FLYING KIDS。バンドオーディション番組「三宅裕司のいかすバンド天国」、通称「イカ天」の初代グランドキング。アクの強いヴォーカリスト浜崎貴司をいただいたチョイレトロテイストのファンクバンド。歌詞も♪でもそれは/正しいよ/正しいよ/正しいよ/正しいよ/正しいよ/正しいよ♪と繰り返される「我想うゆえに我あり」や♪気がついたら瞬間全部アッパーになってALL RIGHT/しら切った仏陀言った「腹が減った/どーだい?」/シャバダバな/MY LIFE/いつまでも/ア・ハ〜ン♪と妖しげな言葉遊びが続く「ア・ハ~ン」などと不条理系の記号的な歌詞が多く、いい意味で学生バンド臭さの漂っていた彼等も、一時解散前の活動後期は洗練されたポップグループになっていく。
その転換点のあたりにこの7thアルバムはある。「イカ天」の勢いのまま出てきた
彼等も、同じ路線で押した3rd迄はニッチでコアなファンを掴むにとどまり、セールスとしては徐々に低下していく。その後「天国まであと3歩シリーズ」として3ヶ月おきにそれぞれテーマを定めた3枚のミニアルバムを出すが、どれが頭抜けて売れるという事もなかった。
そのあとに出されたのが本作。シンプルに自身の名を冠したアルバム“FLYING KIDS”。ドロくさく、アツく、ベタな青春ファンクから、少しの脱皮と、センスの洗練。後期の彼等につながるポップさの核が見える。
「大きくなったら」。出だしから新しい。ファンクのドロッとした熱さではなく、J-POP系の駆け抜けるアツさ。歌詞もたぎるような欲望とか夢を語っていた初期に比べると丸い。でもそこで歌われるのは、やっぱり「青春」。♪大きくなったら/wow wow/何になる/大きくなって/yeah yeah/考える/Boys & Girls答えなんて幾らでもあるはず/ときめく明日信じてるのなら♪
「男VS女」は旧来路線の熱いファンク。ハマザキの歌い方もよりダミってる。ハードなディストーションギターのリフとワウったサイドギターの同居が結構カオス。丸山史朗と加藤英彦という毛色の違うツインギター構成がよく活かされてる。ヤロー達のコーラスがスマートさのカケラもなくドロッドロwかなり熱いギターソロも聴ける。
「ノンストップでいくぜ」はJamiroquaiのようなAcid系ファンク。キーボードのコード付けがかなりオサレ。じゅんちゃんこと浜谷淳子のコーラスが寄り添うハマザキのヴォーカルは相変わらず熱いが。
初期のアカ抜けない熱さからスピード感があるパッションへ、欲望と葛藤をぶちまけたアツい歌詞から青春賛歌のハートフルな歌詞にと変貌する彼等の音楽性の境目にある作品。その分旧来の「濃さ」が好きだったファンからは評価されず、新機軸の洗練された楽曲もまだ完成度が低い。そのためかセールス的にはイマイチぱっとしなかった。でもそれが次の“Communication”から“真夜中の革命”あたりの安定したヒットにつながるので、そういう意味では「新」FLYING KIDSの始まりの作品はコレ。デビュー5年ほどを迎えて、自分たちを見つめ直した作品。あとから俯瞰すればここが新たなスタート地点だった...という作品です。
【収録曲】
1. 大きくなったら
2. 虹を輝かせて
3. 男VS女
4. 王子様のように
5. I Wish…Merry X’mas
6. ノンストップでいくぜ
7. せめて一度だけ
8. お楽しみはこれからだ!
9. 汚れた英雄
10.Flying Kids (大人になれない子供達)
「大きくなったら」
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購入金額
3,000円
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購入日
1993年頃
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購入場所
L2さん
2015/12/02
「僕であるために」が好きで、シングルを買いました。
私としては、珍しくカップリングの「21世紀になっても」も、好きですね。
cybercatさん
2015/12/02
これ↓に入ってるヤツですね(レビューに動画貼ってます)