2017年7月15～16日に行われた「ポータブルオーディオフェスティバル2017 Spring & Summer 東京・秋葉原」、通称「ポタフェス2017 秋葉原」でいただいたノベルティ第四弾、SpinFitブースのなんと三品目、つか本命。

以前から使っている「首を振る」イヤーチップ、SpinFit 。これは傘の開いていないキノコのような形のシリコン製イヤーチップの軸と傘の付け根のあたりにくびれた部分があり、耳道に押し込んだ際に首を振って開口部を耳道の奥＝つまりは鼓膜に正対させようとするイヤーチップ。

この首振り機構により、鼓膜に直接音が届き、直進性が高くて減衰しやすい高音を確保しながら耳道を効率よくふさぎ、密着性を高めることで低音のヌケも防止するというコンセプトのイヤーチップ。

cybercatは
・細め
・出口から見て上方に向けてかなり急激に曲がる下向き開口
というなかなか難しい耳の穴をしているので、イヤホンによっては付属のイヤーチップでは上手く合わないことがある。

その最右翼がOSTRYのKC06

で、基本の高音の輝きが美しい音は大好きなのだが、短く太めのステムがcybercatの細め下向きの耳道の構造に合わないようで、純正は据わりが良くない。

そのため、comply

を使ったり、「カスタム」イヤーチップ

まで造ってみたりしてみたが、なかなか「しっくり」来なかった。

そんなときに見つけたのが首振りイヤーチップ＝SpinFitで、これでほぼファイナルアンサーと思っていたのだが、そのSpinFitから新型イヤーチップが出たというので試してみた。

それが「SpinFit TwinBlade」というダブルフランジ（鏡餅型二段重ね）のイヤーチップ。

白と黒の？二段重ね鏡餅タイプ。

そして1段目の白餅の付け根には「くびれ」が。

実は自身で「Sサイズ」を購入済みだったのだが、少なくともKC06に関してイマイチ合わなかったので、他のサイズも試してみようと．．．。ただこのイヤーチップ複雑な構造故？、2個一対で1000円弱もする高級イヤーピース。おいそれと買って⇒合わないから使わない．．．というには厳しい価格。

せっかくポタフェス会場に来たんだから、サンプル品でイロイロ試してみようと新製品発売や日本初上陸といった目玉を持つ他のメーカーに客が殺到している朝一の時間帯にブースに結構長居して持ち込んだイヤホン類と組み合わせ三昧。

そこで自分の耳穴的には細いので普通のタイプのSpinFitは「S」の方が合致するのだけれど、どうも自分の耳の構造ではステム（イヤーチップを付けるユニットから伸びる「管」）が短めのイヤホンではTwinBladeは「M」の方が良いことが判る。

そこで試聴後いただいたTwinBladeのMサイズ。

ま、直接耳に入れるモノなので消毒なんかを考えるよりはプレゼントした方が心証も良いし、めんどくさくないという事なんだろうけれど、購入すれば1000円弱なワケで、太っ腹と言えば太っ腹。

そして帰って改めてKC06に付けていろいろな曲を聴いてみた。

「素の」SpinFitのレビュー

で触れた、JINOこと日野賢二のベースプレイと坂東慧のバスドラの小技が織りなすリズムのキレが聴きどころの、T-SQUAREの「RADIO STAR」

はSpinFitで得られた重量感がなくなる。JINOのスラップはプッシュよりプルが優勢で、坂東クンのバスドラも胴鳴りよりヘッドのアタックが強く出る。ただ横方向への広がりが大きく、ヌケが良い。

吉田賢一ピアノトリオの「Never Let Me Go（わたしを離さないで）」

はSpinFitよりはるかにオリジナルチップの方に近い感じ。ベースの鳴りはかなり引くが、シンバルの金属音（というかそれを鳴らしているスティックの音も）が近く、リアルにプレイしている感じ。そしてオリジナルよりもステージが左右に広い。高音厨としてはこの高音美麗イヤホンの高音が陰らないのは一つの大きなメリット。

そして面白いのが一度奥まで押し込んでから「少し戻す」ようにするとセミオープンのヘッドホンのような空気感を持ちつつ、（軽くはなるが）破綻しない程度の低音を保つので、ジャズトリオやアコースティック系の楽曲（一例↓）

では開放感ある音を楽しむことも出来る。一般的常識に反して、やや「浮かせ目」にした方がよいイヤホンがあるがそういうのにはちょうど良い感じかも。

ただ自分的にはSpinFitを使うならノーマルタイプかな。二つの「お餅」がもう少しくっついていてればよいのかもしれないが、首振り機構のためかかなり離れているので、二段目が「密閉」の役を果たしきっていない（←これはほんの少しイヤホンを左右から押さえると急に低音が増強されるのでたぶんそう）。そこが自分的には今ひとつではあるのだけれども、かなり尖った個性を持つ面白いイヤーピースです。

「素の」SpinFit‏の方がKC06には合っているけど、面白い「抜け」が得られるチップ。