当然本体だけ対処しても仕方ない。そのため「バランス化やろう」と決めてから事前に入手していたのがバランスケーブル。当然リケーブルできるものが対象になるので、「元」から換えられるものだとcybercat家ではCIEM2機種が相当する(PHILIPS Fidelio L1はケーブルは換えられるがユニット外部に引き出された時点で既にアンバランス接続になっているので「バランス化」という観点ではこれを換えても意味がない)。
その2機種、Unique Melody Merlin
とCustom Art Harmony 8 Pro
はともに「カスタム用2ピン」という接続端子。最近リケーブルできるイヤホンは汎用同軸接続規格であるMMCXコネクタが採用されることが多くなってきているが、なぜかCIEMの世界は単に2本電極が角のように出た2ピンのものも多い。
須山やUEのように若干異なる幅・長さを採用するものもあるが、JH Audio、1964 EARS、 Noble Audio等が採用するタイプがシンプルで採用メーカーが多い。Unique Melodyは「埋め込み型溝あり」、Custom Artは「非埋め込み型」を採るが、JH Audioなどと端子のピッチ自体は同じ。別売ケーブルの2ピン端子の形状としては「溝ありは溝なしを兼ねる(ケーブル側に溝があっても突起がないイヤモニには接続できる...逆にオス側のケーブルコネクタに溝がないと突起のあるイヤモニのコネクタには接続できない)」、「埋め込み対応の2ピン端子は非埋め込みタイプに挿すことはできるが、逆はできない」という事でカタログ上の対応可能メーカーが増えるためか市販されている汎用2ピン端子のケーブルは「溝あり埋め込み対応」のものがほとんどとなっている。そこでケーブル両端のコネクタの形状としては「AK用2.5mmバランス端子⇔溝あり埋め込み対応カスタム用2ピン」で決定。
次は素材。基本リケーブル用ケーブルは
・高純度銅線
・銀メッキ銅線
・銀線
が主流。あとは純度の問題があったり、微量元素が加わったり...という感じだけれど基本はこの3種。一言で言うと低域の銅と高域の銀、エネルギッシュな銅と解像度の銀...という事らしい(自分もいくつか試聴した中ではその傾向があったが、なにせ「語れる」ほどの数を聴いていないので、一般論として)。当然価格としては銅<銀。銀メッキ銅線というのは基本銅線のサウンドキャラクターを有しながら、銀の高音域を少し取り入れた...という感じのもので採用メーカーも多いもの。
...という前知識を持って、イベント待ちの時間つぶしを購入店でしたときにいくつか試聴し、「価格との見合いで」(←ココ重要)購入したものがこれ。リケーブル用ケーブルってさすがにわざわざケーブルだけ換えるというような所まで「凝る」ひとを対象にしているだけあって、ピンはあるがキリはない。だいたい1万ちょっと位から10万超のものまで..ってアナタ、立派なイヤホン本体が買えますがなw
まぁ、複数のイヤモニで使い回すこともできる(MMCXと違って2ピンは頻回の抜き差しには対応していないが)とはいうものの...3万超えると対象CIEMの本体価格の1/3に達するので、2万くらいまでかなぁ..と思いながら購入店の在庫をあさっていて発見したのがこちら。ケーブルとアンプのメーカーであるALO audioのベーシックライン、「Tinsel」。同社のイヤホン用ケーブルには、独自の熱処理(クライオ処理とアニール処理とやら)を行い銅の歪みを低減させたという銅線ケーブル「Copper 22」と、クライオ処理&アニール処理済みの銅線に銀メッキをして、8本束(片チャン4本)にした「SXC 24」という上級機種があるが、「Tinsel」は銀メッキ銅線ではあるものの、クライオ処理とアニール処理の記述がないため、たぶん未処理。それでもその音質は比較的素直で銀メッキ処理によって高域も伸びがよいとのこと。Custom Art Harmony 8 Proに関しては、耳への密着度や低域のふくよかさは気に入っているのだが、もう少し高域に華があった方が良いなと思っていたので、価格的にはややオーバーではあったけれど、これを購入した。
装着してみると純正のケーブルよりかなりコネクタ部分が大きいので前方への張り出しが大きく、やや耳たぶの後ろへのフィット感という点では低下。ただケーブルの硬さとつるつる滑る感じで「絡み」は少ない。しかしLux FEPという独特の表面処理のため、新品のタイガーロープのようなゴリゴリ感(←わかる?)があってタッチノイズは大きい(大きめ、ではなくはっきりと大きい)。つまり標準のケーブルに比べると、
・見た目↑
・絡みづらさ↑
・タッチノイズの低さ↓
・耳へのフィッティング↓
という感じ。ただ、耳へのフィッティングに関してはリケーブルものは高品位端子を用いるとコネクタが大きくなる傾向にあるため、他社のものも似たり寄ったりということを考えると、一番気になるのはタッチノイズか。では実際に音はどう変化したのだろう。比較はCustom Art Harmony 8 Proではなく、よりカッチリめの音で変化が聞き取りやすいUnique Melody Merlinで実施した(Custom Art Harmony 8 Proはオールシリコンのため、差込口がややヤワめで頻回の抜き差しに堪えそうもないということもある)。Merlinの標準添付のケーブルと比較してみた(バランス-本品-とアンバランス-標準添付-の差が出ると評価にバイアスがかかるので、本品に2.5mmバランス⇒3.5mmアンバランスの変換プラグをかませたので、ともにアンバランス接続での評価/変換プラグの分だけ接点が増えているので本品にやや不利な比較かも知れない)。
