BenQ Japanから2016年12月、1.5mの投写距離で100インチの大画面投写を実現するフルHD短焦点プロジェクター『HT2150ST』が発売された。『HT2150ST』は、新機能として、ゲームを快適にプレーが出来るゲームモードを搭載。従来のプロジェクターよりも残像感の少ないゲームプレイを楽しめるとのこと。
HT2150ST Gaming Projector:BenQ Japan
今回、BenQ アンバサダーモニターとして、『HT2150ST』を3週間ほど試用したので、レビューをお届けしたい。
本体外観と基本機能をチェック
本体サイズは380.5×121.7×277mm(W×H×D)、重量は3.6kg。標準的なビジネスプロジェクター(A4サイズ、2kg台)よりも一回り大きく、なかなかの存在感がある。白を基調とした丸みのあるボディに赤の差し色が効いている。ホームユースらしさを感じさせるデザインとカラーリングだ。
本体背面には、入出力端子と10W×2のステレオスピーカーを搭載。スピーカーは、オーディオエンハンサーとして、「CinemaMaster Audio+」を標準装備し、重低音の品質も向上した迫力あるサウンドを楽しめる。
入力端子は、HDMI端子×2(1つはMHL対応)、ミニD-sub15ピン、オーディオミニジャックを搭載。USB(Type-A)による1.5Aの給電機能も搭載していて、ChromecastやFire TV Stickなどのストリーミングデバイスを接続する時の電源として使える。
本体上部には、コントロールパネルとフォーカスリング、ズームリングを搭載。
コントロールパネルには、頻繁に使う機能である音量調節、台形補正機能ボタンが十字状に配置されている。直観的に使える分かりやすいユーザーインターフェースで、とても好感が持てる。台形補正は縦方向のみなので、スクリーンに対して真正面から投写する必要がある。
レンズ格納カバーをスライドさせるとフォーカスリング、ズームリングがある。ピント調整のほか最大1.2倍のズームが可能。映像を上下左右に移動させるレンズシフト機能は搭載されていない。
前方のクイックリリース調整脚と2つの後方調整脚を利用して映像の高さと投写角度を調整する。
後方調整脚は、ネジ式で回転させて高さを調整する。調整機能としてはこれで十分なのだが、脚の支
持が不十分でぐらつき、安定性に欠き、高さ合わせもしにくい点がやや気になる。
暗所での使用も想定されたバックライト付きリモコン。暗い中でも手元で詳細な設定できるので、地味にありがたい、カチッカチッとクリック感のあるボタンで、しっかりと作り込まれている。
1.5mの投写距離で100インチの大画面を投写できる短焦点モデル
『HT2150ST』の特長の1つが、1.5mの投写距離で100インチの大画面投写を実現したフルHD短焦点プロジェクターであるということ。“自宅を映画館のような空間に”という製品コンセプトのとおり、限られた設置スペースであっても大画面で臨場感ある映像を楽しめる。
リビングで壁に向かって投写してみた場面の写真がこちら。壁までの距離を1.5mとしたので、投写映像は100インチということになる。
投写映像の直下にある台が50インチのテレビを乗せているテレビボード。50インチのテレビ画面は、この投写映像の4分の1サイズ。つまりは、100インチと聞いてピンとこなければ、50インチテレビ4面分の表示サイズをイメージしてもらえばいい。
100インチのスクリーンを用意しようと思っても、幅が約2.2mもあるので収納場所に困るだろう。天吊り式でなければ邪魔で仕方がないはずだ。ただ、白い壁紙であれば、壁に直接投写しても十分に綺麗な映像を映し出してくれるので、わざわざスクリーンを用意しなくてもいい。壁にある照明スイッチさえも、暗くすれば映像に同化して目立たなくなるので、それほど気にしなくてもいい。
ゲームプレイに最適な機能を搭載
『HT2150ST』には、ゲームプレイに最適な機能が搭載されている。
◆遅延が少ないDLP方式を採用 ~ 高速な応答速度はゲーム向き
ゲーミングプロジェクターでは、応答速度が非常に重要なポイントとなる。応答速度とは、映像中のある色が他の色へ変化するのに要する時間のこと。応答速度が速いほど、映像が移り変わる速度が速くても残像が少なく、滑らかに映像が投写される。
『HT2150ST』では、映像の速い動きに対して遅延が少ない“DLP”という映像表示方式が採用されていて、アクションゲームのように動きの激しいゲームにも最適。BenQといえば、ゲーミングモニターの有力ブランド。e-Sports界で活躍するプロゲーマーは、同社製のモニターを愛用している。ゲーミングモニターの開発で培われたノウハウが、『HT2150ST』にも活かされているのだ。
◆ゲーム専用の映像モードを搭載 ~ 暗部の敵を見逃さない
プロジェクターでゲームをするなら、“輝度”と“コントラスト”が重要。輝度が不足して映像が白んでいたり、暗部が黒つぶれしてしまうようでは快適にゲームができない。
『HT2150ST』の映像モードには、ゲームプレイに最適な“Game”のほか“Game(Bright)”モードが用意されている。暗い室内で“Game”モードを使用すると、暗い影や明るいハイライトで見えなくなっている細部をはっきりと投写できる一方、“Game(Bright)”モードでは、明るい室内でも映像の細部を明確に投写してくれる。ゲーム中で暗い場面でも、暗部の階調を引き上げて視認性を高めてくれるので、敵をいち早く発見できる。瞬時の判断が勝敗を左右するFPSやダンジョンが多いMMOでは非常に役立つだろう。
“輝度”と“コントラスト”を手動で調整すれば、疑似的に同様の状況を作り出すことはできるが、設定が非常に面倒。映像モードとして用意されていれば、ゲームプレイ中にボタン1つで簡単に呼び出せるので、プレイの妨げにならない。
ゲームプレイで『HT2150ST』の実力を実感!
