Technics
パナソニックはハイレゾという金山から流れる匂いに敏感に反応したようです。
久しぶりにTechnicsブランドを復活させて、新しい製品をリリースしていますね。
かつては民生用から業務用まで幅広く多種多様な製品をラインナップしていた松下さん。
単体スピーカーユニットの世界でも、8PW1別名ゲンコツと呼ばれるフルレンジの銘器で知られています。 車載用の楕円スピーカーにも良い製品がありました。
この10F10は、FOSTEXのFE-103や、PioneerのPE-101(これはちょっと高かった)のライバルに相当する10センチフルレンジスピーカーユニットです。
3種類とも買いましたが、今でもきちんと鳴るのはこの10F10だけ。
無事これ名馬 ポニーだけど。
購入の経緯
1973年頃に初めて買ったスピーカーシステムは、フォスター(直後にFOSTEXに名称変更)のFE-103を密閉箱に納めたものです。
販売価格は片chで1万円以下だったと思います。
合板バッフルの内側に取り付けられたユニットはサランネットに覆われて見えなかったので、それを剥がしました。
密閉型なのでコーンが揺れません。
子供だった私はそれが寂しくて、どんどんボリュームを上げました。
ポンッ! 断線します。
単体ユニットを買ってきて、フロントバッフルに穴を開けて、適当なパイプを差し込み「なんちゃってバスレフ」に改造します。
前よりコーン紙は前後に揺れますが、耐入力面では劣ることになり再び断線の憂き目に、、、。
2度めはありません。
そこで選んだのが10F10。
FE-103は、そのまま残して振動板にコンクリメントでコースターを貼り付けました。
ドロンコーンとして余生を送ってもらいます。
リアバッフルに新しく穴を開けて、10F10を取り付けました。
もちろん背面板は未化粧ですので、手持ちの黒色上質紙を貼り付けてます。
端子はそのまま使っていますので、ユニットの下に位置します。
丈夫です
10センチフルレンジですので、明らかに中広域で楽しむユニットです。
もし低音も望むなら、長岡先生ご推薦のバックロードホーンエンクロージャに仕込むか、サブウーファーと組み合わせて使うことになると思います。
しかし、楽しむ楽曲や音量によっては、小口径フルレンジならではの楽しみもあります。
小さなエンクロージャに納めれば、位置や高さの変更も簡単に行えます。
良いセッティングと良いソースに恵まれれば、奥行き感や音像感を楽しめます。
そして、なにより丈夫です。
スペックを比較すると
FOSTEX103Eの耐入力は15Wですが、10F10のそれは50Wも確保されていました。
PioneerのPE-101のエッジは忌々しウレタン素材でしたので、3年を待たずにボロボロに崩れました。
FE-103のエッジはウレタン素材ではありあませんが、コーン紙とエッジが剥がれることがあります。
10F10は、メタル素材のセンターキャップが凹んでも破れたり剥がれたりしませんでした。
エッジはゴム系でしょうか、まったくもって丈夫です。
紙コーンも大丈夫。
無事これ名馬と言いますが、ホントに素晴らしい。 ポニーだけどね。
価格なり
当時の販売価格で2倍強のPioneerPE-101は、総重量1キロ。
フレームはアルミダイカスト製。
直径90ミリの大口径マグネットは、周囲の金属を引き寄せてしまう強い磁力でした。
先にそれを知っていたので、Technicsの10F10は頼りなく見えました。
一見アルミダイカスト製に見えるフレーム前面は銀メッキされた樹脂製です。
プレスフレームに、それがそれらしく貼り付けられていた実情を知り、情けなく感じました。
白コーンにメタルキャップも安っぽく見えました。
FE103は既に定評があったので、それに比べても安っぽく見えたものです。
でも、大丈夫! 鳴っています。
ホントに失礼しました。
車に積んでも大丈夫
後に車載用としても買いました。
最初の愛車はB-SJ初代アコードHBでしたが、カーステレオはオプションです。
純正AM/FMラジオのスピーカーは、ダッシュボード中央に一つだけ配置されていました。
カセットデッキをコンソールにぶら下げて、リアスピーカーは自作することにします。
FMレコパルの記事を参考にした記憶があるのですが、フロントバッフルとリアバッフルはベニア合板で、その2枚を細い角材で繋ぎます。
上下左右の長方形は、市販タイルのサイズから割り出したもの。
計6枚の長方形タイルのウチ2枚を2分割して、上下に使う算段です。
赤いコーンはマジックで塗ったものが剥げている状態です。 JBLに憧れて音響レンズのダミーを
ボール紙で制作し貼り付けています。
グラスウールを詰め込んだ密閉箱が出来上がります。
このキャビネットに10F10を取り付けて愛用しました。
紫外線の影響が大きく、寒暖の差の大きな車内でしたが、びくともしませんでした。
ナショナルの製品って、ダメなものはとことんダメだな〜と思わせてくれるんですが、コンセントや照明器具、そしてこの黒子の様な位置づけのスピーカーユニットなど。
松下幸之助氏の水道哲学が流れているタイプの製品が確かに存在します。
サラウンドスピーカーとして現役です
低域への伸長はありませんが、サラウンドシステムのサイド・リア用途には十分以上です。
能率も裸特性で92dBが確保されていますし、抵抗値も8Ωと標準的な数値です。
ONKYOのTX-SA603というエントリークラスのAVアンプで駆動してますが、フロントのYAMAHA
NS-690−3と喧嘩せず上手く鳴ってくれます。
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購入金額
2,800円
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購入日
1987年頃
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購入場所
ヒエン堂
Yujiさん
2015/12/28
背面を前面にしてユニットをマウントして(←文字にするとややこしい)、元のFE-103をパッシブラジエータ化するなんてワクワクしちゃいます!
フェレンギさん
2015/12/28
密閉箱のままでは、ほとんど動かなかった103が、バッフルに孔を開けると、目に見えて動き出し、挙句の果てに断線。
パッシブラジエーター化してからも、本棚のFMレコパルを利用して隙間なく埋め込んだ時、隙間を開けた時、取り出した時など、音色や音場感の変化を楽しんだ覚えがあります。
フォノカートリッジとスピーカーは、原理が単純で、今も工夫の余地や使いこなしの効果が大きく現れる場所ですよね。
中広域の「品位」は、振動板・カンチレバーの見た目(材質・質量)に同調するようにも思えます。住環境によって音量の大小は制限されますが、ユーザーなりに楽しめるオーディオ趣味は楽しいです。
ワクワクしますね。