レビューメディア「ジグソー」

alto sax × 2=Candy × Sanborn。熱くてCOOLな共演。

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽って世代を超えます。年の離れたプレイヤーでも対等に演奏するし、共演します。コンテンポラリーSax界の巨匠に親子ほど年の違うプレイヤーが絡んだ作品をご紹介します。

Candy Dulfer。オランダ出身の女性サキソフォニスト。日本では車のCFでブレイクし、一時期よく街に流れた。美人でテクニシャン、親しみやすいポップな楽曲とサービス精神溢れるステージングで華があるプレイヤー。

最近はライヴに注力し円盤のリリースがないが、2000年を挟んで前後10年くらいは精力的に作品を発表していた。

その中でも本作はイケイケの勢いがあった1995年の3作目“Big Girl”からのシングルカット。アルバムのトップを飾ったこの曲は、正式には「Wake Me When It's Over Featuring David Sanborn」と言われている通り、コンポラリーSax界の巨匠、David Sanbornとの共演曲....というか、Davidの1981年の意欲作“Voyeur”に収められたMarcus Millerとの共作曲をカバーしたもの。つまりCandyが本格的にSaxの道に入ったあたり(11歳!から父親-サキソフォニストHans Dulfer-のバンドにいたらしい)に街に流れていたDavidの曲をその作者本人と共演するというシチュエーション。

元曲自体もelectro-funk風味で硬い風味のタテノリ楽曲だったので、Candyの初期のブレーンThomas Bankの打ち込みにCandyとDavidの吹きまくりの掛け合いソロが載るだけなのだけれどあまり違和感がない。同じaltoなのに明確に違うCandyのクセのない太い音とDavidの泣きフレーズの対比が面白い。そして元曲にはないCandyのRapが曲に彩りを添える。

このシングルは表題曲ばかり6つのMIX違いが収められている。最初の「Single Edit」と「Bulky Drums Mix」、「Interface Bass Mix Featuring Tony Scott」がThomasとCandyが手がけたMIXで残りがCandyと同じオランダ出身の歌姫Loïs Laneのアレンジや制作などを手がけたDon Cherの手になる。

ベースとなった?「Wake Me When It's Over (Single Edit)」はアナログレコード風のスクラッチノイズとともに始まり、CandyとDavidのユニゾンテーマが呈示される。元曲がパーカッシヴなギターや機械的なハンドクラップが目立つ超タテノリ曲なのでThomasのエレピのコード呈示がやわらかな印象を与える。時々リズミカルに挟まれる男性ラッパーTony Scottの♪c'mon♪という合いの手掛け声がいいな。

「Wake Me When It's Over (Don Cher Processor Mix / Long Version) 」は特徴的なシンセのシーケンスパターンが付加され、サックスが少しくぐもったような音に加工がされていて、wahbassの「シンベ」という感じのノリがグルーヴィ。リヴァーヴやエコーが効果的に使われ、サックスを中心とするソロを除く元トラックがやや籠もったような音処理がされて中心に押し込められているような印象だが、アフタープロダクションの音がそれを包み込むように幻想的に広がり、「空間」を感じる。付け加えられたシンセのオブリがいいな(クレジットでは判りづらいけれど弾いてるのはDionys Breukersかも)。

「Wake Me When It's Over (Interface Bass Mix Featuring Tony Scott) 」は他のMIXでもCandyとともにRapを担当するTonyのフィーチャリングパターン。ベースがボヨンボヨンと強調された「Interface Bass Mix」に乗せてユニゾンのテーマ以外はソロの部分もサックスを削り(アウトロソロは音量を抑えて)、Tonyのラップに差し替えられてる。かなりクロい感じの曲に仕上がってる。ただCandyの曲って感じゃなくなっちゃってるけれど。

6曲も入っているわりには3パターンくらいで(4曲目は1曲目のドラム音差し替えでリズム強調パターン、5曲目は3曲目のサックスソロ⇒ラップ差し替えパターン、6曲目は2曲目のショートエディット)、食い足りなさは少し残るけれど、CandyとDavidの熱い掛け合いソロが堪能できるのが収穫か。
ジャケ写、ちょっと盛りすぎぃ..姐さん美人なんだから、そんな造らなくてもw
ジャケ写、ちょっと盛りすぎぃ..姐さん美人なんだから、そんな造らなくてもw
親父さん(Hans)のように今でもステージに立つCandy、ネットの動画なんか観てもこの頃以上に吹きまくってるのがわかる。ぜんぜん今でも現役。ずいぶんソロの円盤出していないけれど、そろそろ次のカモ~ン!!

【収録曲】
1. Wake Me When It's Over (Single Edit)
2. Wake Me When It's Over (Don Cher Processor Mix / Long Version)
3. Wake Me When It's Over (Interface Bass Mix)
4. Wake Me When It's Over (Bulky Drums Mix)
5. Wake Me When It's Over (Interface Bass Mix Featuring Tony Scott)
6. Wake Me When It's Over (Don Cher Processor Mix / Single Edit)

「Wake Me When It's Over」

  • 購入金額

    1,200円

  • 購入日

    1995年頃

  • 購入場所

22人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

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