レビューメディア「ジグソー」

金品位競争時代の実用品

ネットオークションで入手したビンテージ万年筆です。現在の金ペンは多くが14金、一部の高級品は18金(セーラー万年筆のみ例外で18金ではなく21金)ですが、かつて日本の万年筆メーカーでは金品位競争があり、22金や23金のペン先付きの万年筆が販売されていたそうです。なお、どこかの会社が純金ペン先の万年筆を発売したことがあるそうですが、柔らかすぎて色々大変だそうです。

今回紹介するのはそのような金品位競争を背景とした22金モデルです。

 

かつて万年筆が実用の筆記具だった頃に広く生産されていたショートタイプのペンです。現在でもこのタイプはパイロットが「エリート95S」という商品名で生産していますが、プラチナ万年筆もかつて「ポケット万年筆」と呼んで生産していました(ちなみにセーラーは「ミニ万年筆」)。

使用するときは普通のペンの長さ、持ち運ぶときは短くという実用本位のペンです。そのような実用向けのモデルですが、当然14金のモデルもあった中で、本品は22金のペン先を使用しています。

 

キャップを開けた状態
キャップを開けた状態

 

今回入手したのは細字ですが、中古市場では中字もよく見られるようです。

更新: 2016/11/01
高級感

高級感というよりステータス感がある

実用本位のポケット万年筆、それもオーソドックスな仏壇色ですので、高級感があるかといえば疑問符が付きます。ただ、22金ペン先というステータス感はあります。

当時の正価は3000円だったそうです。某漫画によれば「昭和40年の5億は現在の50億」だそうなので今でいえば3万円クラスの製品だったと思われますが、今の国産万年筆で3万円クラスといえば18金のペン先を使うのが普通です(セーラーは例外で21金)。冒頭で述べたように当時の万年筆メーカーでは金品位競争をしていたためで、プラチナ万年筆は23金の万年筆まで作ったそうです(これは持っていません)。

 

22Kの刻印がある。金品位が高いので黄味が強い
22Kの刻印がある。金品位が高いので黄味が強い。「細字」と漢字で刻印しているのはCentury以外のプラチナ万年筆の特徴

「22金でっせ!」と主張するように書かれている。同時期の他社にも見られた特徴
「22金でっせ!」と主張するように書かれている。同時期の他社にも見られた特徴

胴軸にもこのような刻印がある。本来は溝の部分が金色だったと思われるが、中古品なので剥げてしまっている
胴軸にもこのような刻印がある。本来は溝の部分が金色だったと思われるが、中古品なので剥げてしまっている

更新: 2016/11/02
使用感

筆圧は弱めに

22金のペン先は柔らかく、筆圧が弱目の人に適しています。私の場合、ビンテージだからか柔らかいペン先だからか、使っていく中で自然と筆圧が下がってきたので、逆に#3776 Centuryの極細が合わなくなりました(筆圧が弱すぎてインクがかすれる)。

 

よく見るとペン先がお辞儀しています。ペン先がお辞儀していると書き味が硬くなるそうなので、金品位の高さで柔らかくなった分を調整する意味があるのかもしれません。

側面から見た様子
側面から見た様子

 

ポケット万年筆は胴軸が短いため、コンバーターが使用できません。ただ、プラチナ万年筆のブルーブラックはカートリッジでも没食子インクですし、カーボンインクもカートリッジがありますので耐水性が重要な場合にはそれらを使うことになります。

  • 購入金額

    2,000円

  • 購入日

    2015年07月12日

  • 購入場所

    ヤフオク

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