この物語はその光秀の娘婿である明智左馬助光春が主人公。
騎馬で湖水を渡ったことでも知られる 、明智家屈指の傑物の目線から語られる光秀と信長。
『信長の棺』、『秀吉の枷』に続く本能寺の変三部作の完結編。
日常を忘れさせるほど、圧倒的に読ませます。
光秀の長女であり左馬助の妻となった綸への慈しみに溢れた恋情を細やかに描く情景を挟みながら、天運を得て力を増してゆく信長や、織田軍団における立身出世への欲望と朝廷への純真な心の狭間で苦悩する光秀、 蠢動する近衛前久と暗躍する秀吉…と物語りは怒濤の勢いで天正十年六月一日に突き進んで行く。
覇者は安土城の天守で何を夢見ていたのだろう。
そして歴史は覇者に何を見せたのか。
日本史最大の謎に、感情を抑えつつも細やかな心理情景を挿入しながら、前2作に増して淡々と物語を綴る加藤廣さんの筆致には純文学的なにおいを感じました。
謎解きの要素やスリリングさは、前2作と比較すると若干薄いのかもしれませんが、血塗られた明智家の滅亡「落城の譜」によって幕を閉じる終章を読み終えたいま、深く満ち足りた充足感に浸っております。
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購入金額
800円
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購入日
2011年頃
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購入場所
退会したユーザーさん
2011/12/09
読んでみようかな・・・・
vingt-et-unさん
2011/12/10
デビュー作でもある「信長の棺」、その続編「秀吉の枷」…そして本作品と楽しむことをオススメいたします。
勿論、単品でも読み応えのある作品に仕上がってはおりますが、中世から近世の幕を開けた不世出の天才信長と、陽気で人たらし太閤秀吉の描き方がなかなか面白く読ませてくれますよ。
退会したユーザーさん
2011/12/11
「信長の棺」、「秀吉の枷」、「明智左馬助の恋」を図書館でまとめ借り。
ついでに「安土城の幽霊」も借りてきました。
読むど~!
vingt-et-unさん
2011/12/11
しかも「安土城の幽霊」まで~。
読みた~いいいい。