所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽（曲）の中で頭の中で鳴り続けるようになってしまう曲はありませんか？（私はあります）一般的には印象的なサビの部分が焼き付いてしまうことが多いと思いますが、なが～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～い曲ながらも全体ループで焼き付いて（刷り込みされて）しまうような単純で深い曲をご紹介します。

歌声合成ソフト、ボーカロイドを使用した楽曲、いわゆるボカロ曲には広いジャンルがある。一般的にはポップス系が多いが、ロック、クラブミュージック、童謡、演歌など「歌」がある幅広い分野で使われている．．．．いや、その人間では難しい息継ぎなしの早口をラップ調に使ったり、シンセサイザーのコーラスよりはるかに「ラシイ」声を持続音として使ったりするなど、「主旋律をボーカロイドに歌わせる」王道ボカロ曲以外の「ボーカロイドを楽曲の中に素材として使用した」広い意味でのボカロ曲まで合わせると、クラシックやマーチング、ジャズまで「ボカロ曲」の範囲は広い。

そんな「ボカロジャズ」系の楽曲でも、ジャズ系ヴォーカル入り楽曲でボカロにメロディをとらせたものから、「いわゆるボカロ曲」をジャズアレンジしたものといったものまで幅広いが、ボーカロイドが「歌う」曲ではない曲で独特の世界を築いているアーティストがいる。

ココアシガレットPことGYARI。ニコニコ界隈にオリジナルのジャズアレンジボカロ曲を投稿しているP。今まで投稿したほとんどの動画（楽曲）が「殿堂入り（再生数10万回以上）」している人気投稿者だが、ここ3年ほどの作品が特にすばらしい。

．．．．つっても2015年以降3曲しか投稿されてないんだけれどね（この期間の投稿動画としては4つ・・・4作目は本品のティーザー動画）。

でもそのすべてが「伝説入り（再生数100万回以上）」と非常に高い支持を受けていて、彼はインスト楽曲を伝説入りさせた史上初の投稿者でもある。基本ニコニコ投稿名（曲名とは異なる）は「ボーカロイドたちがただ『○○する』だけ」というもので、あるテーマに沿ってアドリブを展開していくジャズセッションのアドリブ回しのような作り。これを延々やる。そう、ひたすら延々。この3曲はすべて20分長！

ボーカロイドはいわゆる意味のある歌詞を持つ「ヴォーカル」をとることはなく、テーマを口ずさんだり、ラップ調に言葉を叫んだりするだけ。サビの部分でも題名を連呼したりするだけという感じで、やはり「インスト楽曲」と分類されるのが正しいボカロ曲。

ただGYARIの強みは、自身で手掛けている動画のストーリー性が高く、長尺インスト曲を飽きさせないこと。一般的に歌モノより人気のないインスト曲の再生回数をここまで引っ張り上げたのは、動画のキャラの可愛らしさと、楽曲と連動した高いストーリー性と思われる。

動画には楽曲に使用したボーカロイドたちが出演（基本演奏風景）しているのだが、このキャラ付けが面白い。
・鏡音リン：すべての元凶。テーマを提示するものの途中でネタ切れになり、他人に丸投げすること多し。最後に設定テーマを自ら覆すちゃぶ台返しを平気でやる。担当はピアノ。
・鏡音レン：リンに最初に巻き込まれる（洗脳される）ことが多い共犯者。さすが姉弟、（悪巧みの）息はぴったり？担当はエレピ（オルガン含む）。
・初音ミク：淡々と自分のパートをこなすが、テーマ変遷やリズムチェンジに対する対応力は高い。ただソロは（性格的に）苦手。アセアセしながらも懸命に頑張る。マジ天使。ベース担当。
・KAITO：頼れるアニィ。ジャズはもちろん、ボサから8ビート、ロックにサンバ、果ては変拍子までなんでもござれだが、時々覚醒し、爆発する。担当は炎のドラムス。
・結月ゆかり：ゲーマー。1作目ではコードを太鼓の達人風に欄外で提示するだけの役目だったが、2作目以降本編に登場。自室にてゲーム中に鏡音姉弟に洗脳され「神器」カウベルを演奏。
・巡音ルカ：基本寝てる。2作目より登場。爆睡中に鏡音姉弟にたたき起こされ洗脳される。変拍子の鬼。特定ワードを7拍子のリズムで繰り返すラッパー．．．つか無限ループマシン？？
・猫村いろは：3作目で登場。リンのムチャ振りを難なくこなす、落ち着いた感じの着物美人。透き通るコーラスが美しい。担当はアコースティックギター。
これらのキャラクターが繰り広げるドラマが楽しいのがここ近年の長尺曲3曲。

その3曲を収めたCD。
ただ普通に集めただけじゃないところが．．．．
作者曰く「この3曲つなげたら、ちょうどCD一枚分ぢゃね？（意訳）」．．．．ということで20分超の曲3曲がつなげられ、1時間超（1時間7分）の作品に！つまり、CD1枚に1曲オンリー、途中チャプターなし！の潔さ。