吉田賢一ピアノトリオの「Never Let Me Go」
はアンバランス接続だとベースの量感がイマイチだが、それでもノーマルケーブルに比べるとTinselは低域の分離がよい。小口径のバスドラとベースのアタックは音色がかぶるが明瞭に聴き分けられる。
“アニソンCX”のハイレゾDVD
から「GUGUガンモ ガンモ・ドキ」は、バランス接続ほどの下の安定性はどちらもないが、Tinselの方がリヴァーブの感じがよい。空間の広さがきちんと感じられる。
DSF 2.8MHz/1bitが元音源のSuaraの「夢想歌」
を88.2kHz/24bitのPCM変換で。これはピアノのバッキングの特に左手担当域が充実し心地よいが、少ない楽器の音数で一発録りのせいかあまり大きな差はない。
非ハイレゾ(16bit/44.1kHz)音源は艦隊これのオーケストラ生演奏アレンジ“第二次艦隊 フィルハーモニー交響楽団”から「飛龍の反撃」。
これも弦の低域が充実する。勇壮さが増す感じだ。
全般に純正ケーブルを「正」とした場合、「脚色」は少なくイメージを裏切らない、全体的にかさ上げするイメージ。音色傾向としては低域の分解能が上がる感じで各楽器の分離がよくゴチャッとならない。もともと銀メッキ銅線を選択したのは高音の輝きが加わるかなと思ってだったが、じっくり聞くとむしろ低域のディテールの描き出しに差がある。その分音色が「変わった感」に乏しく、悪く言えば際立った特徴がない、ともいえるが、全てが底上げされているのが○。
基本バランスケーブルであることが一番大切だったのだが、ケーブルそのものとしてもソコソコ気に入った。ただ、欲を言えば
・タッチノイズ低減
・イヤモニ側端子の小型化
・低価格化
が望まれる。
ケーブルに張りがあって絡みづらいのはよいが、表面がゴリゴリしていてケーブルのタッチノイズは大きい。また質の良い端子を使うと安価な圧着型の端子に比べて大きくなるのは致し方ないが、一度かなり前方にケーブルが出っ張るのでそれを耳に沿わせて後ろに流すのが結構難しい。さらに全帯域ネガのない優等生ケーブルだが、逆に特徴にも乏しいので「コレじゃなきゃ!」というインパクトに乏しい。コレが実売2万切りならベーシックリケーブルとして最強なんだけどなー。
ただクセのなさはどんなイヤモニと合わせても破綻がないので1本目のリケーブル用ケーブルとして持つのにはよかったかも。.....え?1本目??ww
【仕様】
DAP側:2.5mm 4極端子
イヤホン側:2 pin端子
線材:高純度銀メッキ銅(Tinsel Wire)
外装:Lux FEP(ふっ素化エチレンプロピレン)
導体数:4本
ケーブル長:約135cm (プラグ部含まない)
代理店(ミックスウェーブ)ニュースリリース
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購入金額
24,200円
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購入日
2015年05月24日
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購入場所
FUJIYA AVIC
北のラブリエさん
2015/11/06
cybercatさん
2015/11/06
北のラブリエさん
2015/11/06
cybercatさん
2015/11/06
なんか違う方向に跳ねてしまったようなおぼろげなキヲクが...@@)
北のラブリエさん
2015/11/06
cybercatさん
2015/11/06
そこはかとなく漂う合体ロボット感.....
harmankardonさん
2015/11/06
コネクタの入手性の問題もありますし,イヤフォンケーブルは難しいですよね.
しかも,1本目とは,今後の展開が気になります.
それから,Fidelio L1もハウジング内からリケーブルしてしまいましょう!
mkamaさん
2015/11/06
柔らかそうなケーブルで良さげですね。
硬くて、凄く癖がついていて困りものです。
2.5mm 4極 AK対応プラグ → 通常の3.5mm 3極プラグの変換どうしていますか?
3.5mmL字プラグが欲しかったのですが、市販品なかったので
NEUTRIK 3.5mmL字プラグと2.5mm 4極メスで自作してしまいました。
cybercatさん
2015/11/06
でも両CIEMともバランス化したいので、もう一本はほしいナァって...
cybercatさん
2015/11/06
細さのわりにはゴリゴリしてます。
クセはつかないんですけどね。
>2.5mm 4極 AK対応プラグ → 通常の3.5mm 3極プラグの変換
これは今度ご紹介します。