モチモノ登録250個目は、キリ番に相応しい菊一文字の牛刀を選びました。
菊一文字は、もともと鎌倉時代初期の刀工である菊一文字則宗、及び則宗によって製作された日本刀の銘ですが、作刀が禁じられた明治以降に諸刃物の製造に移りました。
京都三条通京極の中ほどにお店を構えて100年を越える老舗中の老舗です。
刃渡り24センチ これほど使いやすいサイズはありません
刃渡り24センチの牛刀と呼ばれる洋包丁です。
1980年の開店当時に1本購入した後に、菊一文字本店に研ぎに出した際に、予備としてもう一本買いました。
刃渡り24センチ。
永年に渡る使用に伴う研ぎ作業で、多少目減りしているのは間違いありませんが、
実測で全長37センチ。 重さ180gでした。
柄は黒檀本杢。 鋼に孔を打ち柄を金属ピンで固定する構造ですので、抜けの心配はありません。
この刃渡り24センチが肝です。
よくご家庭で使われている文化包丁の刃渡りは17センチ前後だと思います。
通常の用途でなら17センチで十分だと、私も思います。
でも、食パンを使うサンドイッチには24センチが必要なんです。
業務で使う食パンのサイズは、市販のそれより少しだけ大きめで130x140mm程です。
このサイズの食パンを薄く切り分けるには17センチの文化包丁では無理があります。
家庭向けに売られているパン切り包丁も、刃渡りは200ミリを超えているでしょ。
特に焼きたてのフカフカ食パンを切り分ける時に、包丁を押し付けてはダメなんです。
包丁の重みを活かしながら、とにかく前後に揺らしながら切り分けるんです。
この作業は文化包丁には無理があります。 ほとんど前後に動かす余地がありません。
刃先は尖っておりますので、大きな刃物ながら、小さなレモンを切り分けることも容易です。
牛刀って、ホントに万能なんです。
錆びますよ
鋼ですので、いい加減な使い方では錆びてしまいます。
黒檀の木製柄も、湿らせている状態で放置すると、滑ります。
研がないと切れなくなります。
でも、サビは落とせます。
柄が滑ったら、タワシで汚れを落としてから、良く乾かすと清潔に戻ります。
砥石を使ってお手入れするのは、私の場合は年に一度〜二度程度です。
モンブランのセラミックを使った砥石ホルダーを使って角度を固定しつつ
まず荒研ぎ。 後に目の細かい砥石で仕上げ作業を行っております。
(セラミックホルダーの使用法は、次の研ぎ作業の際に撮影してレビュー製作します)
本来は片刃なんですが、主用途がサンドイッチなんで、自分で勝手に両刃仕様に変更してます。
道具は自分が使いやすいようにアレンジしつつ、大切に手入れするのが良いと習いました。
道具を飾っちゃダメです。
普段は、簡単な包丁研ぎも使いますし、
あ!キレが悪いと感じた時には、ブッチャースティックで荒砥ぎしてます。
大雑把にね。
職人さんが玉鋼を熱して、打って、冷やして、研いで仕上げてくださる日本の包丁は良いです。
しなります。
切れます。 そして長持ちします。
まだまだ使えます。
サンドイッチ
ステンレスパレットと辛子バターを用意し、大きめの乾いたまな板を用意し、
美味しい食パンと、きゅうり、レタス、ロースハム、玉ねぎにトマト。
ふきんも2枚程あれば。
料理って、サンドイッチに限らず段取り、速度が大事です。
実は、実家でもサンドイッチを作ろうとしたことがあるんですが、食材を揃えても
段取りが悪いと上手く出来ません。 場所が狭いと上手く仕上がりません。
なにより包丁が小さいと、絶対に綺麗なサンドイッチが出来ないことを再確認しました。
刃渡り24センチが大事なんよね〜。
ずいぶん昔にアップロードした「ハウツーメイクサンドイッチ」動画がありましたんで
参考にして下さい。 倍速で再生されております。
2本だけ挿す爪楊枝も大事なコツのひとつ。 ぜひ動画をご覧下さいね。
こちらは3枚の薄焼きトーストで作るクラブハウスサンドイッチ。
耳を落とす時は前後に動かしながら切り分けますが、サンドイッチ自体を3つに切り分けるときには
ある程度までは動かしながら刃を入れ、ココぞという時には 一気に落としこむんです。
この辺りは経験・練習が必要なゾーンです。
でもきっと誰でも出来ます。 私が出来るんですから。
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購入金額
20,000円
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購入日
1980年03月頃
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購入場所
京都 菊一文字
タコシーさん
2016/04/28
昔過ぎて「菊一文字」という言葉しか覚えていないのですが...