製作の動機？

 

あと当然つなげるにあたって、つなぎ目部分は新たに制作されているし、アレンジも若干変えられているのに加えて、ソロは完全新録！音源もかなりの部分差し替えという気合の入り方。

これはこの長尺もの集大成アルバムを出すにあたって作者が新規音源を購入したからラシイ。特にピアノ音源はもともとはSynthogy Ivoryだったものが、Spectrasonics Keyscapeに変更になり、その音色の良さもさることながら、ペダル操作の効き具合などが違うのもあって、元演奏データの音源差し替えのみでは対応できず、ソロ部分以外もほぼ全面新録するハメになったということが原因ラシイ。

その唯一の収録曲「RRRepeat!!!」は、この長尺シリーズ3曲の1作目、「abgm」から幕を開ける。この曲は基本2コードの繰り返し。A♭（Aフラット）とGm（Gマイナー）の無限ループ（リズムは変わる）。題名の根拠は、A♭Gm⇒a♭gm⇒abgm（♭とbが似てるので）。レンのイケメンソロと最後の衝撃の展開が楽しい。

「tettey-terettey」は、こうして生まれたっっ！

 

続く「tettey-terettey」は♪テッテーテレッテー♪とボーカロイドたちが繰り返す中、疾走感あふれるプレイが聴きもの。新録のピアノソロもエレピソロも素晴らしい出来で、かなりブロークンでジャジィ。この曲が一番ジャズっぽいかな。ただ元曲にはあった途中の変拍子鬼ルカ姐さんのパートの声が抜かれているのがちょっと．．．。最後が「WAAAA!」でラップ調にいろいろな声が挟まれるのと、サビの部分はスキャット曲と言ってもよいほどで、最も通しで人声（つってもボカロだが）が入っている。ちょっとお祭り調の和のテイストがあるのがポイント。なおこっちはルカ姐さん健在w 元曲と比べるとソロ音、特にピアノ音色のグレードアップには目を見張るものがある。最後のいろはのギター音色もイイナ．．．。

この作品にはDVD（データDVD）が付属しており、元となった3作の動画（フルHDの高画質版）、CDに収められた「RRRepeat!!!」の高音質音源（24Bit/48kHz）やオフヴォーカル版（オフボカロ版？）、ジャケットイラストの画像などが収められる。

CD+DVD(Data-DVD)+48pブックレットの豪華仕様

 

さらに制作日記のような漫画を含むフルカラーのブックレットも付属という豪華仕様。コミケでは特別価格2000円で販売されたようだが、委託店ではどちらも3000円以上。ただいつも彼の作品は飛ぶように売れて比較的短期間に姿を消すので、欲しい人は先手必勝？

ボカロ曲という枠を超えた洗脳曲？ですw

つかミクさんマジ天使

 

【収録曲】
<CD>
1. RRRepeat!!!
<DVD-DATA->
Movieフォルダ
・abgm.mp4
・tettey-terettey.mp4
・WAAAA!.mp4
Audioフォルダ
・RRRepeat!!!(24Bit-48kHz).wav
・RRRepeat!!!(320kbps-48kHz).mp3
・RRRepeat!!! – off vocal – (24Bit-48kHz).wav
・RRRepeat!!! – off vocal – (320kbps-48kHz).mp3
Imagesフォルダ
・keyvisual.png（ジャケット画－全体－）
・keyvisual_rin.png（ジャケット画－鏡音リン－）
・keyvisual_len.png（ジャケット画－鏡音レン－）
・keyvisual_miku.png（ジャケット画－初音ミク－）
・keyvisual_luka.png（ジャケット画－巡音ルカ－）
・keyvisual_yukari.png（ジャケット画－結月ゆかり－）
・keyvisual_iroha.png（ジャケット画－猫村いろは－）
・keyvisual_kaito.png（ジャケット画－KAITO－）

GYARISUTA!

「abgm（ボーカロイドたちがただ2コードくりかえすだけ）」

「tettey-terettey（ボーカロイドたちがただﾃｯﾃｰﾃﾚｯﾃｰするだけ）」

「WAAAA!（ボーカロイドたちがただ叫ぶだけ）」

「RRRepeat!!!（ボーカロイドたちが2コードくり返してﾃｯﾃｰﾃﾚｯﾃｰとか叫ぶだけ）」Short PV

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2017/05/19 「RRRepeat!!!（ボーカロイドたちが2コードくり返してﾃｯﾃｰﾃﾚｯﾃｰとか叫ぶだけ）」の「Short」PV追加。これを観れば、なぜ「RRRepeat!!!」の「tettey-terettey」パートでルカ姐さんがいないのかわかりますｗ

※動画自体は見やすいYoutubeを埋め込んでますが、各動画のタイトル部分はコメントや職人による弾幕が楽しいニコニコに繋いでますので、ぜひそちらもどぞ。つかそっちのが楽しい。