さて、説明はこれくらいにしておいて、『HT2150ST』の実力を図るため、アクションRPGゲーム“Witcher 3 Wild Hunt”をプレイしてみた。プロジェクターというとビジネスユース、つまりはデータ投写用として使うことがほとんどで、ゲームをするのは初体験。結論からいってしまえば、プロジェクターでここまできれいな映像投写ができるものなのかと良い意味でイメージを覆してくれた。
いつもは29インチのワイドモニタ(2560×1080)でゲームをしているのだが、100インチとなるとやはり臨場感や迫力が全く比べ物にならない。目の前すべてが映像という感じで、さらに視界外にも映像があるので、映像の動きに目が追いついていかず、最初は少し戸惑ってしまった。
空や草木の色彩は鮮やか、水面の波打ち方や光の反射具合は自然に表現されている。コントラストが効いていて、メリハリがある鮮やかな映像だ。枝葉の細かな部分や文字につぶれやにじみはなく、フルHDという高解像度の恩恵を感じさせてくれる。
ゲームプレイで最重要といえる“応答速度”においては、戦闘場面をいくつか経験してみたが、キャラクターの激しい動きにしっかりと映像がついてきており、映像のぶれやキーの入力遅延を感じることもなく、モニタでプレイしている時と同じ感覚でプレイできた。
正直にいってしまうと、内蔵スピーカーの音質には期待していなかったのだが、立体感と重低音が響く、思いの外聞ける感じの音を鳴らしてくれた。リビングでは最大20のうち、10もあればうるさいくらいの十分な音量を確保できた。薄型テレビよりもよほど良い音を鳴らしてくれる。HDMIケーブルでつなげば、映像と音声が出力されるので、接続が簡単だ。音にこだわりがなければ、外部スピーカーは必要ないだろう。
以上が実際にゲームをやってみた感想なのだが、ゲームプレイ時の様子を実際に見てもらう方が、より『HT2150ST』の実力を理解してもらいやすいだろうと思ったので、投写映像をビデオカメラで撮影した動画を用意してみた。一見しただけでは、これがプロジェクターの投写映像とは見抜けないだろう。
ちなみに、投写距離1.5mで壁に投写、映像サイズは100インチ、音声は内蔵スピーカーによるもので、映像モードは“Game(Bright)”。動画後半の洞窟内の場面では、暗部の階調が引き上げられていて、視認性が高くなっていることをご確認いただけるはずだ。
こちらの動画は、日中にカーテンを引いた室内で撮影した。“Game(Bright)”を使えば、薄明るい室内であってもコントラストが強調され、細部まできれいに投写してくれる。
気軽に大画面でゲームを楽しもう!
家庭でプロジェクターを使うというとスクリーンや高価な音響設備など相応の環境がいるのではと思われがちだが、実際はもっと気軽なもので、映し出す壁さえあれば、『HT2150ST』1台で大丈夫。
ゲームをやりたい時に『HT2150ST』を持ち出してきて、簡単な設定を済ませれば、リビングでも大画面で迫力あるゲームを楽しめる。ゲームをプレイするのに最適なプロジェクターを探している方には、ぜひ『HT2150ST』をお勧めしたい。
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購入金額
0円
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購入日
2016年12月26日
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購入場所
北のラブリエさん
2017/02/05
でもレンズシフトはほしいなあ。
yachさん
2017/02/10