タコシーさんのレビューで、GLANZ製OEM品のカートリッジが取り上げられていましたので、かつて愛用していたGLANZ製品を引っ張り出してきました。
GLANZはミタチコーポレーションという、大手メーカーへのカートリッジのOEM供給を主体とする会社でした。当時はオーディオテクニカのカートリッジもこれに近い存在だったと言えます。初期のAT-3系などは、主立った大手メーカーの殆どにOEM供給されていたといわれているほどですので。
GLANZはそれと比べてもOEM供給の比率が高く、自社ブランドの認知度はさほど高くありませんでした。針交換式MC型カートリッジを自社ブランドで発売していたり、格安カートリッジでもラインコンタクト形状の針先を採用していたりと意欲作も多かったのですが、ブランドとしての評価は高まりませんでした。
その不人気ぶりに目を付けたのか、かつて存在していた大手家電量販店である第一家電が、自社向けオリジナルモデルとして、このGLANZ製カートリッジに専用色を塗布して発売していました。その中での上位仕様という扱いだったのが、このG-40EX/GOLDです。GLANZオリジナルのG-40EXとの違いはボディー色(G-40EX/GOLDはゴールド、オリジナルのG-40EXはシルバー)だけでしたので、ここではG-40EXとして登録しておきます。
ちなみに同じような経緯でOrtofonの旧型製品を専用モデルとして用意させていたのが、以前取り上げたVMS30MkII/GOLDです。
当時のGLANZ製カートリッジは型番の末尾がEXとなっているものがラインコンタクト針採用品、無印(またはE)のものが楕円針となっていました。つまり、G-40EXという型番は「ラインコンタクト針採用のG-40」という意味となります。
GシリーズはG-20、G-40、G-60と3機種が用意され、それぞれにEX型番が用意されていましたので、3機種6種類のラインナップとなっていたようです。もっとも、私自身はG-60系を見たことはありませんし、G-40EXの取扱説明書もG-20、G-20EX、G-40、G-40EXが併記されたもの(G-60系の記載は無し)でしたので、G-60との違いなどは把握できていません。
価格を考えれば良く出来た製品だった
ここで手持ちのG-40EXを見てみましょう。
記憶が確かであれば、私が1989年頃に購入したものだったと思います。少しゴールド色が薄くなってしまったような気はしますが、まだ十分に使えるコンディションは保っているのです。
G-40EXは希望小売価格17,000円程度の品で、ヘッドシェル取り付け済みというお買い得品でした。オリジナルモデル扱いだった第一家電店頭での実売価格は確か5千円程度だったと記憶していますので、当時中学生になったばかりの私の懐事情でも十分に買えるものだったのです。但し、ヘッドシェルの重量が軽く、一部のアームで取り付けに難があったため、手持ちのものはヘッドシェルをaudio-technica AT-LT13aに交換していますので、写真もその状態です。
表示上の針先寿命が1,000時間というラインコンタクト針の採用も相まって、入門用として非常に優れた製品でした。
久しぶりにKP-9010+LE-109の組み合わせで音を出してみましたが、基本的にはハイ上がり傾向で、曲調が明るく感じられるものです。さすがに重厚な曲をきちんと鳴らせるような低域方向の余裕や力感はありませんが、ポップス系の音楽を爽やかに鳴らせるタイプで、多くのユーザーに無難に受け入れられそうな音と言えます。
KP-9010の購入前から使っていたカートリッジですが、ラインコンタクト針が奏功しているのか、まだまだ針先の劣化は音質からは感じられません。
今となっては、どんなに安い構造のカートリッジでも、ここまでの安さはなかなか実現できないでしょう。カートリッジ単品がそれだけよく売れていたということを表す価格設定ではないでしょうか。この時代にレコードを扱うようになっていたというのは、今となっては幸運だったと思います。
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購入金額
4,980円
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購入日
1989年頃
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購入場所
第一家電 DAC千葉
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