以前からfinal、かつてのFAD(final audio design)製のイヤフォンといえば、世間では熱烈な支持者を抱えている一方で、私の好みには全く合わない製品ばかりという、ある意味分かりやすいブランドです。
最近の製品群にしても、個人的にはE4000であれば辛うじて許容範囲と思ったものの、世間的に評判の良いE5000/E3000辺りは全く好みに合いません。BAシングルのモデルの良さもあまり解りませんし…。
それなのに何故E2000を入手したのかと言えば、実は実物を試聴する前にau STARのギフトポイントのあまりを消化するために、ポイント交換でいただいてしまっていたためです。交換手続き後に販売店で試聴して、やはり失敗したかと思ったのはここだけの話ですが…。
その後長らく未開封のまま放置していたのですが、いつまでも持っていても仕方ないので開封して音を出してみることにしました。
添付イヤーピースは、単売品としても人気があるfinal E Typeと呼ばれるものです。
Eシリーズはどの製品も基本デザインはほぼ同じです。但し、E5000/E4000以外はリケーブルには対応しませんので、ケーブルの付け根辺りの処理は異なっています。
左右の表記が外から見ると見えにくい位置でありながら、装着する際には分かりやすくなっているという点は好印象です。
もっとも、外観は安っぽさは感じないものの特に優れたデザインというわけでもなく、手堅くまとまっているというところでしょうか。
独特の閉塞感が気になる
それでは音質の方に触れていきましょう。E2000のクラスから考えて、あまり高価なDAPと組み合わせるのもナンセンスだろうということで、Astell&Kern AK70と組み合わせて試聴することにしました。
まず、大まかな傾向でいうと低域は分厚めだが、最低域はあまりきちんと出てこないという、比較的安価な製品に見られがちな傾向がこの製品でも感じ取れます。一応ハイレゾロゴ付きではあるのですが、高域方向はあまり綺麗に伸びているとは言い難いものがあり、8kHz以下と思われる辺りを強調して出ているように感じさせるタイプです。
個人的にどうしてもfinalの製品の評価を低くしていると思われている部分は、低域の量は十分すぎるほど出ていても、その質が低いことが気になるという点です。解像度も質感もなく、ただ低音が垂れ流されているという印象を受けてしまうのです。
音場は耳の間よりもやや狭い空間で固まるのですが、高域方向の伸びがなく、変なところで強調感があるために音場全体に閉塞感を感じてしまいます。以前の製品も全てそうだったのですが、音楽を聴いてリラックスするどころか、しばらく聴いていると妙に疲れてしまいます。
ヴォーカルの質については、特に女性ヴォーカルでかなり本来とは違う声で聞こえてしまう傾向が見られます。弦楽器の質感もあまり表現されず、ただ音が鳴っているだけという印象が強く残ります。
皮肉なことに、イヤーピースを純正のE TypeからSpinFitに交換してみると、多少ではありますがこの閉塞感が弱まり、聴き易さが出てきます。それでも不快感はどうしても残ってしまいますが…。
私が聴く限り、このE2000を含む今まで使ったfinalのイヤフォンでは、どのようなソースを鳴らせば良さを発揮できるのかは見えてきません。ごく普通のロック系楽曲が、音圧ばかり上げたEDMのような音に聞こえてしまいます。せめてヴォーカルが綺麗だったり、特定の楽器の質感が優れていたりという一芸があれば使う余地があるのですが…。
もっとも、実売価格から考えればクラス相応といえる程度の音は出ているのではないかという気もしますし、好みは別として実力的に特別に悪いということはないようにも思えます。ただ、とにかく私には使いようがないというだけです。
このイヤフォンを割合高く評価する人は、普段からナローレンジで音圧が高いソース(多くのJ-POPはこのパターン)を、主にヘッドフォンやイヤフォンばかりで聴く人なのかも知れません。それならば弱点がそれほど目立たない可能性はありますので。ただ、きちんとしたスピーカーできちんと録音された音楽を聴いている人であれば、この製品の音を高く評価することは出来ないと思います。
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購入金額
0円
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購入日
2018年03月03日
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購入場所
au STAR ギフト
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