica AT6101に交換しています。
試聴に使ったのはKENWOOD KP-9010+Phasemation EA-200(レビュー未掲載)です。
ちょっと意地悪かとも思ったのですが、ソースには主に「RYDEEN / YMO」(LP 「X∞Multiplies」収録)などを使ってみました。先日Technics SL-1200GRで聴いた音が妙に印象に残っていましたので…。その他はいつも通りの70~80年代の洋楽等を再生しています。以下の試聴結果は、この針を装着した、SHURE V15 TypeIIIの評価ということになります。
まず、鳴らし始めはレンジが狭く、中高域のピークが耳に付く音でした。これはある程度馴染むまでは仕方ないと思われるもので、他のカートリッジや針でもよく見られる傾向です。
レコード数枚分を再生し終わると徐々に本来の性格が表れ始めます。よく言えば「古き良きアナログ」という傾向でしょうか。高域のキレのようなものはあまりなく、透明感もそれほど出ません。低音の厚みはありますが最低域の力感はありません。低域には独特の傾向があり、特にベースの音に独特の粘っこさが感じられるようになります。RYDEENの主旋律のシンセ音は、ちょっと妙な暖色系の音になります。
少し古めの洋楽ではいかにも「当時の音なんだろうな」と感じられるものではあるのですが、オーディオ的には決して整った音ではありません。独特の雰囲気がありますので、これが好きな人は絶賛するんだろうなと感じます。
情報量や分解能という辺りは、はっきり言ってより新しい製品と比べると明らかに劣っています。昔の録音を昔の音で楽しむためのカートリッジといわれればしっくりきます。個人的には正直言って、それほど良い印象というわけではありませんでした。
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購入金額
7,180円
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購入日
2017年06月24日
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購入場所
Yahoo!ショッピング
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