ちょっと坂道沿いのお店だったかな...違うかもしれませんが
刀鍛冶だったが明治以降、包丁に特化したと聞きました
フェレンギさん
2016/04/28
菊一文字本店は、東西方向のアーケード内にあり、すこし西に進むと左(南)方向に坂です。
それが新京極と呼ばれるアーケードで、四条通まで続きます。 修学旅行生のゆくところ。
因みに新京極と並行するように一本西側のアーケードは、寺町京極といいます。
京都の中心に位置する繁華街ですが、その実、ビルの裏側、ビルに囲まれたところに巨大な墓地、大きな寺が散在するんですよ。
少しわかりにくいかもしれませんが、写真右側の太い道が河原町通
左側にある2本の道(屋根が白いアーケード)が2本の京極通り。
建築中の更地も見えますが、小さなボツボツが並ぶのは墓地でございます。
写真の中央部分に見える墓地は、私がお参りにゆくところです。
hidechanさん
2016/04/28
菊一文字則宗
といえば 燃えよ剣 の沖田総司なイメージがありましたが、
今回調べてみたら、司馬遼太郎先生の創作だったみたいですね^^
しかし、肉を切る時の切れ味が半端ないですね!
ステンレスの我が家の包丁には出せない切れ方でした。
くろぱんださん
2016/04/28
「自分で研ぐとすぐダメになるから、持っておいで」とお店の人に言われるまま、
年に二回ほど百貨店のイベント時に研ぎに出しています。
お手入れの手間は有りますが、切れ味の良い包丁はやめられませんね。
cybercatさん
2016/04/28
フェレンギさん
2016/04/28
菊一文字銘は他県にもあるようですが、繋がりは無いと伺いました。
日本製のヘンケルスなんてのもありますし、京都で売られている菊一文字が、堺産だったり、関産だったり、はては海外製なんてことがあるかもしれません。
開店を控えて高価な包丁を買いましたが、今でも使っていますので、良い買い物だったようです。
購入価格に記載した2万円は、現在売られている同等品を調べて書きました。 実際の価格は覚えてません。
切れ味といえば、ほんとは熟したトマトや、焼きたてパンを撮影すればよかったのですが、レビューはスキマ時間を利用するのがモットーでして、あの日はカレーの仕込み日だったんです。
いつかトマト・パン動画を載せます。
フェレンギさん
2016/04/28
気になりますか、アダプターですね。
現在売られている製品とは材質の一部とサイズが異なりますが、
包丁研ぎアダプター
こちらが相当品です。 試してください。
お刺身などを扱うなら、きちんと砥石で仕上げるべきなんでしょうが、私は勝手に両刃にしてますし、たまにニトリ等で売られているステンレス包丁用の簡単な研ぎ器で、ジャリジャリすることもあります。
大丈夫ですよ。
とにかく研ぎ器も、アダプターも適切な角度を維持してくれるので。
角度こそが大事です。
フェレンギさん
2016/04/28
良さそうな、素晴らしい包丁ですね。
手元に貝印のオールステンペティナイフと菊一文字のペティナイフがあるのですが、比べると、どなたでも違いをお感じになる差があります。
オールステンナイフも清潔の観点からは素晴らしいし、手入れは楽なんで、それはそれとして認めるんですが、オーディオもレンズもタイヤも、自転車も、万年筆も、、、一度良いのを知ってしまうとね、、、。
北のラブリエさん
2016/04/28
でも「菊一文字は無事だった」というとなんだかかっこいいw
フェレンギさん
2016/04/28
知り合いの料理人、肉屋さんなどに伺うと、決して人に貸さないし、ホントに大事にされてます。
私は「切れれば良い」程度にしか思ってないのですが、改めて思うと、この菊一文字がないと
いつものサンドイッチは作れません。
ダマスカス鋼 波紋の綺麗な貝印などに興味が湧きましたが、一蓮托生。
ずっとの相棒でございます。