先日購入した、KR Audioの2A3ですが、背が高く、シュッとした外見にブラックプレート、金色のロゴと透明度の高いガラスケースという外見でとてもクールな真空管です。
現在でも買えるハイエンド真空管として、KR Audioはものすごい存在感を放っております。
さて、今回購入したのは、アメリカのEmission Labsの真空管、300B-XLS。
Emission Labsですが、KR Audioよりも遙かに強烈な個性を放つ真空管を作っている、イケてるメーカーです。
Emission Labsの300B-XLSも、300Bファミリーに属する製品です。
通常規格の300Bも作っていますが、この300B-XLSは300Bをさらに強化した規格となっています。
プレート損失は40Wから50Wに、フィラメントも1.2Aから1.5Aに、そしてプレート耐圧は480Vから550Vへと強化されており、すでに300Bと呼んで良いのか?という値に。
この高出力を支えるために、構造も独自のものとなっています。
外見的にまず目に付くのは、プレートの独自形状。
通常はノッペリした板ですが、Emission Labsのものはヒートシンク状に放熱板と思われる板でサンドイッチされています。
そして、ガラス管の上下に取り付けられたマイカのサポート。超ぶっといロッドと共に、がっちりと内部の部品をホールドしていてびくともしません。
フィラメントへ通じる配線も、これでもか!というくらい太いものが使われています。
そして、驚くべきはそのサイズ。
上記の比較対象は、300Bでも割と大きめのJJ製のものですが、あっさりと記録更新です…
以前レビューで載せた、通常の300Bとの写真を貼り合わせて比較してみました。
これくらいサイズが違うんですよね、この300B。
早速アンプに取り付けてみたところ、悲しいことが判明…なんと、ロゴが側面になってしまいました。
公式サイトと書かれてるロゴの向きが違うやんけ~~!!
ということで、早速アンプを取り出して、ソケットの向きを変更することに。
使っているのは、CayinのA-300Bというアンプですが、重量30Kgなのでしっかり持たないと腰がやられます…
ソケットの台座のナットを外し、90度向きを変えて取り付けました。
しかし、内部配線綺麗ですよね…。
話は脱線しますが、6SL7/6SN7の周辺は以下のような作りになってます。
中国メーカーですがしっかり丁寧に作られた、良いアンプだと思います。
ソケットの向きも変え、無事セッティングしたのがこちら。
ものすごい存在感で圧倒されます。
ヒートシンクな感じのプレートがごっつくて良いですね。
ガラス管の、肩の部分が一番膨らんで、そのあと直線的に絞られた形状もモダンでカッコイイ管だと思います。
ちなみに、プレートの部分はどうなっているかというと…こんな感じで左右からヒートシンクでサンドイッチされており、内部にフィラメントが確認できます。
装着したアンプは、こんな外見となりました。
もともと300Bアンプとしては割と大きめのA-300Bですが、大きめな300B-XLSを装着したことで迫力が増しました。
うーむ、満足満足。
ど迫力の低域の厚さにチェコ管独特の繊細さを併せ持つ、独特のサウンドが魅力
今まで使っていたJJの300Bと差し替えて楽曲を鳴らした瞬間、思わず「なんじゃこりゃーーーー!」と叫びたくなりました。
いやぁ、この低域の厚さは凄まじいです。スピーカーがELACのCL310なのですが、今までナンだったの?ってくらいボコスカ低音が出ます。
しかも、ブーミーになる訳ではなく、キチッとドライブしきれているのが素晴らしい。
300Bってこんな表現も可能だったのね…と、驚きました。
低域ばかりに振っているサウンドではなく、JJの300Bでも気に入っていた、澄んだ高域の伸びはEmission Labsでも健在。
というのも、Emission Labsも旧TESLAの流れを汲んでいるのがあるのではないかな、と思います。
チェコ・スロバキアが分離・独立した際に、チェコのTESLAの研究部門がKR Audioとして、スロバキアのTESLAの製造部門がJJとしてそれぞれ独立しましたが、そのKR AudioにアメリカのEmission Labsが製造を委託しているものと思われます。
箱には、Hand made in the Czech Republicと書かれてます。
それにしても、パンチ力のある、カッコイイパッケージですよね。
イメージ重視な真空管ですが、これはこれで有りだと思います。
出力管を換えるとここまで音って変わるのか…と、その激変っぷりにびっくりした300B-XLS、お勧めです。
ただ、Westernな300Bとはまっっっったく違ったキャラクターだと思いますので、ヴィンテージな管が奏でるサウンドとは異なる傾向ですので、そこは要注意かも。
真空管というレガシーなデバイスを、今時のオーディオに求められる要素を詰め込んで最新技術で作り上げた、そんな印象を受ける管です。
その音はとてもパワフルだけれども、押しの一辺倒ではない繊細さがあります。
ロックやポップスのヴォーカルを聴いているだけでも楽しくなる、そんな管だと思います。
問題は入手性が良くないことと、お値段でしょうか。
今回はebayで使用時間15時間というものが5万円という激安で買えたので、とても大満足でした。
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購入金額
0円
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購入日
2016年11月17日
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購入場所
hidechanさん
2016/11/17
なんだか配線がぐるりとしてしまっていますが、やっぱり見た目は大事ですね。
音は想像するしかありませんが、ゴツ繊細でボリューミーなルックスはカッコいい^^
ちょもさん
2016/11/17
KRの2A3もそうですが、やはりロゴが正面を向くと格好いいですよね。
最近の真空管は見た目の良さもあるので、ロゴの向きが揃っているものが増えてます。
ただ、メーカー毎に共通化されていないのがネックなのですよね…