「これを聴かずして日本の作曲家は語れない!」と大見得をきった一枚。日本の作曲家による吹奏楽の演奏会「泰楽堂の響き」第二回のライブ録音である。
團伊玖磨、芥川也寸志、松平頼則、伊福部昭、黛敏郎、松村禎三、湯浅譲二といった錚々たる有名作曲家に混じって、1983年生まれの鬼才・木山光がいるのが嬉しい。
木山光は、映画やマンガのみならず、ロックやノイズ、テクノの影響も受けているという俊英だ。
本作に収録されている「作曲者指定のカット版」は、時間の関係でやむなくということだろうが、盛り込み過ぎで冗長になりがちな氏の作品の見事な要約と評価することもできるだろう。
冒頭は、暴風雨と雷鳴のような爆音のクラスター。別の作品の初演時に聴衆に耳栓を配ったというエピソードを思い出す。
あまりに高速でオーケストラの足並みが揃わず、稚拙になってしまっているかのような演奏が続き、なし崩し的にまたクラスターへと近づいていくが、やがて伊福部昭を思わせるドラマチックで「土着的」な濃厚で重いフレーズが現れてくる。
そんな繰り返しのあとで、突如として勇壮で夢のような高揚感のある展開が訪れる。それは突然でありながら、優れた楽曲の必然で、聞き手はまるでそれを予期していたかのように感じるだろう。そしてまたスピードに引き摺られるような超高速展開。
実に賑やかだ。爆音、高速、勇壮、高揚感を求める際にはこの曲は最適だろう。
-
購入金額
2,880円
-
購入日
2016年01月04日
-
購入場所
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。